2018.10.21
Day 4 ~ 松尾恵のプラスワン テック
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
NOBUTA GROUP マスターズGCレディース マスターズゴルフ倶楽部(兵庫県)最終日
アンソンジュさんは、本当に強かった。強さをみせつけたのは、16番。約3メートルのパーセーブです。ここが勝負所。きっちりとカップインさせました。強さの秘密です。
最終日、誰もが5ストロークのアドバンテージを握っていれば、楽々の逃げ切りシーンを思い浮かべていたでしょう。ところが、首痛などの体調不良に加え、睡眠不足で、前半はこのままズルズルと後退してしまうのか…。そんな印象でした。スタート前は関係者の方も、話ができなかったほどだと漏らしていました。
私もハーフ40のスコアには本当に、本当にびっくり。しかし、最悪の状況でも精神力が違います。後半のスタートでバーディー発進は、実力者の証でしょう。わずかなインターバルで悪い流れを断ち切った。これが精神力の強さ。確かに、生命線ともいえる、アイアンショットの切れは、第1日や第3日のようには鋭くありません。
ただし、積み上げてきたものがある。天性の素質と技術に加え、コースマネジメントのうまさも見逃せないでしょう。アンさんは、「前半、5打差があったので安全な感じでいけば何とかなる、と思っていた」といいます。ただし、好事魔多しのたとえ通り、「安全にプレーするのは自分のスタイルではなかった。また、安全とはどうしたらいいのかわからない。失敗でした。後半はいつものように自分のスタイルへ」。修正力にも脱帽です。
普段、話をしていても、常に控えめで「ダメです」といいながら結果を出す。能ある鷹は爪を隠すが如し−でしょう。研究精神も旺盛。常にピンチを脳裏へ描いて、練習に余念がない。リカバリーもお上手です。では、いったい彼女は何が不得手なのだろうと考えた時、それが見つからないことに気がつきました。
プレッシャーに弱いと口にしながら、開き直ってきょうのようなプレーもできる。ゴルフはメンタルのスポーツであることがわかります。日々精進し、限界をつくってはいけない。アンさんの強さを再認識した18ホールでした。
(松尾恵=担当理事)
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