マスターズＧＣレディース　最終日

大山志保が逆転で3年振りの復活優勝

　2011年度LPGAツアー『マスターズＧＣレディース』（賞金総額1億2,300万円、優勝賞金2,214万円）の最終日が兵庫県三木市のマスターズゴルフ倶楽部（6,458Yards／Par72）で行われた。

　天候：晴れ、気温：21.9℃、風速：2m。雷によりサスペンデッドとなった第2ラウンドの続きと最終ラウンドが行われた最終日。優勝争いは大会レコードタイの65をマークして7アンダーで競技を終えたポーラ・クリーマー（米国）とそれを追う大山志保、上原彩子、馬場ゆかりの4人に絞られたが、最終18番ホールで15mのバーディーパットを決めた大山が土壇場でクリーマーに追いつき、勝負の行方はプレーオフへ。プレーオフ3ホール目、3m弱のバーディーパットを沈めた大山がクリーマーとの激戦を制し、2008年の同大会以来、3年振りとなる優勝を飾った。

　3年ぶりの復活優勝。その道程は長く険しいものだった。2000年にプロ入りし、2003年に初優勝。2006年には年間5勝を挙げ賞金女王にも輝いたが、2009年の夏に左肘の痛みが悪化。「左肘が全く曲げられなくて、もうゴルフができなくなるんじゃないかと思いました」と手術を決意し、シード者に適用するトーナメント特別保障制度で1年間ツアーから離れる事となった。手術後は激痛と闘いながらの、壮絶なリハビリが始まった。「周りからは『もう32歳だし厳しい』とか、『若かったら大丈夫だけど…』とか言われて、本当に辛かったです。40歳、50歳になっても優勝したい気持ちがあれば関係ないと思っていたけど、ショックで辛かったです」と精神的にも追い込まれた。それでも“また優勝がしたい”という目標へ向け必死の努力を重ね、ついに2010年夏に復帰。ブランクを感じさせないプレーで9位タイに入る健闘をみせた。

　今シーズンに入ってからは20戦して予選落ちが1回という安定ぶり。さらに「練習場で、スイングを1軸から2軸に変えるようにしたら、強い球がでるようになって、パーオン率も上がりました」と、夏以降は好調時のショットも戻り、直近4試合で全てトップ10入り。いよいよ優勝が視界に入ってきた。そんななか、首位と2打差で迎えた今日の最終日。上位陣が足踏みをするなか、キレのあるショットで次々とバーディーを奪う。そして首位と1打差で迎えた18番パー4。バーディーパットは15mのスライスラインと、ほぼ絶望的な距離だったが、「絶対入れるしか無いと、入れるという気持ちで打ちました」と強気に打ち出したボールは見事にカップイン。苦境の中で経験した、最後まで諦めない気持ちが勝利の女神を呼び寄せた。「たくさん言いたいことはあるけど、本当に嬉しいことでいっぱいです。今までたくさん泣いてきたし、プレーオフで興奮状態だったので」と優勝の瞬間は涙を見せなかった大山。地元宮崎で開催する最終戦への切符も手にし、高らかと復活を宣言した。

ポーラ・クリーマー （2位：-7）
「今日はできれば5・6アンダー出せればと思っていましたが、7アンダーが出せてミスらしいミスも無かったし、完璧に近いラウンドだったっと思います。（プレーオフ最後のセカドショットは）ボールに少し泥が付いていて、ショットにも影響はありましたね。そこはアンラッキーでした。負けたのは悔しいけど、ベストのプレーをしたからといって必ず勝てるわけではないというのがゴルフの難しいところですね。（今大会を振り返って）プレーオフでも大山さんと平等に私に拍手を送ってくれた日本のファンに感謝したいです」。

上原彩子 （3位：-6）
「ショットは良くなかったですけど、攻める気持ちは忘れずにプレーできたので。先週はいい所にいながら、スコアの作り方が上手くいかなくて、攻めないといけないところで守ってしまったり、というのがあったので…。今週は先週に比べたらショットが良くないなかでも攻めるところで攻められたので、プラスの一週間でした」。

馬場ゆかり （4位タイ：-5）
「今日は一日いいプレーができたので、最後はボギーでしたけど、悔いはないです。ポーラも志保さんもいいプレーしてたので、自分も最終組で良いプレーができたし良かったと思います。今週のゴルフは、やっと自分のリズムとショット、パットも取り戻せてきたので、本当にいい一週間でしたね」。

川岸史果 （7位タイ：-3） ※大会ベストアマチュア
「今日はティーショットがフェアウェイに行ってて、セカンドもパッとイメージが浮かんでピンに寄りました。調子がいい時は、距離感がわかればこの番手だってすぐにイメージが浮かびます。ひとつボギーを出したのが痛かったけど、上出来だったと思います。（キャディーをしてくれるお母さんとは？）ラインとかは読めないんですけど、練習ラウンドでメモをいっぱい書いてアドバイスしてくれるので助かってます」。