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2023.6.4

6年ぶりの復活V 川岸史果-大激戦を制す

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン第14戦『リシャール・ミル ヨネックスレディスゴルフトーナメント 2023 in 朝霧』(賞金総額9000万円、優勝賞金1620万円)大会最終日が6月4日、静岡県富士宮市・朝霧ジャンボリーゴルフクラブ(6687ヤード/パー72)で行われ、川岸史果が大激戦を制し、ツアー通算2勝目をあげた。最終ラウンドは9ホールの短期決戦。通算9アンダーで並んだ佐久間朱莉とのプレーオフを制した。1打差の通算8アンダー、3位タイは3週連続Vを狙った山下美夢有、大里桃子。
(天候:晴れ 気温:24.5℃ 風速:1.7m/s)
《グリーン=スティンプ:10 1/4フィート コンパクション:22.5mm》

 6月の雨が闘志に火をつけた。川岸史果は逆境に強い。今大会は台風2号の影響で荒天が続いた。大会は27ホールの短期決戦。「誰にもチャンスがある展開。スコアを伸ばし、結果が伴わなかったら仕方がない」と最終ラウンド前、腹をくくったそうだ。

 勝負は1打を争う大混戦。しかも、攻め続けなければならない。佐久間朱莉が猛チャージを披露し、残り2ホールでは絶対、バーディーが必要だった。神経を研ぎ澄まし、一打必中。失敗は許されない。

 パー3の17番。7Iの第1打はピン1.2メートルへ。切れ味抜群で楽々とバーディー奪取である。続く18番でも1.5メートルのバーディートライ。見事なカップインの瞬間から、何度も小さなガッツポーズを繰り返し、プレーオフ進出を決めている。

 そして、迎えた18番を使用したプレーオフ1ホール目。残り77ヤードの第3打を58度で、またも1.5メートルにつけた。決めれば優勝のウイニングパットをスピーディーにカップイン。優勝会見で解説した、「ほぼ同じところ。まったく考えることもなかった」と打ち明ける。

 ツアー初Vは、2017年マンシングウェアレディース東海クラシック。その時は大型の台風18号の接近で雨中の決戦だったが、優勝をもぎとった。「今回も台風の雨が私にはプラスとなった。練習ラウンドの感覚では、グリーンがちょっとカタい。雨のおかげでちょうどいい感じでした」と漏らす。

 この日もサングラスを着用。ライバルには瞳の動きがわからない。加えて、普段からプレー中は喜怒哀楽を表現することが、極めて少ないスタイルだ。「サングラスをかけると、集中力が高まります」。しかし、優勝が決定しサングラスを外すと、大粒の涙が光っていた。

 「6年ぶりです。本当に苦しい時期が長かった。ようやく、ようやく…」。会見でも喜びで言葉がつまるシーンが何度かあった。特に天国から地獄へ-と突き落とされたのは、18年。「突然、1Wの不調に見舞われた。曲がり幅が大きく、ティーイングエリアでギャラリーにボールを当ててしまったらどうしよう。そんなことばかり、脳裏を過った。シードを落として、ステップ・アップ・ツアーへ戻り、次はコロナ禍です」と唇をかみしめる。

 息をついでから、またインタビューが続く。「スランプ脱出の転機はクラブ契約がフリーになってから。縛られることがない。たくさんのクラブを試した。だんだん、調子が戻ってきて、JLPGAツアーへ復帰できて、何度か優勝争いができるようにもなってきた。そうして今日を迎えたのです」。

 生命線ともいえる1Wに加えて、際立ったのはアイアンショットだ。「トーナメントで優勝する選手は、2-3メートルのバーディーパットを決めている。今オフから、アイアンショットの精度も磨いた」そうだ。

 苦悩の日々も、誰かに救いの手は求めず一人で乗り越えた。だからこそ、今回のVは今後の人生を左右するような価値がある。「今回、キャディーをつとめた母に優勝をプレゼントできた。それが本当にうれしかったです」と前置きし、「初優勝の時とまったく気持ちが違います。いつの間にか、私もベテランよりの年齢になった。ツアーは10代の後半、20代前半の選手がすごくうまい。シードをとるだけでも大変です。荒波に飲み込まれないように、もっと努力をしないといけませんね」。シーズンは、これからが正念場である。

(青木 政司)

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