2011年度のLPGAツアーは東日本大震災という未曾有の大災害に見舞われたなか、スポンサーや関係者の懸命のサポート、そしてファンの皆様の温かい応援で、30試合(震災のため1試合が競技不成立、3試合が中止)を開催することができました。年間の優勝者数は22名、うち6名の初優勝者が登場するなど新しい世代の台頭も見られた年となりました。
昨年のトーナメントを開幕戦から順に振り返り、今週から8回に渡って特集します。(週2回更新)
第1回は下記の4試合の模様を振り返ります。
『ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント』
『心をひとつに 西陣レディスクラシック』
『フジサンケイレディスクラシック』
『サイバーエージェント レディスゴルフトーナメント』
ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント 2011年3月4日~3月6日 琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県)/6,439Yards Par72(36,36) | 優勝者 | A.P. | 合計 | 1R | 2R | FR | 優勝賞金 | | 朴 仁妃 | -11 | 205 | 72 | 67 | 66 | ¥14,400,000 |
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―朴仁妃が逆転で開幕戦を制す― 一年のツアーを占う意味でも重要な開幕戦。初日は沖縄とは思えないほどの肌寒さのなかスタート。そのなかで「正直ビックリするくらい内容の良いゴルフでした。この風の中で上出来です」と6バーディー・1ボギーの67をマークしたのが藤田幸希。「右からの風なら右に打って、左からの風なら左に打つ。どのくらいとか、どうしようとか考えず、3パットしても仕方ないと、深く考えないようにしました」とバーディーを量産して単独の首位。2位のアンソンジュに2打の差をつけ、試合の主導権を握った。 2日目は前日の強風のコンディションとは異なり、風もなく穏やかな天候。各選手が次々とスコアを伸ばすなか、首位スタートの藤田幸希は「自分を第三者の目で見ているように、冷静にプレー出来ています」というように、4バーディー・1ボギーの69と安定したゴルフを展開。通算8アンダーとし、首位を守った。1打差の2位タイには、最終ホールでイーグルを奪った穴井詩(らら)とニッキー・キャンベルが続いた。 そして迎えた最終日。ようやく沖縄らしい温暖な気候となったこの日だが、首位の藤田を始め、上位陣のスコアが伸びない。そんな均衡を抜け出したのが、首位と3打差の5位タイからスタートした韓国の朴仁妃。前日に67をマークした勢いそのままに、前半の2番、4番でバーディーを奪い、幸先良くスタートを切ると、7番からの3ホールでその勢いはさらに増し、5m、10m、1mのパットを決め、3連続バーディー。「前半の9ホールを終わった時点で、今日は調子が良いなと思いました。もしかしたら…と思い、その気持ちで残りのホールをプレーしました」と後半も気を緩めること無く安定したプレーで後続を振り切った。「初日はあまり良くなかったので心配もありましたが、2日目、3日目とうまくやることが出来たことが成績に繋がりました」と2日目からの36ホールで13個のバーディーと他の選手を圧倒する爆発力が混戦を断った。朴自身はタイ、シンガポールでの試合を経て、この試合が今季3試合目。試合勘が戻っている状態に加え、「パッティングの調子は3試合で一番良かった」という高麗グリーンでの相性の良さも優勝の要因となった。 「今年も昨年同様、日本のツアーに15試合、アメリカに15試合程度、参戦する予定です」と今シーズンも世界を舞台に戦う朴。そんなハードなスケジュールでも安定した結果を残せる要因は「当たり前だけど、よく食べ、よく寝ること。1日8時間以上は寝るようにしています」と至って普通だが、時差も多いなか、どんな環境でも食べて寝ることが出来る朴の適応力はさすがの一言。この開幕戦優勝を皮切りに、日本と世界を股にかけての活躍が期待された。 |
心をひとつに 西陣レディスクラシック 2011年4月15日~4月17日 熊本空港カントリークラブ(熊本県) /6,473Yards Par72(36,36) | 優勝者 | A.P. | 合計 | 1R | 2R | FR | 優勝賞金 | | 不動 裕理 | -5 | 211 | 70 | 69 | 72 | ¥12,600,000 |
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―不動裕理が地元熊本でのプレーオフを制し、通算49勝目― 東日本大震災から一ヶ月後、LPGAの復興支援スローガン「心をひとつに」を大会名に冠し、ツアー再開のスタートを切った今大会。初日は朝方から強い雨、午後には強風と難コンディションで行われたが、韓国のイジウが7バーディーの猛チャージで、単独トップに立った。2打差の2位タイには馬場ゆかりと李知姫の2名が続いた。 8,000人を越える大ギャラリーが詰め掛けた2日目は、上位陣が大混戦。そのなか通算5アンダーで首位に並んだのは不動裕理とイジウの2名。1打差の3位タイには馬場ゆかり、諸見里しのぶ、有村智恵の3名が続いた。地元熊本出身の不動、有村を始め、九州・沖縄勢が上位に名を連ねた2日目。首位に立った不動は前半で2アンダーと安定したゴルフ。後半に入り11番、12番を連続ボギーとしたが「13番でいい具合に待ち時間があったのでそれがかえって良かったです」とすかさずバーディーを奪い、再び流れを引き寄せた。「コースが難しいので、(優勝などは)意識せずに集中しているのがいい方向に進んでいる」と不動。開幕戦後、震災の影響により4試合が中止となっていたが、「被災されている方々もいるのに、私は家もクラブもあって、ゴルフを出来るのが幸せ。ゴルフが出来るので、モチベーションは落ちません」とキッパリ。「この九州で試合が再開できなければ、他では出来ないと思っていましたし、熊本に住んでいて、この試合が再開の試合になって、頑張らなければいけないと神様が自分に言っているのではないかと思います。コースも難しいので、余計なことは考えられないし、集中できています。そういう意味ではこのコースを楽しめていますね」。地元熊本での試合再開に並々ならぬ闘志を燃やす不動が、堂々の首位で最終日を迎えた。 そして最終日。1万人を越える大ギャラリーのなか、優勝争いは不動裕理、馬場ゆかり、イジウの3名による一進一退の攻防。結局54ホールでは決着がつかず、勝負は3名によるプレーオフに突入した。18番パー5で行われたプレーオフ1ホール目。三者ともにバーディーチャンスにつけるものの、馬場、イジウ共にこれを決めることが出来ず、最後に2メートルのバーディーパットを沈めた不動が、地元熊本で接戦をものにした。「最初の18ホールで頑張ったので、もし負けても満足できたと思います。このコースはティーショットがフェアウェイでも、ピン位置によっては難しいし、ちゃんと逆算して打たないとダメなコース。調子が悪い中でもイーブンで回れたので、私も何かが良かったんだと思います」と自らを称えた不動。「こんな大変な時にたくさんのギャラリーが来てくださったので、そういう方たちに応えたいという思いはありました。49勝は実感が湧かないし、自分の事じゃないみたい。でもここまで来たら勝ちたい気持ちはありました」と2010年7月以来の美酒に酔いしれた。 |
フジサンケイレディスクラシック 2011年4月22日~4月24日 川奈ホテルゴルフコース 富士コース(静岡県) /6,464Yards Par72(36,36) | 優勝者 | A.P. | 合計 | 1R | 2R | FR | 優勝賞金 | | 金田久美子 | -5 | 211 | 70 | 75 | 66 | ¥14,400,000 |
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―金田久美子が5打差を逆転し、涙のツアー初優勝― 穏やかな天候のなかスタートした初日。好スタートを切ったのは、2010年賞金女王のアンソンジュ。5バーディー・1ボギーの68をマークし、単独トップに立った。1打差の2位タイには全美貞とプロ4年目の西山ゆかりが続いた。初出場となる川奈の舞台で練習ラウンドがわずか1回と、不安を抱えながらスタートを切ったアンだったが、「後半になるにつれショットがだんだん良くなってきました」とすぐにコースに適応し、順調にスコアを伸ばした。難関のインコースもノーボギーでまとめ、結果的に「大満足しています」と最高のラウンドとなった。 2日目は徐々に雨風が強くなる難コンディション。各選手がスコアを落とすなか、首位スタートのアンソンジュは72のラウンドで通算4アンダーとし、首位をキープ。1打差の2位にはヤング・キム。1アンダーの3位には、主催者推薦選考会(マンデートーナメント)を通過して本大会の出場権を得た、山本薫里がつけた。 前日までの荒天も過ぎ、雲ひとつない絶好のコンディションのなか行われた最終日。強風の影響で上位選手のスコアが伸び悩むなか、1オーバーの8位タイからスタートした金田久美子が猛チャージをみせる。逆転劇が始まったのは出だしの1番パー4。セカンドショットを2mにつけるも「かなりのフックラインだったので、キャディーさんと“これが入ったら今日はいけるね”と話していたんです」と難しいラインが残ったが、見事に沈めてバーディー。これで勢いに乗ると、3番では下りの8m、4番では4m、5番は1mと3連続バーディーを奪い、首位を行くアンソンジュらに一気に迫った。前半を31で終え、「後半をまとめれば、優勝できるかもと思いました」という金田は、強風に苦しみスコアを落とす上位陣を尻目に、後半も着実にパーを重ねると、15番でバーディー。続く16番でもバーディーチャンスを迎えると、「スコアボードが見えたので、これを入れたら2打差になると思って、入れなきゃというより、入ると思っていました」というバーディーパットを決め、優勝が現実味を帯びてきた。残り2ホールとなって迎えた川奈の名物ホール、17番パー3では、手前の斜面に落として2mのボギーパットを残すピンチを迎えたが、「このパットが一日のなかで一番緊張しましたけど、外したらどうしようとかマイナスの事は考えず、結構冷静にできました」とこれを沈めボギーで踏みとどまった。最終ホールも危なげなくパーで切り抜け、後続に2打のリードで54ホールの競技を終えた。金田を追う選手は強風に苦しみスコアを伸ばすことができず、金田の優勝が決定。大粒の涙と共に、歓喜の瞬間が訪れた。 「本当に嬉しいですね。まだ実感が湧かないです。正直試合が始まる2日くらい前まではアプローチが上手くいかなくて悩んでいて、手が痛くなるくらい練習しましたけど、試合が始まったら練習していたことが本番で生かせたので、練習は嘘をつかないと思いました」とこれまでの努力を噛み締めるように振り返った金田。2001年に弱冠11歳でアマチュアとしてツアーに初出場してから10年、天才少女と言われ続けた大器は、21歳でついに開花のときを迎えた。 |
サイバーエージェント レディスゴルフトーナメント 2011年4月29日~5月1日 鶴舞カントリー倶楽部(千葉県) /6,395Yards Par72(36,36) | 優勝者 | A.P. | 合計 | 1R | 2R | FR | 優勝賞金 | | 不動 裕理 | -10 | 206 | 72 | 66 | 68 | ¥12,600,000 |
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―不動裕理がツアー通算50勝 前人未到の生涯獲得賞金12億円突破― 大会初日は心地良い陽が射す絶好のコンディション。そのなか6アンダーで首位に立ったのは、7バーディー・1ボギーとスコアを伸ばした井芹美保子。1打差の5アンダー、2位には茂木宏美と馬場ゆかりがつけた。「ピンチはそんなにありませんでした。9番でグリーン左に外したんですけど、アプローチで70cmぐらいに寄ったので、パーを拾えました。今日はショットが安定していたので良かったと思います」と首位の井芹。前年のプロテストでトップ合格を果たした実力が垣間見えた。 大会2日目。上位陣が混戦となるなか、通算6アンダーで首位に立ったのはこの日66とスコアを伸ばした不動裕理と前年覇者の申ジエの2人。1打差の3位タイには茂木宏美、横峯さくら、藤田幸希、吉田弓美子の4人が続いた。『西陣レディスクラシック』優勝の勢いそのままに、抜群の安定感で首位に立った不動は前半を34で折り返すと、風が強くなった後半は「ショットの調子は良くて、風の計算も上手くできました」と、さらに4つスコアを伸ばす猛チャージをみせた。パッティングについても「今は真っ直ぐアドレスが取れているような気がします。キャディーさんに聞いて“大丈夫”と言われると、自信を持って打てるので」と万全。ツアー通算50勝目という大記録へ王手をかけた。一方、ディフェンディングチャンピオンの申ジエは、前半を2バーディーの34、後半は3バーディー・3ボギーと出入りの激しいゴルフ。それでも「上がりが良かったので100パーセントじゃないけど満足しています」と納得の表情で振り返り、大会との相性の良さを改めて見せつけた。 そして迎えた最終日。首位タイからスタートした不動は3、4番の連続バーディーで流れを掴む。6番はボギーとしたものの「ボギー1つくらいで気にすることはないし、先にバーディーが2つきているので、焦りとかは全然なかったです」と動揺することなく、再び8番でバーディーを奪い前半を34。風が強く吹く厳しい条件下でも「飛距離が出る人だけが有利ではなかったです。そんなに距離が出なくても低いボールで…。私にとっては風も良い方向に影響したと思います」と、ベテランならではのプレーで難コンディションを乗り切り、16、17番の連続バーディーで一気に後続を突き放して勝負を決めた。 「こんなにポンポンと勝てて、自分でも信じられないし、不思議な感じがします」と自らの予想を上回るペースでの50勝達成に満面の笑み見せた不動。「最近は一打一打、良いショットに喜んでいます。その結果が優勝に繋がっているのかもしれない。息切れするかもしれないけれど、良い流れできているので、自分で途切れさせちゃいけないし、この流れに乗っていて、最後に(女王争いに)参加できれば良いなと思います」と堂々の賞金女王争い宣言。この優勝で前人未到の生涯獲得賞金12億円を突破し、50勝と併せての偉業達成となった。 |
第2回は 1月11日(水)掲載予定です。