1. ホーム
  2. ニュース&トピックス
  3. ヤマハレディースオープン葛城 3日目

2014.4.5

ヤマハレディースオープン葛城 3日目

連続バーディースタートで、あわや、棄権!?
首位に立った吉田弓美子のアッと驚く舞台裏

 2014年度LPGAツアー第5戦『ヤマハレディースオープン葛城』(賞金総額1億円、優勝1,800万円)の第3日が、静岡県袋井市の葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(6,540ヤード/パー72)で開催された。

 難コースと強風の影響で、スコアを落とす選手が続出したが、2位タイからスタートした吉田弓美子が我慢のプレーを展開。3バーディー・2ボギーの71で回り、通算6アンダーで首位に立った。1打差の2位にはアンソンジュ(韓国)、3位には通算4アンダーで前日首位の笠りつ子がつけている。通算3アンダーの4位タイにキムヒョージュ、イボミの韓国勢が続き、ルーキーの藤田光里、昨年の賞金女王・森田理香子が通算2アンダーの6位タイ。(天候:晴れ、気温:12.7度、風速:4.7メートル)



 マスクに覆われた吉田弓美子の表情は、見ている側には全くわからない。ところが、体調不良で苦悶していたというのだから驚きだ。1番でピン横3メートルのバーディーパットを沈め、続く2番でも1メートルをキッチリと決めて、連続バーディー。この時点で同組の笠とともに、首位に並んだ。「気持ちが悪い。また、倒れたら迷惑がかかる。どうしよう…。棄権を考えました」。前週のアクサレディス第1日、花粉症からくる過呼吸を発症。救急搬送されたことが重くのしかかっていた。悪夢が再び―。各ホールのティーショットを打つ前には、座り込んで下を向いていたほど。そんな状況が5番まで続いた。

 しかし、"病は気から"の言葉ではないが、活を入れたのは、コースを吹き抜ける強風。「風が強くなってきて、チャレンジ意欲がかき立てられました。次はどう打つ。そんな考えるゴルフをしていたら、面白くなってきた。楽しいなぁ。葛城はすごいなぁ」。厳しいコンディションになった時、どんなスポーツでも真価が問われる。吉田はこの日、プロフェッショナルとしての資質を試されたのかもしれない。元々、困難に直面すれば強さを発揮するタイプ。プロテストの時もそうだ。本番の4週間前にぎっくり腰になって、クラブが振り切れない。そんな状況で挑んだテストは、トップ合格だった。「あれで人生が変わりました」と振り返った。さらに、「プロテストは、先が見えない状況。ミスをできなかった。そのことを考えたら、このぐらい何でもない。いろいろなショットを試合で試すことができて、失敗もするけど、成功した時はたまらない気分になります」。これこそ、プロが味わう快感なのだろう。



 他の選手が嫌うコンディションも、吉田は、「荒天のプレーとか、私は嫌いじゃありません。だって、我慢をしていれば絶対にチャンスが巡ってくるでしょう」とも。ただし、気配りの人らしく、ギャラリーへは、こんなメッセージを送る。「きっと、今日の私のプレーは見ていて面白くなかったでしょうね。ヤジが飛んでこないか、とても心配でした。負担がかからないよう、手前から手前からのプレーばかりでしたから…」。

 ちなみに、ちょっと気が早いかもしれないが、ウイニングパットでは、マスクを着用したままか、否かの質問を受けると、「うーん。どうしましょう。その状況になってみないとわかりません」。取材に応じている最中も、目は充血して体調不良が一目瞭然。それでも笑顔で対応する姿勢にもプロの矜持が見て取れた。



 新人戦を制して、ファイナルQTをトップで通過。今季、鳴り物入りでツアーデビューを果たした藤田光里が最終日、初の優勝争いへ挑む。第3日は、1番でボギーの後、2番でもダブルボギーのスタートだった。「出だしで、今日は終わったな、と思いました」。しかし、あきらめるのは早い。「目標はパープレー。どうにか取り返したいとプレーしました」という。3番でこの日初めてのバーディーが決まると、その後、4つのバーディーを上積み。ホールアウトしてみれば、首位から4打差の6位タイへ浮上している。

 「最終日は、順位を考えていません。少しでも伸ばすことができたらいいですね」と無欲をアピール。とはいえ、「イメージが大事だから」と試合へ臨む際は、大好きなSuperflyの曲を聴きながら、テーマ曲だったテレビドラマのワンシーンを思い浮かべるそうだ。「私も格好よく決める時が来ますように…」。最終日、スーパールーキーにも注目が集まる。


アンソンジュ (2位:-5)
「今日は2~3メートルのチャンスが前半なかなか入らず、悔しかった。それでも長いパットも入ってくれていたんでよかったなと思います。今週はショットとアプローチが調子いい。パットも感覚が先週くらいから戻ってきています。明日は18番終わらないと分からないけど、チャンスだとは思っています」。

笠りつ子 (3位:-4)
「結構ショットはいい感じだったんですけど、付く所が傾斜の難しい所に付いてしまって…。しょうがないです。後半はちょっと暴れたというか…。明日は、落ち着いて焦らず淡々と自分のゴルフをするのみ。修正して明日は強い気持ちで思い切りいきたいです」。

キムヒョージュ (4位タイ:-3)
「今日は前半うまくプレーできず苦しい展開だった。風も吹くし、なかなか思い通りにいかなかったので、前半の折り返しで、今日は焦らずに後半は1ホール1ホール、パープレーを心がけようと思い直した。そこでうまく気持ちの切り替えができた。明日は、今日の前半のように迷いながらプレーするのではなく、こういう風でも我慢してプレーすることで結果が出ると思います」。

森田理香子 (6位タイ:-2)
「今日は風向きとピンの位置が難しくて奥に行かざるを得ない事もあったけど、ショットも全体的には悪くはない。明日は徹底的に手前から行きたいです。風も吹くと思うし風に向かって思い切ってやれるかどうか。運を味方につけることができれば、いい位置にいけると思います」。

馬場ゆかり (8位タイ:-1)
「今日はお天道さまが見られた。やっぱり太陽の下でのプレーはいいですね。リズムが良かったのでスコアを伸ばすことができました。ここは、冒険しにくいコースですし、最終日はより状況判断をしっかりしないといけませんね」。

諸見里しのぶ (8位タイ:-1)
「左の背筋を痛めているので、万全とはいきませんが、今日のラウンドはとても楽しかった。成績よりも自分のスタイルをブレないでやり通すのが、テーマのひとつ。途中から、久しぶりにカメラマンさんが沢山ついてくれたのもうれしいことのひとつだったけど、花粉症なので鼻水が出ないか心配でした(笑)」。


このニュースをシェアする

記事検索記事検索ARCHIVE

年を選ぶ arrow
月を選ぶ arrow
カテゴリ arrow
search検索