2025.12.26
子育てと競技の両立支援― JLPGA Welcome Babies & Kids Project 2025年 実績報告 ―
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAと住友商事が共同で推進する、トーナメント会場への託児所設置プロジェクト「JLPGA Welcome Babies & Kids Project Supported by 住友商事」は、2025年シーズンをもって3年目を迎えました。
本プロジェクトは、出産・育児期にある選手が安心して競技に臨める環境を整備することを目的に、JLPGAトーナメント会場等に託児所を設置する取り組みです。
▶託児所共同開設の背景はこちら
1.2025年シーズンの実施概要
2025年シーズンは、JLPGAツアーおよびステップ・アップ・ツアーを中心に、前年(2024年)から2会場増となる計14会場で託児所を設置しました。
その結果、延べ18名の選手が本プロジェクトを利用し、試合期間中も子どもを身近に預けながら、安心して競技に集中できる環境を提供することができました。
プロジェクト開始から3年が経過し、トーナメント出場選手およびJLPGA会員の間において、会場内託児所の存在と利用方法が着実に浸透してきていることが確認されています。

<Photo:JLPGA>
2.産休制度整備との相乗効果と競技復帰の広がり
JLPGAでは、2023年より産休制度の対象をシード選手以外にも拡大するなど、制度面での整備も進めてきました。
こうした制度拡充と本プロジェクトによる環境整備が相まって、選手が自身のキャリアプランにおいて、出産・育児を経た後も競技復帰や継続を前向きに検討できる環境が整いつつあります。
実際に、出産・育児を経て競技に復帰した選手の活躍も見られるようになってきました。
横峯さくら選手は、育児を行いながらJLPGAツアーに参戦。今シーズン29試合に出場し、最高順位9位タイ、9月中旬から6試合連続で予選通過。その勢いのままQTファイナルステージで18位に入り、来季第1回リランキングまでの出場権を獲得しました。
また、2児の母でもある一ノ瀬優希選手は、今季ステップ・アップ・ツアー「あおもりレディスオープン」で優勝を果たし、翌週のJLPGAツアー「大東建託・いい部屋ネットレディス」でも優勝争いを演じ7位タイ。QTファイナルステージでは33位に入り、同じく来季前半戦の出場権を獲得しました。
2人の活躍は同じ立場にある選手にとって大きな励みとなっており、これらの事例は、出産・育児が競技継続の障壁ではなくなりつつあることを示す象徴的な成果といえます。
3.託児所を利用した選手の声(要旨)
■ 安心感と競技への集中
・子どもが近くにいることで精神的な安心感が得られ、試合に集中できる
・試合中や練習の合間に子どもの様子を確認できることが大きな支えとなっている
■ 競技復帰・継続の後押し
・託児所の有無が出場判断に直結している
・設置大会が増えることで、復帰を迷っている選手の背中を押す存在になっている
■ 将来世代への好影響
・子どもに競技環境を見せられることへの喜び
・ママさんゴルファーの活躍が、次世代選手のロールモデルになっている
選手からは、託児所設置の継続およびさらなる拡充を望む声が多く寄せられています。

<Photo:JLPGA>
4.今後の課題と展望
一方で、託児所設置大会はまだ限定的であり、特にステップ・アップ・ツアーにおいてはさらなるニーズが存在しています。
今後は、
・託児所設置会場数の拡大
・利用しやすい運用体制の整備
・大会主催者・スポンサーとの連携強化
を図りながら、出産・育児と競技活動を両立できる環境づくりを一層推進してまいります。
5.まとめ
JLPGA Welcome Babies & Kids Projectは、3年目を迎え、選手の認知向上と実利用の拡大という確かな成果を上げています。
本プロジェクトを通じて、出産・育児を経ても競技人生を継続できる選択肢が広がりつつあり、女子プロゴルフ界の持続的発展に寄与する取り組みとして、今後も重要な役割を担っていくものと考えています。

<Photo:JLPGA>
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