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2016.5.29

表純子が地獄から天国へ 強風が運んできた今季初V

<Photo:Arrow Press/Getty Images>

 2016年LPGAツアー第12戦『リゾートトラスト レディス』(賞金総額8,000万円、優勝賞金1,440万円)大会最終日は、朝から吹き付けた風が徐々に強さを増し、12:58に強風のため競技一時中断。14:30に第3ラウンドの競技が中止となった。これにより第2ラウンド終了時点で成績が決定となり、表純子が通算9アンダーでツアー通算5勝目を飾った。LPGAトーナメント規定により、出場全選手のスタートが完了していたので、賞金ランキングへの加算賞金率は75%となるが、支払い賞金率は100%となる。

 強風が幸運を運んできた。最終日の競技が中止。2日目時点で首位に立った表純子の通算5勝目が決まった。「率直にいって複雑です。ロッカールームで競技再開を待っている時、他の選手にいろいろ冷やかされた…」。それはそうだろう。この日、9ホール終了時点では、6番のパー3で、「7」の大叩きがあった他、1ダブルボギー、3ボギーの45。通算イーブンパーの31位タイまで後退していたからだ。「2日目と違って、調子が良くない。風が吹くと、ショットがうまくいかなかった。でも、順位は関係ない。10番から、気持ちを切り替えてパーを拾っていこうと、自分へ言い聞かせた」。そんな時、中断のサイレンが鳴った。クラブハウスで待機をしていた約90分間を、「表現のしようがありません。風に対し、神経質になりすぎていたとか、そんなことを考えていた」という。

 地獄から天国へ―。表彰式、優勝者インタビューでも表は、素直に喜べない様子だった。しかし、スポーツはルールがあって成立するもの。加えて、2日目にマークした64は、従来のトーナメントコースレコードを3打も縮める達人の技だ。「後ろめたい気持ちもあります。何か、一生いわれそう」。すまなそうな口ぶりだったものの、最多連続出場試合記録を更新中だけに、そこは頑張っている人へのご褒美と思えばいい。「大きな故障がなければ、ずっと試合へ出場したい」と気持ちを新たにして、「今度はきっちりと勝ちます。できれば、今シーズン、もう一度ちゃんと勝ちます」。鉄人が誇るのは、体力だけではない。揺るぐことがない、鉄の心までをもっている。

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