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2016.7.31

7月31日は、今年も『ささきしょうこ』の日 

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 2016年LPGAツアー第21戦『大東建託・いい部屋ネットレディス』(賞金総額8,000万円、優勝賞金1,440万円)大会最終日が7月31日、山梨県南都留郡鳴沢村・鳴沢ゴルフ倶楽部(6,587ヤード/パー72)で行われ、プロ2年目のささきしょうこが通算9アンダーでツアー初優勝。2位は通算6アンダーで、プロ同期生の岡山絵里が入った。

(天候:晴れ 気温:27.7℃ 風速:4.1m/s)

 あれから、1年。ささき しょうこは、凛として18番グリーンへ向かった。2015年7月31日は、最終プロテスト合格を手にしたメモリアルデー。ウィニングパットを決めた瞬間に、「奇跡が起きた」と感じたそうだ。一見、周囲からは堂々と映る姿も、実情は違う。「昨日の夜、ほとんど眠れなかった。2時間ぐらい、うとうとしただけです。というのも、悪いこと、不吉なことばかりが浮かんできて…」。昨年10月、ステップ・アップ・ツアーの京都レディースオープンで、最終日最終組を経験した。しかし、プレッシャーに落ちつぶされ、1ホール『11』の大叩きを演じるなど、散々な成績に終わっている。「今回も11を叩いたらどうしよう。そればかりを考えてしまった」。

 眠れなくても、時間は容赦がない。朝食ものどを通らず、最終日のスタートを迎えた。ところが、体は自然に動く。これがプロの自覚だ。1、2番で連続バーディーを奪うと、ようやく落ち着きが。「もう、グリーンに感謝するしかない。パッティングの時、うまく手が動かなくても、バーディーをとることができましたから」。首位に立ってから1度もライバルへ渡すことなく、終わってみれば3打差をつける完勝の内容だ。「プレー中、のどが渇き、手に汗がいつも、でした。途中でキャディーさんに、そのことを打ち明けたら、『みんなが通る道』とやさしく笑ってくれました。おかげで少しだけ、気が楽に」。

 そんなやさしい性格は必ずしもプロ向きとはいえないが、避けられない運命を背負っている。娘をプロにしようと、父・修治さんは警備会社を退職し、さらには自宅まで売却。一家で兵庫県内のゴルフコースに住み込み、練習に明け暮れる毎日を過ごす。「持っている資金でゴルフはできても、一家3人、生活をしなければならない。サラリーマン時代の知り合いなどが支援してくれた。それで何とか、やりくりしました」(修治さん)。もちろん、両親の苦労する姿を目の当たりにしているだけに、ささきは、「高校時代、現実がわかってくると、ゴルフから逃げ出したい-真剣に悩んだこともあったけど、恩返ししなくては、という気持ちが弱気の心を何倍も上回った。私は、特に欲しいものはありません。きょうの賞金、賞品などは両親へすべてプレゼントします」と感謝の気持ちを表現している。

 一方、人生のすべてを賭けた修治さんはどんな心境だったのだろう。「たくさんお金を稼いで返してもらおうとか、そんな考えはありません。ゴルファーとして、大成しなくてもいい。まぁ、生活は何とかなるでしょうから」。サラリと話していた。この日も、帯同していながら、プレーはほとんど見ていない。いつものように17番に1日中、座って時が過ぎるのを待っていた。「私がプレーを見ていると、娘が緊張してしまう。でも、きょうだけは木の陰に隠れて、2度ぐらいナマのプレーを見に行きましたけどね」と明かしている。

 まるでドラマのようなストーリーだが、ささきはこれからが勝負。なぜなら、自身が決めた最大の目標は、「ゴルフ殿堂入り」である。

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