2011年度のLPGAツアー振り返るツアープレイバック第4弾は、有村智恵の3万年に一度の奇跡達成や、中国出身のフォンシャンシャンの初優勝など、7月、8月の4試合を振り返ります。(週2回更新)
『スタンレーレディスゴルフトーナメント』
『meiji カップ』
『NEC軽井沢72ゴルフトーナメント』
『CAT Ladies』
スタンレーレディスゴルフトーナメント 2011年7月15日~7月17日 東名カントリークラブ(静岡県) /6,500Yards Par72(36,36) | 優勝者 | A.P. | 合計 | 1R | 2R | FR | 優勝賞金 | | 有村 智恵 | -15 | 201 | 65 | 69 | 67 | ¥16,200,000 |
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―有村智恵が“3万年に一度の奇跡”でシーズン初優勝― 気温30℃を超す真夏日のもとスタートした初日。この日、2011年シーズンここまで未勝利の有村智恵が大記録を達成する。記録の始まりは1バーディー・1ボギーで迎えた8番パー5。ユーティリティの3番で放った残り190ヤードのセカンドショットショットは「少し薄目に入った感じでしたが、クリーンに打ってしまうとあの場面ではオーバーしてしまうと思っていたので、コントロールした上での薄目のショットです」とピン手前5mに落ちたボールはカップに吸い込まれ、自身2度目のアルバトロス。だが奇跡はこれで終わらない。「ホールインワンよりアルバトロスのほうが多い選手なんて居ないよねという話をしていたら…」と16番パー3で放った8番アイアンでのティーショットは、ピン手前5mに落ちたあと、ボールはそのままカップに吸い込まれ、ホールインワン。「完璧なショットでしたけど、本当に入ってしまって」と驚きを越えて怖さすら感じたという、試合では初のエース。1ラウンドでアルバトロスとホールインワンを達成するのは日本女子プロゴルフ協会44年の歴史のなかでも、初となる大記録達成の瞬間だった。LPGAツアーでは602ラウンドに1回の確率で出るホールインワンと17,238ラウンドに1回の確率で出るアルバトロスを1ラウンドで達成した有村。仮に毎日ラウンドしても約3万年はかかる大記録達成に一時は興奮を抑えきれなかったが、「アルバトロスとホールインワンをしても、まだ6アンダーだったので、何かダメだなとキャディーさんと話していました。17、18番もバーディーが取れるホールなので、気を引き締めました」とすぐに気持ちを切り替え、17番でバーディー。結局この日は7アンダーの65で堂々の単独首位に立った。 2日目に入った有村は「練習の時から、パットの感覚がちょっとおかしかった」との予感通り、2番でボギーを打つなど苦しい展開。それでも「ダメでもめげずにいけた」とパーを重ねて迎えた8番パー5で16mのパットを決めてイーグル。「ラッキーと思いましたし、これまで我慢していてよかったです。それまでパットで苦しんでいて、あれだけ長いのが8番で入るのかという感じです」と2日間で5つスコアを伸ばした相性の良いホールで息を吹き返した有村は、その後も高い集中力を維持し、上がりの4ホールで3バーディー。「最終組でプレーしたほうがいいプレーができるし、これを決めなければ最終組で回れないと思ったので」と18番で5mのバーディーを決め、この日1番のガッツポーズで締めくくった。「明日は出来れば15アンダーくらいまでは伸ばしたいです。でも現実的には13か14かな」とスコアの伸ばし合いとなる最終日を想定し、さらに気を引き締めた有村。この日65をマークした野村敏京と並び首位を守った。 そして迎えた最終日。首位タイスタートの有村智恵は4番から5連続バーディーを奪うなど前半で6個のバーディーを奪い一歩抜けだすと、その後も後続を寄せ付けず、通算15アンダーで今季初優勝を飾った。3打差の2位には横峯さくら。さらに1打差の3位には、この日ハーフ27と8連続バーディー(イーグルを含む)の2つのツアー記録を更新した諸見里しのぶが入った。首位と7打差の27位タイからスタートした諸見里しのぶが途中、通算12アンダーで有村のスタート前に首位に踊り出ていたが、「ギャラリーから12アンダーだよという声が聞こえて、諸見里さんのスコアとどうしても計算が合わないので、間違いかもしれないと思いました」と、思いもよらなかった伏兵の出現に一度は戸惑いをみせたが、「どんな成績が出てきてもおかしくないですし、そんな恐怖感があるなかで戦っていくのが優勝争い。まわりがどうであっても自分が伸ばせばいいと思っていました」とスタートホールから4mのバーディーパットをしっかりと決め、最高のスタートを切った。3番ホールでは「3万年に一度くらい曲がった」とティーショットを大きく曲げたが、見事にパーセーブ。その後は諸見里のスコアに触発されるように、バーディーラッシュで一気に勝負を決めた。「今週は初日にああいうことになって、みなさんの記憶にも残る試合になったと思います。私は本当にそのプレッシャーとの戦いでした」とファンの記憶にも残る勝利となった。 |
meiji カップ 2011年8月5日~8月7日 札幌国際カントリークラブ 島松コース(北海道) /6,473Yards Par72(36,36) | 優勝者 | A.P. | 合計 | 1R | 2R | FR | 優勝賞金 | | フォン シャンシャン | -14 | 202 | 68 | 67 | 67 | ¥16,200,000 |
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―中国出身のフォンシャンシャンがツアー初優勝― 心地良い風が吹く絶好のコンディションのなか始まった初日。この日猛チャージを見せたのがプロ11年目の古閑美保。「1番ホールから3番ホールまでは難しいホールが続くので、そこはしっかりやりたいと思っていました」とスタートした古閑は、その難度の高い1番、2番で幸先良くバーディーを奪うと、その後は6~7mのバーディーパットが次々と決まり、前半は31。後半に入ると11番で2m、13番で1mとショットがピンに絡み出し、4バーディー。終わってみれば63の自己ベストタイで、2位に4打差をつける会心のラウンドとなった。「とにかくパターが入ってくれたのが大きいです。今日は後半はショットが良かったのでスコアは出ると思いましたけど、前半は出来すぎです」と初日から一気に後続を引き離す形となった古閑。「いままで怪我をしている手首が痛いので、ボールを払って打っていました。でもそれだとスピン量やキャリー、ランが合わなくて。払って打っても痛いのは痛いので、そんなことをしてもしょうがないと思うようになり、今を大事にしたいということもあって、痛くても今までのプレースタイルに戻しました」と、フルショットやパンチショットといった古閑本来のプレースタイルを貫いたことが結果として表れた。 強い日差しが照りつける真夏日となった2日目。2位と4打差の首位からスタートした古閑美保は、この日5バーディー・3ボギーの70のラウンド。「昨日と違って頭を使う一日だったので疲れました」と難度の高い1番ホールでバーディー発進を切るも、2番、3番で連続ボギーとし、前半は35。前日のような快進撃とはいかなかったが、この日も5つのバーディーを奪ってスコアを2つ伸ばした。しかし古閑を追う後続勢はさらにスコアを伸ばす。7バーディーで65をマークした韓国のジャンウンビが古閑に並んで首位に立つと、2打差の3位に初優勝を狙う中国のフォンシャンシャンが浮上。優勝争いは一気に混戦模様となった。 そして最終日。最終組の3名によって繰り広げられた熾烈な優勝争いを抜けだしたのは、中国出身のフォンシャンシャン。前半の7~9番の3連続バーディーで首位を奪うと、後半に入っても3つスコアを伸ばして後続に隙を与えない。フォンを追う古閑、ジャンも懸命にスコアを伸ばすものの、共に終盤の16、17番で連続ボギーを喫し万事休す。ツアー参戦1年目のフォンが嬉しいプロ初優勝を飾った。優勝したフォンは10歳でゴルフを始め、アマチュア時代には中国国内のタイトルを総ナメにし、07年には中国人として初の米ツアーライセンス保持者となった実力者。今大会の初日に22歳の誕生日を迎え、バースデーウィークをプロ初勝利で飾ったフォンは、「とても嬉しいです。これからももっともっと優勝していきたいと思っています」と喜びを爆発させた。日本ツアーへの参戦は開幕戦『ダイキンオーキッドレディス』以来、今回で2試合目となるが、「私はロングヒットとアイアンが強みなので、バーディーチャンスをより取れる部分で日本のコースが合っていると思う」と早くも日本ツアーへの適応力を示した。 |
NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 2011年8月12日~8月14日 軽井沢72ゴルフ 北コース(長野県) /6,603Yards Par72(36,36) | 優勝者 | A.P. | 合計 | 1R | 2R | FR | 優勝賞金 | | アン ソンジュ | -16 | 200 | 68 | 66 | 66 | ¥12,600,000 |
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―歴代賞金女王三つ巴の最終組対決を制したアンソンジュがシーズン3勝目― 照りつける太陽の下スタートした初日。好スタートを切ったのは、過去にこの大会に19回出場し優勝4回、トップ5以内が13回と相性バツグンの福嶋晃子。今大会前までは2大会連続で予選落ちを喫していたが、この日はスタートホールから12mのバーディーパットを決めるなど、5バーディーを奪う猛チャージ。その後も難しいパーパットを決めるなどきっちりと要所を締め、ノーボギーの66。堂々の単独首位で早くも大会5度目の制覇が視野に入った。そして主催者推薦で出場した福島県富岡町・富岡高校の3年生岸部桃子さん(アマ)は、東日本大震災の影響で練習もままならないなかこの日80と健闘。「ゴルフが出来る喜びがすごく大きいです。明日は今日よりいいスコアで回って、自信をつけたいです」と高校生活最後の夏をしっかりと胸に刻んでいた。 2日目は涼風漂う絶好のコンディション。単独首位からスタートした福嶋晃子は「体がだるくて、一日おかしかったですね」と体調が万全ではないなかでのラウンドだったが、2番ホールでバンカーからチップインバーディーを奪うと、次第にショットの調子を取り戻して前半は5バーディーの31。前日同様、前半で大きくスコアを伸ばし連日の66をマーク。通算12アンダーまでスコアを伸ばし、単独首位を守った。2打差の2位にはアンソンジュ。4打差の3位には横峯さくらがつけ、歴代の賞金女王が最終日・最終組で優勝を争う展開となった。「今日はボギーだけは打たないようにと思っていたので、66というスコアは良かったです」と連日の66にホッとした様子の福嶋。歴代賞金女王3名による最終組の優勝争いには「いい組み合わせだなぁと思ってスコアボードを見ました。みんな良いプレーが出てくると思うし、リードは無いと思って、気を引き締めて3人で良いプレーをしたいと思います」と気合十分で若手実力者二人を迎え撃つ。 迎えた最終日は、気温も高く日差しの強い真夏の天気。歴代賞金女王3名による最終組で繰り広げられた熾烈な優勝争いは、まさに手に汗握る展開。アンが出だしの1番でバーディーを決めて首位を行く福嶋に追いすがると、首位の福嶋も2番でバーディーを奪う。同組の横峯は思うようにパッティングが決まらず徐々に優勝争いから脱落すると、その後はアンと福嶋のマッチレース。福嶋がアンに1打リードして後半に入ると、今度はアンが猛チャージ。10番、11番を切れのあるアイアンショットでバーディーを奪い福嶋を逆転すると、14、16番でもバーディーを奪い突き放しにかかる。追いかける立場になった福嶋も再びチャージ。13番からの4ホールで3つのバーディーを奪い再びアンに追いつくと、勝負は54ホールで決まらず、プレーオフにもつれ込んだ。 プレーオフ1ホール目は互いにパー。そして迎えたプレーオフ2ホール目。共にティーショットをフェアウェイの中央へ運んだが、アンのボールはディボット跡にあり、非常に難しいライ。「とにかくグリーンのどこかに乗せようと思いました」という135ヤードのセカンドショットはピン奥約11mに何とかオン。対する福嶋のセカンドショットは、ピン手前約6mのカラーに止まった。「最初はスライスして最後にフックするスネークライン」と難しいパットが残ったアンだったが、勢い良く打ったボールはカップに吸い込まれバーディー。続く福嶋のバーディーパットは惜しくもカップの右をそれ、長きに渡った戦いに終止符が打たれた。「今日は100点満点です。福嶋選手は強い選手ですし、日本では伝説のプレーヤー。その選手に離されないようにとだけ心がけたのが良かったです」とこの日を振り返ったアン。「私は韓国人ですけど、日本の代表というつもりでプレーしています。これからもそうありたいし、そのために努力し続けます」と大好きな日本の地に戻っての今季3勝目は、日本の賞金女王としての自覚と自信を取り戻す勝利となった。 |
CAT Ladies 2011年8月19日~8月21日 大箱根カントリークラブ(神奈川県) /6,676Yards Par73(36,37) | 優勝者 | A.P. | 合計 | 1R | 2R | FR | 優勝賞金 | | 有村 智恵 | -11 | 208 | 69 | 67 | 72 | ¥10,800,000 |
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―有村智恵が接戦を制し、シーズン2勝目― 朝方から濃霧が発生し、雨や強風など不安定なコンディションの中行われた大会初日は、プロ3年目の藤本麻子が7バーディー・ノーボギーの66をマークし、単独首位に立った。2打差の2位には金田久美子。さらに3打差の3位タイには、有村智恵ら4選手が続いた。自身初の単独首位発進となった藤本は「練習ラウンドでも風が強くて、難しい印象がありましたが、今日はラフに入っても手前から寄せて1パットが出来たし、グリーンに乗ったらバーディーが取れたという感じでした」とショット・パット共に好調で、プロ入り後の自己ベストタイをマークした。 2日目も雨模様。上位陣が混戦となるなか、この日67とスコアを伸ばしたのは有村智恵。ここ7試合連続でトップ10入りと好調の有村は出だしの1番から2連続バーディーを奪うなど前半を34で折り返すと、10番からは「今日はそんなに勝負をかけるつもりではなかったんですが、後半に入って上が伸びていないのがわかって、もっといきたいなと思いました」と、4連続バーディーを奪う会心のゴルフ。計7個のバーディーを重ね、首位に立った。2打差の2位には森田理香子。4打差の3位タイには上原彩子と藤本麻子がつけた。「そんなに調子がいいわけじゃないから、ショットの時にいつも以上に良いイメージを作って、決断しなければいけないので、それが良い方向に行ったと思います」とメンタル面のコントロールもでき、手応えを感じている様子の有村。過去8勝はすべて最終日を首位の位置から迎えた逃げ切り優勝だが「ずっとその勝ち方しかしていないので、勝てなかった時の恐怖感はあるけど、自分に合っているので。明日はどうなるかわからないけど、過去の優勝は過去のことなので、明日は良いプレーをしたいです」と気持ちを新たに最終日に臨む。 最終日に入っても早朝から断続的に雨が降り続き、午後には激しくなった雨脚の影響で競技が一時中断するなど大荒れの天候に。首位でスタートした有村は刻々と悪化する天候のなか、波に乗れないゴルフが続き、次第に後続に差を詰められる。そのなかで同じ最終組の森田理香子が徐々にスコアを伸ばし、優勝争いはこの2名に絞られる。勢いに乗る森田は15番でバーディーを奪い、ついに有村を逆転。しかしこれで火が付いた有村は、直後の16番で値千金のバーディー。対する森田は同じ16番で痛恨のボギーとし、再び有村が首位に。この1打のリードを守った有村が通算11アンダーで2011年シーズン2勝目を飾った。「シーソーゲームで毎ホール勝負だと思っていましたが、後半はひとつもバーディーが取れずこのまま終わるのは嫌だと思っていました。森田さんが16番でパーパットを外した時は、私はとにかくバーディーを取りたかったので」と、勝負どころのバーディーパットをきっちり沈める勝負強さが光った。惜しくも2位に終わった森田は「際どいバーディーパットも入ったけど、しょうもないミスもして自分で落ちていってしまって。バーディーを取ってもすぐボギーを打ってという…。優勝争いをしている中でそういうのは良くないので、もうちょっと自信を持ってスイング出来るように練習していきたいと思います。最後の3ホールは何が起きるか分からないと思っていたから、気を引き締めていったんですけど…」と悔やまれる敗戦となった。 |
第5回は 1月23日(月)掲載予定です。