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2023.3.5

ボギーで閃くチャンスの兆し 申ジエ念願の開幕V

<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン第1戦『第36回ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,160万円)大会最終日が3月5日、沖縄県南城市・琉球ゴルフ倶楽部(6,560ヤード/パー72)で行われ、首位スタートの申ジエが通算10アンダーで逃げ切りV。今大会、10回目の出場で初優勝を飾り、JLPGAツアー通算27勝目(招待選手での2勝をのぞく)をあげた。3打差の通算7アンダー、2位タイは上田桃子、稲見萌寧。
(天候:晴れ 気温:20.2℃ 風速:5.5m/s)
《グリーン=スティンプ:11 1/2フィート コンパクション:22.5mm》

 ホールアウトしてみれば3打差の圧勝。しかし、1打を争う序盤からの大接戦を申ジエは心の底から楽しんでいた。

 「優勝する、しないは関係ない。私が今大会で最も楽しみにしていたのは、最終日の18番グリーンへ上がる花道を歩くことです。たくさんのギャラリーの皆さんが待っていてくださる、あの雰囲気。プロになって本当に良かったなぁ、と心から感じるところなんです。しかも、今回は優勝を飾ることができた。大好きな日本で開幕戦を勝つことができた。一生忘れない思い出になる」。

 とはいうものの、この日は苦しい1日。1番からボギーを叩き、しかもなかなかバーディーチャンスが決まらない。6番でもボギー。首位を明け渡した。ただし、持ち前のプラス思考は極め付きの材料を感じ取っている。「6番、1.5メートルのパーセーブができなかったけど、とてもいいタッチ。これから良くなるサインが来た」。

 さすが、元世界ランキング1位である。五感を研ぎ澄ませ、その時を待った。続くパー5の7番、残り80ヤードの第3打をピン奥2メートルへ。見事なバウンスバックだ。前半最後の9番でもピン手前から1メートルのバーディーを決め、首位で後半へ向かう。

 その勝負の9ホール。最も印象に残るのは18番のバーディーだろう。ところが、自身が最大のポイントにあげたのは15番。何と、5メートルのパーセーブだった。「16番のパッティングもナイスだったけど、やっぱり15番です」。この時ばかりは、ちょっと興奮した口調になった。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 22年は両ひじの手術など、久々に勝利から遠ざかったシーズン。今季の目標を「けがをしないようにシーズンを送ること」を最初に掲げた。振り返れば昨年の大会では、「今だから」-と前置きし、こんなエピソードを明かす。「実は去年の最終日、スタート前に棄権を考えた。ただ、同組はアマチュア2人。どうしても一緒にプレーをしたかった。それが私の責任。でも、出場したものの、プロになって初めて80台のスコア(81)でした」という。

 ちなみに、同組でプレーしたひとり、荒川怜郁は今回がプロデビュー戦。心があたたまる、ちょっといい話だ。

 34歳、ベテランといわれる年齢にもなった。今季の開幕戦、30歳以上の選手が5人、トップ10。若手の台頭ばかりがクローズアップされてきたが、やはり新旧のスターが勝負を争うと、よりおもしろい。「いつかはクラブを置くときがくるでしょう。だけど、もっとツアーでプレーします。今回も出場した不動裕理さんが、通算50勝をあげた大会で私は同組でした。それから、今年優勝したオーストラリアのヴィックオープンは、アメリカで一緒のカリー・ウェブさん(48)もプレー。大いに刺激を受けました」とも。

 そうした流れで、「永久シードを目指すことは、もっとやるぞ、という原動力になる。もうひとつ、きょうはJLPGAブライトナーとして勝てたことを誇りに思います」と結んでいる。すでにレジェンド。トークも満点だった。

(青木 政司)

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