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2015.5.24

笑、涙、そして勝利! 光った、吉田弓美子の分析力

 2015年、LPGAツアー第12戦『中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン』(賞金総額7,000万円、優勝賞金1,260万円)の最終日が5月24日、愛知県豊田市の中京ゴルフ倶楽部 石野コース(6,459ヤード/パー72)で行われ、吉田弓美子が通算15アンダーで2年ぶりのツアー優勝を飾った。序盤からジョン ジェウン(韓国)とのマッチレースの展開。2度、首位に並ばれたものの、16番でバーディーを奪い、1打差を守り切った。2位は通算14アンダーのジョン、3位タイに上田桃子、穴井詩。(天候:晴れ、気温:25.5度、風速:1.9メートル)

 自分をいかに客観的に観察できるか。ハイレベルの大接戦ではそれが生きる。この日のために、吉田弓美子はアナリストとして、『プロゴルファー・吉田弓美子』を多方面から分析してきた。「勝負は、やっぱり14番から」と活を入れたのは、オフの間、撮り溜めておいた、さまざまな世界中のツアーを見直して独自の結論に至ったから。「優勝した選手は、勝つという、強い気持ちが表れる。それがだいたい14番から、ということが見て取れた」という。

 その14番、カラーから8メートルのバーディーをねじ込んだ。この時に備え、入念なシミュレーションを行っている。「2日目が終わった後、カラーからのバーディーチャンスを想定し、あらゆる距離を練習しました。会心のバーディーです。気持ち良かった!」と自画自賛。続く、15番でジョン ジェウンがバーディーを奪い、首位に並ばれたものの、勝利への強い気持ちは全く揺らぐことがなかった。なるほど、16番で吉田は、バーディーをとり、1打差をつけている。そうはいっても、50センチのウイニングパットだけは、「緊張で、手がしびれていた。どうやってカップインしたのか、覚えていません」。

 3勝をあげた2013年とは対照的に、昨シーズンは未勝利。その1年間、さまざまな葛藤と戦っていた。「去年は自分のゴルフをひとつずつ見直し、足りないものを補うのがテーマでした。しかし、自問自答することばかりで、なかなかこれだ、という答えが出ない。そうしている内に、なぜ、自分は明るく楽しくふるまわなければならないのだろう。そんな疑問がわいてきた」と振り返っていた最中でも、涙が込み上げてくる。しばし、沈黙の後、「ファンが望むようなキャラクターをつくっていたことに気が付きました。うまく、いかない時でも、笑っていなければいけない。苦しかった」と本音を明かした。

 それだけに、オフから「2015年は、成長の年にしたい」と肉体改造、自己分析に加え、長尺パターを封印するなど、数多くのテーマへ取り組んだわけだ。顔で笑って、心で泣いていた吉田。「第2のゴルフ人生が、きょうから始まりました」と宣言した。偶然だが、5月24日は英国の貿易商、アーサー・ヘスケス・グルームが1903年のこの日、日本初のゴルフ場をオープンした『ゴルフ場記念日』。新しい門出にはふさわしい1日である。

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