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2014.4.6

ヤマハレディースオープン葛城 最終日

18番、まさかの決着 アンソンジュが逆転で今季初V
吉田弓美子とのデッドヒートを制す

 LPGAツアー第5戦『ヤマハレディースオープン葛城』(賞金総額1億円、優勝1,800万円)の最終日が、静岡県袋井市の葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(6,540ヤード/パー72)で行われた。

 難コースと強風の影響で、さながら我慢比べの試合展開。勝負は序盤からアンソンジュ(韓国)と吉田弓美子のマッチレースとなった。勝負を分けたのは18番。吉田がボギーとしたのに対して、アンがパーをセーブし、通算5アンダーで今季初優勝、日本ツアー通算14勝目を飾った。1打差の2位に吉田弓美子、通算2アンダーの3位タイには馬場ゆかり、原江里菜、笠りつ子が入った。(天候:晴れ、気温:13.1度、風速:4.6メートル)


 18番、吉田の2メートルのパーパットがカップに嫌われた瞬間、驚いたのはアンソンジュだった。「17番で勝負に行ったバーディーが外れました。もし、優勝できるのなら、絶対に入ると信じていましたから…。だから、18番グリーンでは、プレーオフまでいってほしいなぁ、と思っていた。弓美子さんがそれを外すなんて、考えてもいません。とにかく、ビックリ。ただそれだけです」。

 とはいえ、自身も80センチのウイニングパットが残っていた。見ている立場としては、簡単そうに映ったが、「ドキドキした。緊張しました。でも、入ってよかった」。ガッツポーズの前に安堵のため息をついたのは、それだけタフな戦いだった証明だ。



 結局、目標の「ピンを狙う、ギャラリーへ魅せるゴルフ」は強風のために封印せざるを得なかった。スタートから、息詰まるような展開。笠が1番でトリプルボギーを叩き、優勝争いは、吉田を1打差で追うアンとのマッチレースとなった。お互いが、パーセーブを重ねるスリリングなシーンの連続。7番で、アンがチップインバーディーを決めて、首位に並び、9番で吉田がボギーを叩き、単独首位に立った。その流れが続く。ただ、勝負は簡単には終わらない。16番でショットが乱れ、ボギー。再び、首位に並ばれてしまう。おそらく、これまでの人生で最も長い一日と感じたに違いない。優勝直後、こんな話をしていた。「ものすごく高い山を登って、ようやく下山した気分。今は少し休みたい」。約5時間のラウンドから解放された。



 そのプレースタイルから一見、豪快に見えるアンだが、繊細で気配りを欠かさない。今シーズンは、メインスポンサーがつき、また使用クラブを一新。「応援してくれるスポンサーやメーカーの方のためにも、結果を残したかった。それだけではありません。自分自身も変わっていこう、と思いました」。

 勝負師にジンクスはつきもの。アンの場合、勝負ウェアにこだわり続けてきた。トレードマークとなっている白一色のパンツルックも、「きょうは、白が基調でしたけど、チェック柄のものにしました。これからは、いろいろな色にチャレンジするのも悪くはありませんね」。周囲からすれば、たかがそれだけだが、それこそ、アンちゃんの大冒険だったというわけだ。

 「今シーズンの目標は、まず1勝。それがこんなに早く達成できるとは思わなかったです。次は、2勝目ですね。賞金女王? シーズンは長い。去年の森田さんと横峯さんの戦いを見ていて、私もその中に入ってプレーがしたいなぁ、とは感じましたけど…」。控えめなコメントで締めくくった。



 勝負はゲタを履くまで― の格言ではないが、喜ぶのはちょっと早すぎた。プレーオフへ向け、確かな手応えのパッティングも、ボールはカップへ吸い込まれない。ガッツポーズまでつくったにもかかわらず…。吉田弓美子にとっては、それこそ、地獄へ突き落とされた感じだったことだろう。

 右ふちに蹴られて、無情にもボギーパットが残された。「お願いだから、誰もVTRを見ないでください。でも、入ったと思ったのに…」と苦笑して、「アンさんのプレーはあっぱれでした」と話していた。花粉症のため、相変わらず、マスク着用のラウンドだったが、「自分のケアレスミスで招いた結果。そうはいっても、今日はとても元気でした」という。

 しかし、プレーは常にクール。「葛城さんは毎年、コースコンディションを素晴らしくしてくださっています。少しでも、なんかイヤだなぁとクラブを握ると、体がしびれてしまう」。だからこそ、「とても挑戦のしがいがあった4日間。優勝を争っているというよりも、とにかく最後までプレーすることだけを考えていた。アンさんのプレーも勉強になりました。とにかく、そつがない。勉強、勉強の一日です」。

 まさに、プライスレスの経験をした吉田。今度のガッツポーズは、慎重に…。



 忍耐は急に身につくものではない。攻めたい気持ちをグッと抑えて、馬場ゆかりが3位タイでフィニッシュ。「14番ぐらいから、体がしんどかった。でも、崩れたら格好悪いですから…」。11番では50センチにつけ、マークをしようとしたら突風が吹き抜け、5メートルも転がり落ちるハプニングがありながら、パーをセーブした。そのご褒美が17、18番の連続バーディーにつながったのだろう。

 「子供の頃から両親に"忍耐強くなれ"、としつけられました」。ゴルフとの二刀流で、剣道を続けてきたのは、文武両道の精神を植え付ける目的。「いつも感謝していますけど、きょうは特に両親に感謝します」ととびっきりの笑顔をのぞかせた。


原江里菜 (3位タイ:-2)
「正直今週は調子が良かったです。先週とかはあまり調子は良くなくて、その中でも悪いなりにこなせるようになったし、底辺の底上げが今年のオフでかなり出来た事を感じています。噛み合えば自分の番が来るんじゃないかなと思います」。

笠りつ子 (3位タイ:-2)
「出だしでトリ打っちゃったのが…でも最後まであきらめずにやれました。今日はそのトリだけでしたね…。上がり3ホールは耐えたかな。また色々修正して来週につながるかなと思います」。

森田理香子 (8位タイ:+1)
「伸ばしている選手が多い中、自分は落としてしまったので、こういう時もある…と思って、また明日からやっていきたいです」。

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