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2013.6.28

アース・モンダミンカップ 2日目

ビューティフル=ビッグスコア
ツアー屈指、スイングの美しさを競う全美貞と堀奈津佳
勝利の方程式とは-

 2013年LPGAツアー第17戦『アース・モンダミンカップ』(賞金総額1億4,000万円、優勝賞金2,520万円)2日目が、千葉県袖ケ浦市のカメリアヒルズカントリークラブ(6,516ヤード/パー72)で行われた。この日、64の自己ベストタイをマークした全美貞(ジョンミジョン・韓国)が通算12アンダーとスコアを伸ばして、一気に首位へ。2位は通算9アンダーでテレサ・ルー(台湾)。通算8アンダーの3位タイは飯島茜、堀奈津佳がつけた。予選カットは1アンダーとハイレベルの戦いとなり、出場試合の連続予選通過記録を更新中の横峯さくらは、通算4アンダーの19位タイ。記録を99試合に伸ばして、次週は区切りの100試合を迎える。
(天候:曇り、気温:22.9℃、風速:2.3メートル)


 女子プロの特効薬は好スコア。わずか1日、いや1打で悪い流れが変わった。2番で2.5メートルのパッティングが決まると、さながらのバーディーショー。2012年のマンシングウェアレディース第1日以来となる、ベストスコアをマークした全美貞。「きのうから、長い距離のパッティングが決まりだした。すごく、いい感じ」と、この日のラウンドを振り返る。

 昨年の賞金女王で、ゆったりと大きく振るツアー屈指といわれる美しいスイングでギャラリーを魅了する。今季は2戦目のPRGRレディスで優勝したが、前週までの賞金ランクは7位と、本人は納得がいかない様子だ。「ショットがいいのに、パッティングが全然、ダメ。考えれば考えるほど悪くなった」。負のスパイラルを抜け出すには、どうしたら…。クヨクヨせずに、気分転換することを決断した。「韓国へ帰って、遊んできました。おいしいものを食べて、クラブを握らなかったのが良かったのかもしれません」。再来日した時は、別人のように迷いがなくなった。休むことも練習のひとつ。ましてや、メンタルが大きく流れを左右するゴルフだけに、開き直りの作戦が吉と出た。


 今週は、全米女子オープンの出場資格を持っていたが、「出たことがない時、それはあこがれの試合。でも、経験を積んだら、私には不向き、ということがわかりましたね。シーズンが始まる前から、欠場するつもりでいた。体力的にもきつくなるし、芝の質が違う。元々、日本で腰を落ち着け、頑張りたいと誓いを立てたから、この試合に全力投球することにしたんです。その気持ちを、ボールとクラブに込めました」と、理由を説明している。

 日本ツアーへの参戦は、単なるステップとは考えていない。「ずっと日本でプレーしたい」と力を込める。最終18番でのバーディーも、明日につなげるため。「今年は、日本女子オープンに勝ちたい」とボルテージが上がった。覚醒したマネークイーンは、優勝と副賞まで視界に入れている。昨年末、年間最優秀選手に輝き、ゴールドカラーの超がつく高級車をプレゼントされたばかり。ただ、人間の欲望は限りがない。今度は副賞のひとつとして提供されるポルシェがターゲットに。「スポーツカーは、あこがれの車ですからね」と、結んだ。全は175センチ、シード選手の中で最長身。その顔には、「私にお似合い」と書いてあるようだった。


 心が洗われるような、すがすがしいスイング。そして、小気味の良さがギャラリーの視線をクギ付けにした。静かな闘志を秘めて、堀奈津佳が3位に浮上。特にパー3のショートホールで、その美しさが冴えた。インスタートの13番は2.5メートル、そして、15番では8メートルを沈め、バーディーを奪う。ショットが良ければ、パッティングもいい。「今週はパー3の距離が長い。だから、長い番手のクラブを重点的に練習しました」。

 開幕前日の26日は、梅雨前線が活発になって、どしゃぶりの天候。とても、プロアマ戦の後に、コースでは練習などできる状況になかった。そこで一計を案じる。コース近くのドライビングレンジへ。アマチュアゴルファーに交じって最終チェックを行った。そこには、ジュニアゴルファーも多く、練習終了後にはサインを求められる光景が…。「小学生が多かった。声をかけられることで、わたしも励みになる。だって、(上田)桃子さん、(諸見里)しのぶさんのようになりたい、とあこがれて練習してきました。わたしもそんなプロになりたいと思います」。


 注目されることは自身を磨き上げることにもなる。女子プロは強いだけでは輝かない。コースの内外で淑女となることが条件だ。その決意は、さまざまなシーンで現れる。インタビュールームへの入り口で、軽く一礼。そして、着席する前に今度は深々と礼をした。さらには、質問者の目をみながら、問いに答える。今どきの若者が当たり前の『ら抜き言葉』を使わない。おかげで、こちらまで気持ちが良くなった。もちろん、帰り際にも入ってきた時と同じ所作を繰り返す。礼節を心得ているだけに、ますます好感度がアップする。

 ただし、勝たなければ輝きを失うのも事実。この日は、全が快進撃を展開。スコアボードを横目で見ながら、「これ以上、離されるものか、と思いました」と気合を込めた。最終ホールとなった9番(パー3)のバーディーチャンス。1.5メートルをきっちりと決め、4打差でフィニッシュしたのは、30日の最終日に「輝く存在になりたいから」と今季2勝目を目指す。

テレサ・ルー (2位:-9)
「ショットの調子が良くて、自分らしいゴルフができました。このコースはラフに入れたら難しくなるので、ラフに入れないように気をつけています。あと2日ありますし、この先どうなるかなんて誰も分かりません。私は私のペースで、自分のベストを尽くして頑張ります!」。

飯島茜 (3位タイ:-8)
「ショットはだいぶ良くなってきました。球も飛んでいるし、アイアンがピンを刺す感じもあって、今週は結構できています。このコースはすごいスコアが伸びるので、優勝スコアも20(アンダー)ぐらいまでいくかもしれないですね」。

比嘉真美子 (5位タイ:-7)
「調子自体はそんなに悪く無かったですが、所々曲がってしまって…トラブルショットの時にまたミスが出てしまい、傷口を広げるようなプレーをしてしまいました。でもまだまだ戦える位置ですし、半分しか終わってないので、あと2日間思いっきりプレーしてスコアを伸ばしていきたいです。今日のスコアはいい薬になりました」。

成田美寿々 (5位タイ:-7)
「(3連続バーディーフィニッシュ)キャディさんとそろそろマズイねと話してて、最後3連続バーディーしようと。アイアンもサントリーぐらいからキレてきたし、パターも入るようになってきたので、だいぶ楽ですね。(副賞の)ポルシェ欲しくてしょうがないです。何としてもポルシェ欲しいです(笑)」。

横峯さくら (19位タイ:-4) 連続予選通過記録を99試合に更新
「(区切りの100試合まであと1試合)100は目指したいですね。でもその前に今週あと2日あるので、まずはこの試合に集中したいです。(首位と8打差)明日終わってみてって感じですね。ビッグスコアを出したいですね」。

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