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2023.1.12

春を待つ94期生~大林 奈央

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 コロナ禍の難しい調整を克服。2023年、プロ2年目のスタートを切る。21年11月、29.2倍という、狭き門を潜り抜けた94期生は逸材揃い-との評判が高い。

 おおばやし なお=1999年8月28日、兵庫県姫路市

 取材時に、まず目についたのはスマートフォンへ装着したケースだった。豹のイラストが大いに目を引く。「格好いいです。私、ネコ科の動物が好き。中学生から密かな楽しみとしてペン画を描いている。その一枚をデータに落として、ケースへ転写しました」。プロゴルファーは感性、感覚で勝負をしなければならない。隠された才能が、浮かびあがってきた。

 プロ2年目の今季は、大きな飛躍が期待されている。たとえば、初めて米国フロリダで行われる合宿の参加など、より積極的に行動を変化させていく。「去年、こんなにゴルフをしたのは初めて、というぐらいプレーをしました。まぁ、社会人1年生として、プロゴルファーですからプレーをするのは当然です。すべてが経験になりました。失敗もたくさん。また、人間関係などの大切さなど、コースの外でも勉強の毎日でした」。生真面目な性格をそのまま表現したのだろう。

 21年11月、最終プロテスト合格は4度目の挑戦だった。キャリアでは相生学院高3年時の17年、IMGジュニアワールドで優勝の実績が輝く。将来を嘱望されながら初受験から大きな壁に阻まれたことが不思議でならない。

 ただし、ルーキーイヤーからきっちりと結果を残した。22年ステップ・アップ・ツアー第3戦、フンドーキンレディースでプロ初V。しかも完全優勝のおまけつきだった。「去年、うれしかったことはやっぱり、フンドーキンの優勝。前週までショットが安定せず、ボロボロの状態だったから、まったく期待はしていなかった。でも、アドバイスをもらい、ちょっとスイングを修正したら別の私が…」と振り返る。

<Photo:Ken Ishii/Getty Images>

 さらに、「度胸がついたというのか、思い切って賭けにも打って出て、成功しました。最終日の17番第2打は、残り150ヤードでラフから8Iを選択。正直、ミスをすればグリーンをはずすリスクがあったけど、思い切って、です。ピン横3メートルぐらいにグリーンオンして、バーディーパットも決まった。2位とは差があったけど、これで優勝できる-あの手応えが残っている」と続けた。

 プロになって初めて、全身を覆いつくした快感。「シーズンを通して試合へ出場しながら、いろいろな状況を経験した。簡単にはボギーを叩かないようになってきた。すこしだけですよ。去年の収穫だと思います」と説明を加えた。

 質問をすると、ひと言、ひと言を吟味しながら、聞き手へわかりやすく答える様がいい。客観的に物事をとらえることができる選手と、お見受けした。そんな会話のやりとりがあり、最後は再び、豹へ話題が移る。

 「私は俊敏ではありません。QTランキングが68位。JLPGAツアー出場のチャンスは少ないでしょう。でも、主催者推薦選考会などへ積極的にチャレンジして、チャンスをつかみます。豹のようにはなれなくても、ビビリや怖がりの一面を今年は払しょくすることも目標にしているんですよ」。前記したIMGジュニアでは、笹生優花を逆転で破った。つまり、気持ちひとつで、豹へ変身を遂げることもできるわけだ。

(青木 政司)

<Photo:Christopher Jue/Getty Images>

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