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2021.6.13

青木瀬令奈が大逆転V

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2020-21シーズン第29戦『宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント』(賞金総額1億5,000万円、優勝賞金2,700万円)大会最終日が13日、兵庫県神戸市・六甲国際ゴルフ倶楽部(6,517 Yards/Par 72)で行われ、青木瀬令奈が通算17アンダーで優勝。この日は5バーディー、ノーボギーの67をマークし、4打差を跳ね返す大逆転だった。4年ぶりのJLPGA通算2勝目は、正確無比という特性を生かした最高のプレーを展開。また、4日間大会で初のノーボギー優勝を目指した稲見萌寧は、ショットの不調で72とスコアが伸ばせない。西郷真央、山下美夢有とともに、通算16アンダー、2位タイに終わった。
(天候:曇り 気温: 22.9℃ 風速:2.0m/s)
《グリーン=スティンプ:12フィート コンパクション:22.5mm》

 優勝が決定して、時間の経過とともに喜びが少しずつ湧き上がってきた。青木瀬令奈は、「長かった。ホッとした。4年ぶりです。特に今年は不振が続いて、しんどい。やっと優勝することができました」。淡々と話している。聞いている立場としては、もっとドラマチックな言葉を期待したが、思い当たる節があった。

 これこそ、昨日の公式会見で明かした感情の制御に違いない。逆転Vの神髄を目の当たりにした。

 最終日、最終組の優勝争い。「その空気を楽しみたい」と語っていたものの、やはりプロは結果がすべてだろう。スタート時、稲見萌寧の4打差を追う展開でも、「萌寧さんも人間。何かしら起こるかもしれないと思った」という。勝負には先手必勝というセオリーがある。

 5番、残り122ヤードの第2打を9Iでピン1.5メートルのチャンス。「下りのフックライン。私を含めた、同組の3人はパーが続いて、スコアが動かない。そんなこう着した状況でした。先にバーディーをとることができて、ヨシッ」と、ターニングポイントを語った。

 さらに、ライバルへ強烈なプレッシャーとなったのは、6、8番のバーディーだろう。それぞれ7メートルをあっさりとカップイン。精度抜群のショットに加え、パッティングが素晴らしい。後半も2バーディーを奪取。1打差を死守した。「雨が降らなくてラッキー」というのは、飛距離が落ちてしまうからだ。

 「(ドライビングディスタンスは)シード選手の中で、ランク外です。飛距離の出る選手と同じ土俵で戦うことは、当たり前。1ヤードでも遠くへボールを運ぶことが永遠のテーマです」と前置きし、「セッティングでは、150ヤード以上のクラブを厚くして、ウエッジなどの精度と、パッティングで勝負。これからもずっと、私の生命線を磨きます」と決意を新たにする。参考までにクラブセッティングは1W、3W、5W、7W、9W、5UT、6UT。アイアンは7-9の3本。PW、52度、58度とパターの構成だ。

 約1カ月まで、コロナ禍で「引退時期まで考えた」ことがうそのよう。気持ちひとつで大きくプレーまで変わった。なるほどゴルフが技術だけではない精神力のスポーツであることを、改めて示した。

 さらに、変化を求めて、小さなことを積み重ねていることも明かす。「久しぶりに今回は、ボールへマジックで線を引いた。大西コーチのアドバイスです。うまくラインを合わせることができた。また、今回の宿泊は有馬温泉。交代浴で疲れをいやすことができました。素泊まりです。そうすれば、安いから。ちょっとした工夫です。小さなことだけど…」。

 4年ぶりの通算2勝目をつかみとるまで、計123試合を重ねた。「初優勝は悪天候で第1日が中止に。だから、きょうの優勝で胸を張って勝った、といえることがうれしい。私の世代、福田真未さん、葭葉ルミさんも今大会で上位争いを演じている。今後に期待してください」とのメッセージが気配りの人らしい。

 日本原産のがくあじさいの花言葉を連想させる、謙虚な心が勝利を運んできた。勝負は確かに、最後までわからない。

(メディア管理部・中山 亜子)

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