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2018.12.20

記者会見概要及びポジションペーパー
LPGAツアーにおける「放映権」について

一般社団法人 日本女子プロゴルフ協会
会長 小林 浩美

 このたび、当協会は、去る12月18日に、2019年度LPGAツアーにおける放映権について記者発表をしましたが、その内容について、下記のとおり、お知らせします。

 これまで多くの会員の皆様はじめ全国のゴルフファンの皆様、大会関係者の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。心配や不安が数多くあったことと思いますが、ほとんどの方々は、多くを語らず、協会の行動をずっと見守ってくださいましたことに深く感謝申し上げます。

 これまで皆様に詳しいお話ができなかった理由は、LPGAツアーにおける放映権の問題については約2年間にわたり、主催者様と当協会との間で交渉を行っていたからで、守秘性が高かったからです。このたび、ようやく「放映権」に関する交渉がまとまり、皆様にすばらしいご報告ができることを大変嬉しく存じます。

 「放映権」に関する交渉経緯、「放映権」の意味、今後の方針等については、以下で述べますが、今回の主催者様との交渉の結果、各主催者様と当協会との間で、LPGAツアーにおける放映権の考え方を確立することができました。これはゴルフ界にとって画期的な第一歩となりました。

1.放映権に関する交渉を行うに至った経緯
 皆様も御承知のことかと存じますが、プロ選手の権利を管理するプロスポーツ団体として最も重要な権利といわれている「放映権」について、当協会は、初期のトーナメントがテレビコンテンツ事業として始まったことに起因する等の理由から、今まで十分な権利主張をしてきませんでした。

 しかしながら、昨今のインターネットの普及から、スポーツ・コンテンツが世界中に配信される時代になりました。世界の女子プロゴルフ団体は放映権を既に持っており、放映権料で選手や会員への投資、トーナメント価値向上のための原資としています。当協会としても、放映権料を得て、この資金を選手や会員への投資、トーナメント価値向上のために用いることができればと考えました。

 また、近年、多くのファンの皆様から、現状の地上波放送はインターネット等で結果が出た後に録画放送されるため魅力的でない、生放送でLPGAツアーを観戦したいとの意見をいただくことが多くなっていました。

 そこで、当協会は、インターネットでLPGAツアーを国内外に生放送し、多くのゴルフファンに生の醍醐味を提供するとともに、ゴルフ関心層の薄い10代から40代の人々にゴルフを訴求し、将来のゴルフファンになっていただきたいと考えました。

 そのためには、当協会においてLPGAツアーの競技について、適法にインターネットで配信することができるようにする必要がありました。しかしながら、日本の女子プロゴルフトーナメントについての放映権は、内容及び所在について明確でなく、それについて定めた文書も契約も存在しない状況でした。

2.LPGAツアーについての放映権
 LPGAツアーについての放映権とは、LPGAトーナメントをテレビ放送、ラジオ放送、インターネット配信その他一切の公衆送信を行う権利を指します。

 LPGAツアーにおける放映権は、1967年の協会創立以来、その定義と所在があいまいなまま51年間過ぎてまいりました。それをこの度の交渉の結果、トーナメント開催規定(現名称:LPGAトーナメント開催規約、LPGAツアー開催規定)の改定を行い、「放映権」について明確にすることができました。すなわち、LPGAツアーについての放映権が、主催者様が有する施設管理権の一部(撮影機材、放送機材や設備を持ち込むことを許諾する権利)と当協会の有する出場選手の肖像権の2つから成ることを確認することができました。

 これは「放映権」に関する成文法がない日本のゴルフ界にとって画期的な第一歩といえます。

 これもひとえに、選手の皆様がトーナメントに出場された際、日々努力して卓越された技術を披露し、多くのゴルフファンを魅了し、また、プロアマ大会等で主催者のお客様に対して素晴らしいホスピタリティを発揮し、主催者の皆様から大きな信頼を勝ち得てきたからこそです。協会創立以来51年間、これまで多くの会員や選手の皆様の努力の上に、この放映権の考え方が確立されました。

 もちろん、この大きな変革を最初から熱烈に応援やご支援してくださる大会主催者様がいらっしゃいました。また、幾度も交渉を繰り返し、当協会と一緒になって前向きに取り組んでいただいた主催者もおられ、当協会にとりまして大きな力になり、支えとなってくださいました。

3.主催者様及びテレビ局との交渉の経緯
 2017年8月以降、当協会は各大会主催者の皆様と交渉を個別に開始し、2018年度は1月、3月、5月の3回にわたり、全大会の主催者の皆様と合同ミーティングを行いました。またこれとは別に5月、各テレビ局の皆様との合同会合も開催しました。さらに、それ以降も各大会主催者様と個別交渉を重ねて参りました。

 その後、2019年度LPGAツアー開催締結締切日を今年9月25日としましたが、さらに時間が必要と判断し、締切日を2ヶ月延長して11月28日としました。ここでほとんどの主催者の皆様との開催締結が完了しました。

 しかしながら、一部の主催者の方々は、「施設権利権を持つ者(主催者)だけが放映権を持つ」とか、「出場選手の肖像権は、トーナメントの中継映像に及ばない」などと主張し、当協会の放映権の考え方そのものに一貫して難色示されました。

 当協会としては、日々努力して卓越した技術をトーナメントで披露している選手の肖像に価値がないとの一部の主催者の方々による主張は到底受け入れられるものではありませんでした。そこで、再度、上記一部の主催者の方々に当協会の考え方を受け入れていただきたく、最終締結締切日を12月13日としました。その結果が、本日発表させていただいた2019年度LPGAツアー開催日程となりました。

4.放映権に関する今後の方針
 LPGAツアーの放映権を一括管理することにより、個別に売るよりも全体まとめて売ることで大きな価値を生むことは他のスポーツを見てもわかります。それを有料で動画配信を行う業者に販売することで対価を得て、その対価により、当協会の持続的な財務基盤を整え、選手や会員に投資して、さらにLPGAツアーの価値を高める所存です。

 さらに、当協会は、放映権により得た対価から管理費等を引いた上で、施設管理権を有する主催者の皆様に対して分配金という形で還元したいと考えています。

 当協会はテレビ放映権料を請求することは現状では考えていません。

 これまで長い間、LPGAツアーを支え大きく育てていただいた公認競技の主催者様には、「これまで通り、地上波放送、BS放送、CS放送においては無料のままとさせていただき、当分放映権料を取るつもりもありません」と最初からご説明しています。したがって、どこから当協会が主催者様に対してテレビ放映権料を請求する予定であるとの憶測がでてきたのかはわかりません。

 すでに多くの大会では、放映権を当協会に帰属させることを認めてくださっています。他方、テレビ局様はじめ一部の主催者様との間では、これまでの歴史に鑑みまして、2020年まで継続審議となっています。

5.主催者様に対して行った説明の内容
 そもそもなぜ放映権のことを明確する必要があったのか、その理由と経緯を説明いたします。以下の説明は、各大会主催者の皆様に対する説明と同様の内容です。

 当協会は、グローバル競争がますます激しくなる中、⑴国内外で選手が活躍すること、⑵数あるスポーツの中で、多くの方々にゴルフのファンになっていただくこと、⑶そして、組織自体も強くなることがツアーの価値を高めることになると確信しております。日本女子プロゴルフツアーもグローバルに動ける体制とすることは必須です。

 そのために、当協会の組織力強化に鋭意取り組んでおり、このたびの「放映権」を含むトーナメント開催規定の改定の決断に至りました。

 まず、当協会は、公益法人制度改革に伴い、2013年度1月4日付で、それまでの規制で守られていた社団法人から一般社団法人に移行しました。これにより、いつ競争相手が現れてもおかしくない状態となりました。
 また、それまで税率は19%程度だったものが一気に40%前後まで跳ね上がり、これまでと同じことをやっていたのでは、当協会そのものの存続が危ぶまれる財務状況となりました。これを受け、当協会は日本の女子プロゴルフ界を代表する唯一無二の存在となるために、LPGAツアーの価値のさらなる向上をめざすとともに、これまで以上に当協会の組織力強化を推進することといたしました。

 私は、LPGAツアーの価値を高め、当協会の組織力強化には、①持続可能な財政基盤の確立と②ツアーの環境整備の両者が不可欠と考えており、②のツアー環境整備については、以下の(ア)のとおり、すでにその取り組みは成功しつつあります。

 しかしながら、①持続可能な財政基盤の確立については、以下の(イ)の通り、達成するには程遠い状況となっております。

 「放映権の定義とその所在」を含むトーナメント規定の改定は、上記①の持続可能な財務基盤を確立し、私たち協会の組織力強化を達成し、LPGAツアーの価値向上のために行ったものです。

(ア)ツアーの環境整備に向けた取り組みは成功しつつあります。
 当協会は、2013年度に当協会として初めて中期経営計画を作りました。それがLPGA2016ビジョン「日本女子プロゴルフ協会のブランドの確立」です。その計画の策定においては、ゴルフ専門団体ならではの安心、信頼、クオリティの高さを目指した仕事内容に重点を置きました。

 特にTPD部門では「ツアー強化」を重点テーマとして、レギュラーツアーでは4日間競技の推奨、練習場環境の充実、ステップ・アップ・ツアーの試合数増加、仕事の精査と効率化に対して、具体的な目標数値を掲げ、その達成に励んで参り、かなりの成果を出しつつあります。

 また、2期目の中期経営計画LPGA2019ビジョン「変革、そして成果へ」でもTPD事業部は引き続き「ツアー強化」を掲げ、スタッツの充実やリランキング制度、コースセッティングの多様化など、さらなる環境整備を図り、選手の持てる能力を引き出し、国内はもちろん2020東京オリンピックをはじめ世界での活躍を見据えた取り組みに邁進しております。

(イ)持続可能な財政基盤の確立のための、「放映権の定義とその所在」を含むトーナメント規定改定を行いました。
上記(ア)の取り組みに加え、上記中期経営計画LPGA2019ビジョン「変革、そして成果へ」で取り組みたいと考えたのが、ゴルフのスポーツビジネスの基盤構築です。

 一般的に、プロスポーツの主な収入源として、⑴入場料、⑵放映権料及び⑶その他の収入が挙げられます。私たち当協会においては、公認競技と一部主催競技において、⑴と⑵の収入は得ておらず、その収入源は非常に限られたものでした。

 特に、⑵の放映権料はプロスポーツ団体の収入の大きな部分を占め、スポーツビジネスの核となっています。すでに、米国、欧州、韓国、中国において、各女子プロゴルフツアー団体が放映権を保持しています。

 しかしながら、日本女子プロゴルフ界の場合、放映権は協会創立以来51年間、その定義と所在が明確でない状況が続いていました。協会内部でも確認しましたが、放映権についてはこれまでどの主催者とも合意などしたことはありません。

 日本においても、協会が放映権を取得すれば、それは私たち協会の持続可能な財務基盤の確立に大いに役立つことになると考え、この改定を行いました。

 持続可能な財務基盤を確立することで、長年選手の皆様が望んでいるフィットネスカーの導入や託児所の設置等に投資したり、選手の年金制度を確立したり、会員から長年要望されている会費削減等に充当することができます。その他にも会員や環境整備等に還元することで、トーナメントそのものの価値をさらに向上させることにつながります。

 これらの変革により、当協会が持続可能な財政基盤が確立できれば、当協会におけるスポーツビジネスの核となり、当協会そのものの存続を心配することなく、成長し発展できる機会が増えていくと信じています。また、LPGAツアーの価値をさらに高めて行くことで、長年トーナメントを開催してくださっている主催者の皆様はじめ、多くのゴルフファンの皆さまにもさらなる応援やご支援をいただけるものと確信しております。

 この度、大会主催者の皆様と放映権の考え方が合意できたことで、出場選手の肖像権がトーナメントの中継映像に及ぶ、すなわちトーナメントに出場する選手の肖像に価値がある、ということが形になり証になりました。会員、LPGAツアー、そして当協会にとりまして、その点において世界の女子プロゴルフ団体とやっと肩を並べられる環境が整いました。2019年度LPGAツアーで当協会と一緒に歩んでくださいます、たくさんの大会主催者の皆様には、心より感謝申し上げ、迎える2020年東京オリンピックでの金メダル獲得を見据え、さらなる国内外でのLPGAツアーと当協会の発展を目指してさらに鋭意努力してまいります。

 この度は、多くの皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしましたこと、重ねて深くお詫び申し上げます。

以上

(ポジションペーパー)

2018年12月18日

LPGAツアーにおける「放映権」について

一般社団法人 日本女子プロゴルフ協会

 弊協会は、LPGAツアーにおける「放映権」について、現在までの経緯と今後の方針等について、以下のとおり、ご報告申し上げます。

1.放映権の交渉に着手した経緯
●LPGAツアーにおける放映権は、1967年のLPGA創立以来、その所在が不明確なまま51年間が経過した
 ≫このような曖昧な状況下においてテレビ中継がなされていたのは、初期のトーナメントがテレビコンテンツ事業として始まったことに起因する
●しかし、以下の理由から、放映権の交渉に着手した
 ≫弊協会の持続可能な財務基盤を確立し、組織力強化を達成し、LPGAツアーの価値を向上する必要がある
 ≫個別に許諾するよりも全体をまとめて許諾することで大きな価値を生む
 ≫インターネットでLPGAツアーを国内外に生放送し、ゴルフファンに生の醍醐味を提供する

2.放映権の根拠
●成文法はない
●放映権は、(i)施設管理権の一部(撮影機材、放送機材や設備を持ち込むことを許諾する権利)と、(ii)出場選手の肖像権の2つから成る
 ≫(i)施設管理権を持つ主催者様と(ii)出場選手の肖像権を持つ弊協会との間で、放映権の帰属について合意することで、はじめて十分な放映権が主張できる
 ※ここでいう「放映権」とは、LPGAトーナメントをテレビ放送、ラジオ放送、インターネット配信その他一切の公衆送信を行う権利を指し、公衆送信のための撮影、録音、録画を行う権利を含みます。

3.今後の方針
●放映権に基づき弊協会が得る収入から管理費等を控除した上で、施設管理権を有する主催者の皆様に対して分配金という形で還元
●会員・選手に還元(フィットネスカーの導入、託児所の設置、選手の年金制度の確立、会費削減等を検討中)

以上

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