2018.11.11
Day 3~ 鈴木美重子のプラスワン テック
<Photo:Ken Ishii/Getty Images>
伊藤園レディスゴルフトーナメント グレートアイランド倶楽部(千葉県)最終日
大混戦。改めてゴルフはおもしろいと感じました。3ストローク差で5人がひしめいたことでもおわかりでしょう。絶好のコースコンディションが好勝負をアシスト。優勝した黄アルムさんは、コースマネジメントなど、総合力の観点でみてもゴルフがすごくうまくなった印象を受けました。やはり、9年ぶりの優勝、それも複数回Vで自信が回復。1勝を上積みするたびに、苦手といえるようなところが見当たらなくなった印象です。
今年、3度目の優勝スピーチもお見事。「私には、そんなたくさんのファンがいるわけではありません。しかし、優勝から遠ざかっている時でも、何人かのファンの皆さんがいつもコースで応援してくださった。支えていただいたファンと家族にありがとうといいたい」。感謝のメッセージにもグッときました。
2位タイへ食い込んだ永井花奈さんも、ギャラリーを魅了した1人です。この日、印象的だったのはパー3の17番。毎年、ドラマが誕生する名物ホールは、ピンのすぐ奥に池がある。勇気と技術を試す正念場。ツアー最終戦のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップへの出場権をつかむには、少しでも上位へ食い込む必要があります。5番でダブルボギーを叩いたものの後半、盛り返して5バーディー、ノーボギーの素晴らしいラウンド。精神力の向上、「リコーカップへ出場」という大目標が、きっちりと立て直せた要因です。
同じ、2位タイのアンソンジュさんからも、精神面の強さを見て取れました。1番のティーグラウンドでは、体調がいまひとつの印象。スタートホールの第1打はOBで、2番もボギーでどうなるのだろうと思いました。ところが3番から盛り返し、優勝争いへ加わっています。元々、テクニックは抜群。今季は特に精神力の強さが際立っている。賞金女王へまた一歩前進した今回は、絶対にあきらめない底力の賜物です。プロフェッショナルのラウンドをギャラリーの皆さんも堪能したことでしょう。
一方、躍進といえば最終日、インスタートから64をマークした小滝水音さんでした。樋口久子三菱電機レディスゴルフトーナメントで3位タイ。トップ3という結果を残した自信が、きょうのチャージへつながったのでしょう。加えて、大ギャラリーの声援をエネルギーに変える術を、少しずつ会得してきた成果を発揮していると感じました。経験は若手を急成長させます。
その意味で、注目したいのは松田鈴英さんの次戦。飛距離が売り物で精度もある。大器です。それだけに、最終18番のダブルボギーは予想外でした。この悔しさは試合で払しょくするしかありません。きょうの経験をさらなるステップアップの起爆剤としてほしい。
今大会の最終日は、テクニカル以上にメンタルを考えさせられた18ホールでした。
(鈴木美重子=担当理事)
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