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2017.3.12

全美貞、まずは10億円突破! レジェンドへまた1歩

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 2017年LPGAツアー第2戦『ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップ』(賞金総額8,000万円、優勝賞金1,440万円)大会最終日が12日、高知県香南市・土佐カントリークラブ(6,228ヤード/パー72)で行われ、全美貞が逆転優勝を飾った。勝負は通算7アンダーで並んだ藤崎莉歩とのプレーオフ。1ホール目でバーディーを奪い、あっさりと決着した。通算25勝目をあげるとともに、生涯獲得賞金10億円を突破。レジェンドへ、また一歩近づいた。(天候:晴れ 気温:13.7℃ 風速:4.1m/s)

 記録を更新する6年連続のプレーオフ。1ホール目でこの日の勢いをそのままに、全美貞は7メートルのバーディーパットを楽々と沈めた。「スライスラインです。カップに寄せることだけを考えた」という。でも、ツキがある時はすべてがうまくいくものだ。「幸せです」とほほ笑む。

 最終日は大混戦だった。誰が勝つかわからないスリリングな展開。18番、全のティーショットは、大きく左へ曲がる。「打った瞬間、バイバイだと思った。100%、OBでしょうね」。ところが、木に当たって、ボールはラフで止まる。このホールをパーで切り抜けた。「2日目もそうだったけど、18番は緊張してしまう。そんなラッキーがあったから、本当はプレーオフって、私はとても苦手だけど、きょうはとても楽な気持ちで臨むことができた」と話した。

 優勝を狙ったわけではない。最終日のテーマは、「ノーボギーのラウンド」。1月10日から約40日間にわたって取り組んだ、兄から指導されたスイング改造の結果を、実戦でチェックすることが目的だった。「去年まで、右へ押し出すことが多かった。インパクトの手前から、左へまきつくような感じです。これだけの改造と、思い切ってトレーニングしたのは本当に久しぶり」。故障続きで一時は引退も考えたほどだ。ただ、治療のかいもあり、「今は、心配なところがありません。首やヒジは職業病だから仕方がないけど…」。175センチ、68キロという恵まれた体形だが、意外なことを口にする。「ヘッドスピードが去年まで、40m/sでした。それが、42-43m/sも出るようになった。飛距離が10ヤードも伸びるとゴルフも楽しい」。

 豪快な印象とは対照的に手先が器用だ。趣味はニットの編み物。ヘッドカバーをつくり、韓国の先輩、李知姫などへプレゼントする。一方で、以前から口にしていた通算30勝をあげて、永久シード獲得という大目標へ、あと5勝。「それはゴルフの神様しだい。欲張らずにひとつ、ひとつ。できたらうれしいけど、たとえできなくても後悔は絶対にしない」と誓っている。そうはいっても、区切りの25勝は生涯獲得賞金が10億円を突破した、ひとつの節目となった。「それだけ稼いだ実感はないし、どこに残っているのでしょうか。家族のために家を買って、自分の大きな買い物といえば、車ぐらい。私はつつましい、おばさんですからね」。34歳なら、そんな年齢ではない。新たな旋風を巻き起こすムードを漂わせていた。

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