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2023.11.5

桑木志帆、悔し涙は優勝への起爆剤だ

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

TOTO ジャパンクラシック 太平洋クラブ美野里コース(茨城県)最終日

 前半の9ホールを単独首位で折り返した時点ではこのまま逃げ切り、ツアー初優勝を飾るのではないかと思われた桑木志帆。ところが、12番・パー5でまさかのボギーを叩く。しかも、1打差につけていた稲見萌寧がバーディーを奪ったことで逆転。追われる立場から追う立場へと変わる。「前半はあまり緊張しませんでしたが、後半の9ホールに入ってだんだん緊張してきました」。今季はトップテン入りが9回あったものの、実質優勝争いといえるのはプレーオフを戦った資生堂レディスオープンぐらいだ。それも4か月前のことであり、久々の優勝争いを演じたことで緊張するのも無理はない。

 ただ、桑木は最後まで攻める気持ちを失うことはなかった。プレッシャーの影響で体が上手く動かず、持ち球であるフェードボールを打てないどころか、左へ引っかけるミスが出てもひたすらピンを攻め続けた。その気迫が15番・パー4での稲見のボギーを引き起こしたかもしれない。

 再び首位に並んで迎えた16番・パー3、桑木は4Uを手にしてピンを狙いにいく。ところが、またしてもボールをつかまえ過ぎてしまい、左へ曲げてしまう。「フェードさせたい気持ちがどんどん出てしまって・・・」。運悪くボールが芝の中に沈んでいたこともあり、アプローチも寄せ切ることができなかった桑木。必死にパーパットを沈めにいったが、思うように手が動かず、ボギーとする。


<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 それでも桑木はあきらめない。絶対にイーグルを奪うつもりで臨んだ17番・パー5。ティーショットはフェアウェイをとらえ、2オンを十分狙える状況を迎える。ここで桑木を不運が襲う。いつも入れていた5Wの距離だったが、他のクラブとの兼ね合いで今回はキャディバッグの中から抜いていたのだ。「3Wで振り幅をコントロールして打ったんですが、飛び過ぎてしまいました」。ボールはグリーン左奥のラフまで飛んでしまい、2オンに失敗。第3打を寄せてバーディーを奪ったものの、稲見もバーディーだったので差を縮めることはできなかった。

 結局、通算21アンダーまでスコアを伸ばしたものの、1打及ばず2位タイに終わった桑木。敗戦後は満面の笑みで稲見の勝利を讃えたが、その後は悔し涙が止まらなかった。「何がなんでも優勝したかったので、自分が嫌になるぐらい悔しいです」。客観的に見れば、自分よりも世界ランキングで上位の選手が数多く出場していた今大会での2位タイは大健闘と言えるが、勝てるチャンスを逃した悔しさは想像を絶するほどだろう。「メンタル面がまだまだですね。でもミスの傾向が分かったので、そこを修正できれば、次は大丈夫です」。次に優勝争いを演じたときこそ、悔し涙を嬉し涙に変えて見せる。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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