2018.10.7
Day 3 ~ 鈴木美重子のプラスワン テック
<Photo:Matt Roberts/Getty Images>
スタンレーレディスゴルフトーナメント 東名カントリークラブ(静岡県)最終日
嵐が過ぎ去り、雄大な富士山が大会期間中、初めて姿を見せてくれました。澄み渡った青空は、選手にとって何よりのプレゼント。それにしても、おもしろい試合でした。
ささきしょうこさんのLPGAツアー2勝目は、これまでの成長を凝縮したような18ホール。とりわけ、この2日間、1番ティーグラウンドで披露した、第1打が忘れられません。いったい、どこが違うのか。少しだけ考えると、アドレスがとにかくいいことに気がついた。オーバーな表現かもしれませんが、地に10本の指が食い込んで微動だにしない-安定感が伝わってきます。
この日は、秋晴れとはいうものの、風が強い。しかし、前後左右、どこから強い風が吹いても、ピクリともしない、どっしりしたアドレスでした。スイングも流麗。当然ながら、打球が重い。土台がしっかりしているからこそ、思い描いたようなボールが打てるわけです。改めて、アドレスが重要であることをかみしめながら、各選手の健闘を祈念しました。
勝負を決めたのは17番。気迫ではなく、自然体のショット、パッティングが印象に残ります。彼女が精神的に強くなった一面を、垣間見たような気がしました。1打差をつけての逃げ切りは、きっと自信になったことでしょう。そして、戦いが終わった18番ではジーンとくるひとコマが。2位タイの新垣比菜さんが、「優勝、おめでとうございます」と笑顔で、ささきさんを心から祝福しています。敗れて悔しいのは、誰でも同じ。ところが、素直に勝者をたたえたシーンは、本当にさわやかで潔い。19歳、さすが黄金世代の旗手だなぁと感心させられました。
ささきさんは、前週まで賞金ランキングが48位。終盤戦へ入ると、どうしても来季のシード権を真っ先に考えたくなる。とはいえ、常に脳裏に刻んでいたのは、優勝。「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップへ出場」、「LPGAアワードへ出席」と2つの大きな目標を掲げ、可能性がある限りチャレンジしてきたそうです。志は高く。ついに、チャンスをモノにした。安心することなく、もっと素晴らしいプレーをみせてくださいね。
ホールアウトしてから、こんなこぼれ話を本人からうかがいました。2016年、初優勝の大東建託・いい部屋ネットレディスは白のシャツ、ブルーのシュシュ。そこで、その後の優勝の争いでは、同じ組み合わせでチャレンジしたそうですが、いい結果が得られない。「今日は、逆にしてロイヤルブルーのシャツ、白のシュシュにしてみました」。そんな遊び心も、必要でしょう。プロは応援する、ギャラリーの皆さんへ魅せることも大切な仕事ですから。
そして、東名カントリークラブのコース課の皆さんにも、お礼を申し上げることを忘れてはなりません。フェアウェイから打てば、グリーンでボールは止まりますが、ラフからではボールは止まらない。名勝負は、スタッフの方の働きを抜きには語れないでしょう。常に12フィートを維持するプロの仕事。昨晩、17ミリの雨が降っても、夜明け前から選手のために、最高のコンディションを整えてくださいました。心から、ありがとう存じます。
(鈴木美重子=担当理事)
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