2014.5.9
ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 2日目
第2日はサスぺンデッド
暫定首位は平常心のフォンシャンシャン
イエローリボンで初Vを目指すカンヨウジン
スーパーアマ・勝みなみも、怒涛のバーディー、レコードラッシュ!
2014年LPGAツアー公式戦『ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ』(賞金総額1億2000万円、優勝賞金2400万円)は、茨城県つくばみらい市の茨城ゴルフ倶楽部西コース(6,630ヤード/パー72)で第2日が行われた。雷雨による3時間25分の中断があり午後6時33分、日没のためサスペンデッドに。19組55人がプレーを翌日に持ち越した。第3日の10日は、午前6時30分から残りの第2ラウンドを行い、第3ラウンドは午前10時15分にスタート(2way)予定。
通算4アンダーの暫定首位タイは、フォンシャンシャン(中国)、カンヨウジン(韓国)。1打差の3アンダーには、フェービー・ヤオ(台湾)、15ホールまで終了したジョンヨンジュ(韓国)。また、アマチュアの勝みなみがトーナメントコースレコードタイの65をマークし、通算3オーバーとなっている。(天候:晴れのち雨、気温:23.4℃、風速:2m)
夢と現実をきっちりと区分けして、第2日もフォンシャンシャンが素晴らしいプレーを披露した。「全体でいえば、いい流れだったと思う。きのうと違って、風がなかったせいか、ドライバーの精度が上がりました。でも、パッティングがいまひとつ。惜しかったなぁ。あと、バーディーが5つはとれるチャンスがあったから…」。もし、そんな展開になっていたら、それこそひとり旅。
魔法使いと呼ばれたかもしれない。「ハリーポッターシリーズを、子どもの時から読んでいた。どんな展開になるか、ハラハラドキドキ。ファンタジー小説を読むと、ワクワクします」という。そんな夢にあこがれた少女が、ゴルフを始めるようになってから現実を思い知らされた。自然を受け入れ、困難に打ち勝つ。「父から、平常心という言葉を教わりました。プレー中はいつも、その言葉を心に刻んでやっています」。淡々とプレーし、一定のリズムを崩さない。雨が降ろうが、強い風が吹き荒れても、「天気はみんなに公平だから、左右されることはありません。このトーナメントへ出場するのは今回が3年目です。だけど、不思議なことに、いつも天気がよくない。1年目は竜巻、去年は強い風と雨。今年も雷が…。それでも、楽しくプレーしている」。
そうはいっても、人間だから、ストレスは蓄積されるもの。プレー終了後の、楽しみな夕食が思わぬ大敵となった。「ゴルフはプレー時間が長い。歩く距離が増えれば、最後になるとスタミナが切れてくる。体が重いと感じたので、ダイエットを始めました。とにかく、腹6分目。おかげで、体調はとてもいいです」。コースで、すっきりと映るのは、5キロのダイエットが奏功したからだ。趣味は、ポケットビリヤード。3年前から「パッティングが上達する、とすすめられました。とてもおもしろいです」。世界各地を転戦するその姿は、ハスラーそのものだ。
ウェア、サングラス、はたまたネイルカラーまで。カンヨウジンが全身に黄色を散りばめていたのは、ちゃんとした理由があった。4月16日、韓国で発生したセウォル号の沈没事故。まだ、安否がわからない乗客の無事を祈り韓国では、「黄色いリボンキャンペーン」が展開されている。「テレビのニュースを見ていて、何度も涙を流した。胸が痛い。こんな時、自分ができるのは試合で優勝して、いいニュースを届けること。そんな強い気持ちが今週、わいてきました」と打ち明けた。
ゴルフはメンタルのスポーツといわれるが、カンの場合がまさにそうだ。第1日は1オーバーだったが、この日は5バーディーを奪って、一気に首位タイへ。「ミスショットをしたら、アプローチとパッティングでカバーすればいいことが、改めてわかった」という。
今シーズンが10年目。ところが、経験したことがないスランプ状態に悩んでいた。開幕戦は棄権。それ以降も7戦すべてで予選落ちだ。「いいショットを打っても、次がダメなのでは…。そんなことが頭に浮かぶ。要は、自信を持ってプレーしていないからダメだと感じました。特にきょうは、自分自身を信じて、強い気持ちをもってコースに来たのが良かったと思います」と目を輝かせた。今シーズン、気分を一新するとともに、「日本のファンに名前を憶えてほしい」と、登録名を漢字から、カタカナ表記へ変更している。ちなみに、最終日の11日は、カンの誕生日。「自信をもって優勝に向けて頑張ります。初優勝が公式戦なら最高!」。飛び切りの笑顔をみせた。
嵐まで呼んだ、勝みなみのレコードラッシュ。「違う人みたいでした」と本人が驚く65の快進撃だった。このスコア、ただの65ではない。トーナメントコースレコードタイ、公式戦のアマチュア選手の1ラウンドの最少ストローク。さらに、公式戦1ラウンド中の最多バーディー数と、今シーズンのLPGAツアーの1ラウンド中の最多バーディー数。1つのタイ記録と、3つの記録を更新してしまった。
第1日、82の10オーバーと出遅れ、わずか1日できっちりと修正できたきっかけは、ツアー最年少優勝を飾った『KKT杯バンテリンレディスオープン』のプレー。「反省というわけではないけど、熊本の試合では何が良かったのかを振り返ってみた。パッティングの時、きのうは顔が上がるのが、1秒ぐらい速い。練習してみて、アッと思い出し、それを実行したら、とても良くなりました」と、ほほ笑んだ。
この日、自画自賛したのは、14番。スライスとフックが混ざる、10メートルのロングパットまで、一発でねじこんだ。「グリーン上で、ラインが白く浮かんできた」という。続く15番では、「スコアボードが目に入り、予選カットラインを意識した。今回は、予選通過が目標だったから」と、さらに気合を込めたという。上がりの2ホールでも連続バーディーを決め、最終18番では、「決めた時は、ドヤッという感じでした」。先週は予選落ちに終わっても、やはり持っているスーパーアマチュアは、プレーもトークも冴えわたる。極め付きの「きょうは、100点満点です」で締めくくった。
フェービー・ヤオ (-3)
「今日は全て良い感じでできました。(優勝へのポイントは?)フォンシャンシャンでしょう(笑)彼女は常に良いプレーをするミスが少ない選手なので。私もミスを少なくプレーをしたいです」。
一ノ瀬優希 (-1)
「難しいコースなので、アンダーで回れて自信になっています。私にとっては(コースが)結構長いですが、コースマネジメントすれば攻略できます。ピンを狙うだけではなく、手前からアプローチしたり、逆に奥からの方が簡単だったりするところもあり、いろいろ考えながらやっているのがスコアにつながっています」。
宮里藍 (イーブン)
「最後18番のバーディーはいろんな意味で大きい。明日に向けてと今日の締めくくりとしても良かった。(同組の)みなみちゃんは今日素晴らしいプレーしていました。昨日の今日で気持ちの持ってきかたが難しかったと思いますが、ある意味吹っ切れて気持ちの整理がついたのかな」。
宮里美香 (イーブン)
「ショットが良かったので、パッティングもいいイメージで出来ました。2つのボギーはイージーボギーだったので悔しいですね。欲を言うともう少しバーディーを取れたと思いますが、すごく良い位置にいるので楽しみです」。
アンナ・ノードクイスト (+1)
「昨日よりも条件が良かったので堅実にプレー出来ました。トップは4アンダーなので、明日良いスコアを出すチャンスはあると思います。(勝みなみの65)この難しいコースで7アンダーは素晴らしいと思います。とても感動しています。若い才能が出てくることは喜ばしいことですね」。
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