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2023.6.8

岩井千怜、驚異の集中力で首位の座奪取!

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン第15戦『宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント』(賞金総額1億5000万円/優勝賞金2700万円)が6月8日、兵庫県神戸市・六甲国際ゴルフ倶楽部(6513ヤード/パー72)で開幕した。第1日は1イーグル、7バーディー、ノーボギーの65をマークした岩井千怜が9アンダーで単独首位に立った。2打差の7アンダー、2位タイにはフェービー・ヤオ、脇元華。さらに2打差の5アンダー、4位タイには山下美夢有、岩井明愛など6人が並んでいる。
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《グリーン=スティンプ:12 1/2フィート コンパクション:22.5mm》

 「おそらくボギーを叩いたとしても気づかないだけの集中力でプレーしていたと思います。それだけ無我夢中でやっていました」。

 コースレコードには2打及ばなかったものの63を叩き出し、9アンダーで単独首位に躍り出た岩井千怜が胸を張ってそう言い切った。プロがボギーを叩いたことに気づかないとは驚きだが、それだけスコアよりも目の前の1打に集中していたのだろう。逆にいうとその集中力が強さの源でもある。

 4月以降の10試合で、岩井が1ラウンドでもトップテンに入った試合は9試合。その中には優勝争いに絡んだ試合が7試合と、常に上位にいるイメージだ。技術、体力はもちろん、相当強いメンタルがなければ普通は耐えられない。実際、岩井のメンタルは弱くない。「自分で成長していると思うのはメンタルです。今日も落ち着いてスタートできましたし、ミスしても慌てずに自分のリズムで回ることができました」と自らも認めているほどだ。

 昨年2勝を挙げ、今季もすでに1勝を挙げているが、その優勝はプレーオフで山下美夢有と姉の明愛を倒してのものだ。山下は昨年の年間女王であり、今季も1位の座をキープする国内最強ゴルファー。明愛も現在メルセデス・ランキング3位につけるぐらいの好調さを誇る。その2人に勝つのだから、やはりメンタルは強いのだろう。

 もちろん、技術面でも日々腕を磨いている。いい例がアイアンショットの距離感だ。この日、岩井は15番パー4でイーグルを奪う。ピンまで残り118ヤードあったが、9番アイアンとピッチングウェッジのどちらかで打つのか迷った。最終的に選んだのは9番アイアンで、スイングの大きさを抑えて打ったという。いわゆる『ライン出し』のショットで距離をコントロールしたわけだが、その精度は1イーグル、7バーディーという結果を見れば明らかだ。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 また、好スコアの割にフェアウェイキープ率は50パーセントと低く、ラフから第2打を放つことが多かった。ラフからのショットでやっかいなのは打ち方よりも距離の計算だ。というのも、ボールとクラブフェースの間に芝が挟まる影響でスピンがかからない場合が多い。その結果、予想以上に飛び過ぎてしまうことがあるのだ。

「それを計算してグリーンを狙いますが、最近はその計算にも慣れてきました」と距離感が研ぎ澄まされてきたという。実際、ラフに入ってもピンそばにしっかり寄せるショットが多かった。

 この大会で優勝か2位、もしくは大会終了後にメルセデス・ランキング上位4人に入っていればAIG全英女子オープンの出場権を得ることができる。現在、岩井の同ランキングは5位だが、彼女の視界には優勝しか入っておらず、そのためには残り3日間、今日と同じようにバーディーを量産するつもりだ。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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