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2023.9.25

三浦桃香 指導者へ転じた今-

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 三浦桃香は現在、いくつもの顔をもち、人生を謳歌中だ。今週はツアープロとして、SkyレディースABC杯へ出場。スポーツの秋は勝負の時でもある。「6月、ワンデートーナメントへ出た。試合はそれ以来です。次週はスタンレーレディスホンダゴルフトーナメント。楽しみにしている。ただ、私の場合、スポット参戦。だから、ポジティブに行きたい」がテーマだ。

 今年1月、新たなスタートを切った。ティーチングプロフェッショナル会員でJLPGAへ入会。ライフスタイルは劇的に変化した。「もし、ツアーで活躍できなければ、表現は適当でないかもしれないけど、人生が終わってしまう。そんな気持ちでいた。試合で予選落ち、最終プロテストへ失敗すると、死んじゃうかもしれない…。ふさぎこむことが、とにかく多かった」という。

 ところが、3年間の資格取得期間を経て、新たにのぞいたゴルフの世界。それは奥深く、一生をかけるにふさわしい価値を見出すことになった。「資格をとるまで、ほとんどレッスンをしていなかった。本格的に取り組んだのはコロナ禍が明けてから。イベントで皆さんへレッスンを始めた。通常、イベントでは一度ですけど、同じようなものを複数回、行うとリピーターさんが増えてくる。そのたびに、ベストスコアが出た。おかげで今年、一番のプレーができたなど、変化を伝えてくださるお客さまが多くなりました。私にとって、皆さんの声がすごいエネルギーに変わったのです」と、落ち着いた口調で話した。

 三浦流の指導法は、ユニークだ。「こんにちは、三浦桃香です-というあいさつからはじまって、お悩みは何ですか-とうかがう。その相談を10分やってから、10分後に打ってもらいます。つくづく、ゴルフって悩みがつきないことを日々、実感している」と目笑している。

 加えて、自身の体験を踏まえ、「私はビジネス用語が得意ではない。次から次へとビジネス用語をいわれると、脳がワァーッとなって混乱してしまう。それと一緒なのかなぁと考えて、ゴルフ用語はあまり使いません。シンプルに指導することを旨としている。お客さまは、学生さんからリタイアした年配の方までさまざまです。すごく、うれしいのは若いお客さまがアルバイトをしてお金を貯めて参加しました。楽しみにして遠くから来ました。そうおっしゃってくださる。やりがいを心の底から感じることができます。本当に、本当に、ありがたいです」と、しみじみと漏らす。

 ちなみに森永高滝カントリー倶楽部で行うラウンドレッスンは4万7000円(キャディー付き、食事込み)。他では所属先のミツウロコホールディングスの連結子会社が運営する、都内スタジオのレッスンも好評だ。こちらも参加希望が多く、受講は抽選で選出されている。その倍率は平均して3倍。人気をあらわすように、東新宿のスタジオでも新たに開講したほどだ。

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 「ツアーを戦う選手の時は、おしゃべりが得意ではなかった。どちらかというと、お話をしたくないタイプだったかもしれません。というのは、成績を出したいなど、さまざまなプレッシャーばかりで、気持ちがバラバラだったから」と息をつぎ、「だけど、今の三浦桃香は同じではありません。気持ちが安定しているせいか、何か生まれ変わったような心持ちがする。私を良くするには、どうしたらではなく、(指導のために)勉強の毎日です。向上心というか、自然に言葉が出てくる」は、インタビュー中にも伝わってきた。

 とにかく、聞きやすく、的確だ。声の調子がいい。「資格をとる前から、YouTubeでゲスト出演した経験を生かしている。何度も動画を見直して、復習を。この説明ではわからない。言葉が足りないと感じたら、次は絶対に-とひとりで説明してみる。録音して、聞き直して改良することも大切なことです」。8月の山陰ご縁むす美レディースでは、ラウンドレポーターへ挑戦し、好評を得た。伝える力を実践する。

 プロ意識にも大きな変化があった。「資格をとる、とらないではなく、お金をもらったらプロです。責任がある。指導する方は日本全国、すごく多い。その中で少しでも皆さんから私を知っていただくためには、言葉で伝えていかなければなりません。おしゃべりは当然だけど、しっかりしたスイング理論も確立したい。秋に出場する2試合では、プレーに集中して、ベストプレーを目指すことは当然ですけど、多くの選手がもつ技術、マネジメントなど、しっかりと目に焼き付けて勉強するチャンスになるでしょう」と、静かに意欲を燃やしている。

 そんな前向きな態度を拝見していれば、自然にエールを送りたくなることは人情というものだろう。ツアーから離れて、かつてない変化が起こった。「トーナメントへ出場しなくなって、スポンサーさんはすべてなくなる-と覚悟した。それが当たり前でしょう。だけど、私の場合、試合を退いて、逆にスポンサーさんが増えました。心の底からびっくり。ティーチングプロになって、ゴルフを伝える、盛り上げる役にもなった。うれしいですね。皆さんに感謝の毎日です」。

 黄金世代を形成したスタープレーヤーのライフスタイルが劇的に変化した。ゴルフは無限の可能性を秘めている。

(中山 亜子)

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

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