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2024.2.19

JLPGA 新しいヒロイン《96期生・村田 歩香》

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

むらた・あゆか=2005年10月13日、大阪府和泉市生まれ

 ルーキーシーズンが幕を開ける。しかし、まだ高校3年生。卒業間近だ。「最終プロテストへ合格し、一番うれしかったことは、ラウンド中に皆さんが村田プロと呼んでくださることです。プロって、何と響きがいいことか。でも、最近はプロと呼ばれるたびに、期待に応えなくてはいけない-そんな責任をすごく感じるようになってきた」という。

 ゴルフは自然を相手に、一期一会のスポーツ。だから面白い。とはいえ、最終プロテストに合格するのは、それこそ至難の業だ。その関門へチャンスは一度だけ、と自ら腹をくくって臨んでいる。そして、一発合格を果たした。

 キャリアは15年と長い。小学4年でプロになる、と決めて一途に打ち込んだ。中学入学と同時に、父・博行さんから提案があった。「テスト受験は一度だけ」と。「最初は、おそらく半分は冗談だったかもしれない。だけど、だんだん私の方が本気になった。最初で最後のプロテストは、一生の思い出です」。しみじみと語った。

 決して、楽ではないルートを自らも選択。失敗は許されない。それだけに、最終プロテスト会場となったJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部で、計15ラウンドを消化。すべてを脳裏へ刻み込んでいる。ところが、本番の1カ月前に突然、パッティングの不調に見舞われた。が、あわてるより先に、基本へ戻ることを重要課題にする。「すべてを見直した。おかげさまで、大事にはいたらず、かえって上達したような気がします。また、直前に今までまったく使ったことがないパッティング用具を購入。レールでストローク、ボールの転がりを確認するものです。テスト2日前から試したら、すべての不安が解消。これでダメなら-と自信がつき思い残し、やり残しはまったくなかったです」と、受験当日を迎えた。

 自身が選ぶ、この一本は1W。「クラブを握った最初からです。14本の中で唯一、思い切って振ることができる。それがたまらない。最初からボールへうまく当たらなくても、振るだけで楽しかった。だから、1Wばかり練習をしていたかもしれません。おかげで、精度もそれなりに。持ち球はドローですけど、左右にぶれないことがセールスポイントのひとつです。自信がつくと、だんだんショートゲームやパッティングまで良くなってきた。これって、ゴルフの不思議です」。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 さて、最終プロテストである。第1日から好調な滑り出しで、第2日はイーブンパー。そして第3日で再び、3アンダーをマークした。「ここまでくると、かなりの手応えがあった。最終日はすごく楽しい一日。トータル10アンダーは予想を上回った。合格して、父が飛び跳ねながら喜ぶ姿をみたことが一番の思い出です」と振り返る。

 そうはいっても、好事魔多し。予想外のアクシデントがあった。「第2日、右足の指を痛めた。テストが終わってからも痛みが引かない。後日、通院すると右足の示趾(第2趾)を疲労骨折していた。スコアは良かったけど、尋常ではない痛さを我慢しながらプレー。自分で自分をほめたいと思ったぐらいです。だけど、もし骨折とわかっていたら・・・。知らなくて良かったかもしれませんね」と、改めて胸をなでおろしたそうだ。

 ただし、骨折はその後のQTへ影響を残した。言い訳になるからだろう。QTは振るわなかった。今季はステップ・アップ・ツアーで経験を積む。「身長は150センチ。西村優菜さんと、ほぼ同じです。同じゴルフスクールへ通っていたご縁もある。私の目標です。身長が小さくても勝てるプロになりたい。加えて、お人柄も抜群。私も線が細いし、素晴らしいロールモデルです」といい、「実は最終プロテストから、いつも笑顔でプレーするトレーニングをはじめました。それまで、ミスをした時など気持ちが表情に出てしまうことが多かったから・・・。プロは感情をうまくコントロールできないとダメでしょう」と、内なる変化も打ち明けた。

 プロフェッショナルの心構えを養うことも強くなる-という決意があればこそ。ただ一度のために、15年間を費やしてスタート地点に立った。ゴルフには、一生をかける価値がある。

(青木 政司)

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

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