2025.2.3
新しいヒロイン2025《97期生・上堂薗伽純》

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
2025シーズンがまもなく開幕する。最終プロテストの難関を突破した97期生が希望を胸にデビューを待つ。2024年の総受験者は695人、合格率はおよそ3.7パーセントだった。今年、羽ばたく26人を紹介する。
かみどうぞの・かすみ=1996年5月1日、愛知県長久手市出身
昨年のプロテストでは最年長となる28歳で合格した上堂薗伽純。実に9回目の受験で合格率約3.7パーセントの難関を突破した。愛知県の栄徳高時代は、団体戦で全国大会に2回出場しているものの、個人戦では目立つような実績を残すことができなかった。それでも卒業後はツアープロを目指し、白山ヴィレッジゴルフコースの研修生となる。「コース内に寮もあり、ゴルフ漬けになると思って決めました」。その際、上堂薗が描いたプランは、研修生になった年のプロテストはパスして、翌年のプロテストを目指すことだった。合格するだけの技術を身につけると同時に、受験に必要な費用を蓄えたかったからだ。
満を持して臨んだ16年のプロテストは第2次予選を通過できず、不合格に。以降、第1次予選は突破するものの、なかなか最終予選まで駒を進めることができなかった。そんな上堂薗の心を折ったのが、21年3月に第1次予選が開催された自身5度目のプロテストだった。隅々まで知り尽くしている白山ヴィレッジゴルフコースが会場だったにもかかわらず、第2次予選に進むことができなかったのだ。「さすがに落ち込んだし、これからどうしたらいいんだろうと。プロを目指し続けるかどうか、本当に悩みました」。研修生仲間など周囲の励ましによって、なんとか前を向いたが、プロをあきらめそうになった最大のピンチだった。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
実は当時の上堂薗は、ある一つの壁にぶつかっていた。「しばらくの間、自己ベストが69のままで、68の壁を破れずにいたんです」。その理由はショット力にあったという。「プロテストで山下美夢有さんや川﨑春花さんと同組で回った際、彼女たちは必ずピンそば5メートル以内に乗せていたんです。やはりショットをもっと磨かなければいけないなと痛感しました」。68の壁を破れなければ、たとえプロテストに合格しても、ツアーを戦い抜くことは難しい。遅かれ早かれ、乗り越えなければいけない壁だったが、乗り越える糸口はメンタルにあった。
「アドレスの向きさえ間違っていなければ、狙ったところにボールを打ち出せるんだと言い聞かせるようにしたんです」。元々ショットが他の選手よりも大きく劣っていたわけではない。自信のなさがショットの不安定さにつながっていたのだ。自分のスイングを信じるようになってからは、他の選手とショットを比べることもなくなり、スコアも比例して伸びた。23年に出場したミニツアーでは、ついに68の壁を破り、66をマークすることができた。残念ながらその年のプロテストには合格できなかったが、以前よりも課題が明確にはなった。
「とにかくドライバーショットをフェアウェイに置くことを第一に考えました。ラフに入れたら、ピンを狙えないときもありますし、スピン量も計算しなければいけませんからね」。元々ドライバーショットは得意だったが、あえて飛距離よりもフェアウェイキープ率を重視することに。フェアウェイからなら、自分のアドレスを信じてさえいれば、グリーンを外すことは少ない。結果的に安定したゴルフをできるようになり、昨年の合格にもつながった。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
今季はステップ・アップ・ツアーが主戦場となるが、上堂薗に焦りはない。「プロになるまで時間がかかりましたが、自分はそういうタイプ。その分、息の長い選手になりたいです」と、あくまでもマイペースでツアーを戦うつもりだ。もちろん、将来的にはJLPGAツアーで優勝する目標もある。そのためにも今季は1試合でも多く優勝争いに絡み、経験値を上げることを自らに課す。
(山西 英希)
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