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2013.11.24

大王製紙エリエールレディスオープン 最終日

賞金女王を引き寄せた森田理香子、運命の17番
魅せた勝負強さと、紫の炎

 LPGAツアー第35戦『大王製紙エリエールレディスオープン』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)の最終日が、愛媛県松山市のエリエールゴルフクラブ松山(6,442ヤード/パー72)で行われ、森田理香子が通算15アンダーで、今季4勝目をあげるとともに、賞金ランク1位を奪回。1打差の2位に藤本麻子が入った。また、上田桃子が通算12アンダーの3位タイでフィニッシュして、来季の賞金シードを獲得。横峯さくらは通算11アンダーの7位。女子プロゴルフ史上に残るマネークイーンレースは、宮崎へ。今季のツアー最終戦『LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ』で頂上決戦を迎える。(天候:晴れ、気温:16.1度、風速:1.3メートル)


 17番。賞金女王への道が、15メートル先にあった。その瞬間、紫の炎が燃え上がる。「格好良いこと、言っていいですか?」と前置きして、「ラインが見えました。ゴルフ人生で初めて味わう、不思議な感覚。(イーグルパットが)入った瞬間、震えが止まらなかった。この試合をどうしても勝ちたかったから…」と振り返った。ここまで、首位を行く藤本麻子を1打追いかける展開。最低でも、バーディーをとらなければならない。3日目にコースレコードをマークした時、自分自身へ、「たまには、やるなぁ」と他人事のように漏らしていた。少しだけ余裕があったのだ。ずっと守り続けた賞金ランク1位。しかし、横峯に先週、逆転を許した。追いつめられた状況を打破することで、プロはスーパースターの座へ上りつめる。
 この日は、我慢のプレーが続いた。4番で3パットとして、ボギーが先行。いやなムードが漂う。3日目とは対照的な内容だ。極め付きは9番。第2打をバンカーへ入れ、第3打もラフへ。4打目が再び、グリーン手前のバンカー。結局、5オン、2パットのダブルボギーで、トーナメントリーダーから滑り落ちてしまった。でも、アウトへ移動する際、師匠の岡本綾子が口にした言葉が頭に浮かぶ。「勝負は、バック9」。再び、森田の目が輝いた。「後、9ホールでよければ、勝てる」と。この日、大ギャラリーの中から、こんな話を耳にした。「紫のウエアが似合う。強そうに見える」。


 紫。古来ではこの色に、繊維を染めるのが困難とされてきた。だから、貴重な色に。加えて、ローマ帝国時代の皇帝が、紫の着衣をつけたことから、王位や最上位、高級をイメージさせる色となり、世界中へ広まっていったという。賞金女王狙う森田にとって、これほどふさわしいカラーはない。そのバック9-。10、11番で連続バーディー。フロント9とは別人のような森田がトーナメントを熱くして、ギャラリーを熱狂させる。そうはいっても、森田は実にクールだった。
 17番を終了した後、またも、岡本の言葉が。「ふんどしを締め直せ」。最終18番へ向かっている時には、「ふんどし、ふんどしと、いいながら歩いていました」と、はずかしそうにほほ笑んだ。「今までの私なら、イーグルがきた時点で、調子に乗っていたかもしれない。18番はとても慎重になりました」。ウイニングパットを決めても、軽くガッツポーズをつくったのみ。その理由は、まだ喜んではいられないからだ。次週は今季のツアー最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」。今回の優勝で最も賞金女王へ近い位置をキープしたが、勝負は何が起こるかわからない。ランク2位の横峯とは、約280万円の小差。ましてや、2009年には、最終戦で史上最大の大逆転劇を演じ、賞金女王へ輝いた伝説をつくった。「さくらさんと、争えて光栄ですね。勝負は来週、勝ったことがうれしくて、泣いているわけにはいきません。1番を目指して頑張る」。
 岡本は今シーズン、不調に陥った森田をみても、「スイングがきれい。あとは、気持ち」とアドバイスをしたそうだ。なるほど、シーズン当初と比較して、スイングの美しさが増したように感じる。さて、宮崎では何色の炎を燃やして、エネルギーに変えるのだろうか。


 3位タイでフィニッシュして、賞金シードを確定させた上田桃子には、まるで優勝をしたかのような祝福ムード。「たくさんの人に、おめでとうといわれたのは、ありがたいことです。でも、ホッとしたよりも今は、悔しい気持ちが100パーセント」。それはそうだろう。最終日は優勝した森田との最終組だった。2007年には、21歳と最年少で賞金女王に輝いている。シード権狙いという、小さな考えはみじんもなかった。「朝から勝ちたい、勝つことを考えていた。前半は良かったけど、10番の3パットが痛かった。でも、13番からが勝負だと思っていたので、きょうの終盤はナイスカムバックでした」と総括している。
 来季のことは、もっか白紙の状態。日本ツアーを中心にして、米ツアーへも引き続き参戦することが有力だが、新たな目標が、もうひとつ。「きょうは、気持ちでやってきました。悔しいけど、彼女(森田)の日だったということでしょう。彼女と一緒にプレーをして、いいところ、すごさをたくさん発見できた」といったが、「わたしの方がすぐれている、という面もたくさんありました」と付け加えた。 


藤本麻子 (2位:-14)
「今日はパッティングが良くて、良い流れだったと思います。ショットもいい感じでした。負けは負けですが、ナイスプレーだと思います。今日はノーボギーで良いゴルフができたと思いますが、4日間大会の一打の重みを感じました。来週もその重みを感じながらプレーしたいです」。

比嘉真美子 (3位タイ:-12)
「17番のイーグル逃しのバーディーと18番のボギーはもったいなかったです。でもトータルで見れば、今日は今日なりにベストなゴルフだったと思えるので、またこの流れで来週のメジャーも頑張っていきたいです」。

馬場ゆかり (3位タイ:-12)
「4日間通して全体的に良いゴルフができたと思います。ただ3日目は体が動きませんでした。今日に関してはバーディーも獲ることができたので良かったと思います」。

李知姫 (3位タイ:-12)
「前半は良かったと思いますけど、インコースで伸ばせなかったので残念です。パットが悪かったですね」。

横峯さくら (7位タイ:-10)
「1番からボギースタートで大苦戦という感じでしたね。上位陣があれだけ伸ばしていた中に自分がいないのは悔しいですね。(賞金ランク再逆転)想定していたことなのでショックはあまり…。来週に向けて修正したいですね」。

不動裕理 (8位タイ:-9)
「ショットはよかったですが、それが(チャンスに)ついてくれなかったですね。迷ってもパットは入ってくれなかったですし…。でも最後でこういうゴルフができてよかったです」。

吉田弓美子 (16位タイ:-6)
「(後半6連続バーディーでハーフ29)試合ではないと思います。でもエンジンがかかるのが遅かったですかね」。

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