2024.8.16
難条件での集中力-尾関彩美悠
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
CAT Ladies 2024 大箱根カントリークラブ(神奈川県)第1日
ただでさえグリーンが固く、速いといわれているコースで、時おり強い風雨に見舞われ、雷雲の接近で128分の中断もあった中、21歳の尾関彩美悠が躍動した。ミラクルを連発し、5バーディー、2ボギーの69をマークして、首位に1打差の2位タイにつけた。
周囲を仰天させたのは9番パー5だ。尾関が3Uで放った第3打は大きく右へ曲がり、グリーン右の仮設建物の方向へ。「自分でもびっくりするくらい右に行きました。あんな所に外す人は他にいないので、みんなに見られてしまいました」と顔を赤らめた。
だが第4打がすごかった。30ヤード離れたグリーン右奥の傾斜の上のラフから転がしたボールは、斜面に沿って転がり、グリーンを走ってそのままカップイン。ミラクル・アプローチでピンチをバーディーに変えた。「アプローチに関してはイメージ通りでした」とうなずいた。
ロングパットも次々と決まった。12番パー3では約10メートル、17番パー3でも10メートル以上のバーディーパットをねじ込んだ。「ここのグリーンは本当に水はけがいいので、あれだけ雨が降った後もスピードが変わりませんでした。お陰で読みやすかったです」と相好を崩した。「グリーンが固くて速い。ラフも長くて、風が吹くとグリーンに乗せるのが難しい」と分析する難コースにも、大荒れの天候にも、「結構考えるコースの方が好き。難しい方が集中力が上がります。私はそちらの方が好きです」と言い切るのだから恐れ入る。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
2021年のJLPGA最終プロテストにトップ合格。同期には今季メルセデス・ランキングトップの竹田麗央、この日首位に立った川﨑春花、櫻井心那といった豪華な顔ぶれだ。尾関自身のポテンシャルはまだまだ底が知れない。
今季はこれまでベスト10が6度。前週時点でメルセデス・ランキング14位につけているが、優勝は今のところ2022年の住友生命Vitalityレディス東海クラシックの1度だけだ。広がりつつあるチャンスに、「ここのコースは難しいので、油断するとスコアが変わる。油断せずに自分ができることを精一杯やりたいです。今日はショットが良くなかったので、そこは修正して臨みたいです」とボルテージを上げた。
(宮脇 広久)
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