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2021.8.22

強風が運んできた-小祝さくら逆転V

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGA ツアー2020-21シーズン第38戦『CAT Ladies2021』(賞金総額6,000万円・優勝賞金1,080万円)大会最終日が8月22日、神奈川県足柄下郡・大箱根カントリークラブ(6,638ヤード/パー72)で行われ、小祝さくらが大逆転。通算7アンダーで2週連続優勝を飾った。この日は前日までと一変。瞬間最大風速15.4m/sの強風がコースを吹き荒れた。アンダーパーをマークしたのは、わずか4人。首位スタートの稲見萌寧は77と苦しみ、高橋彩華、三ヶ島かなとともに通算5アンダー、2位タイに終わった。
(天候:雨時々曇り 気温:23.8℃ 風速:5.2m/s)
《グリーン=スティンプ:12 1/2フィート コンパクション:23mm》

 強風が幸運を運んできた。小祝さくらが4打差を跳ね返し、2週連続優勝。今季5勝目、通算6勝目を飾った。

 終わってみれば、優勝。逆転のドラマに一番驚いたのは自身である。「天候が荒れた時は、小祝が強い-といわれた。それは少しだけ感じていましたよ。強風になればチャンスはある。しかし、想像以上の風が吹いていた。とにかく耐えに耐えただけ。最後まで、戦況はわからなかった」という。

 15番で3パットのボギーを叩いた後、16番第2打でスーパーショットを披露。「残り152ヤード、8Iでピン2メートルにつけ、バーディーを奪うことができた。きょう一番のショットです」と、バウンスバックに成功した。

 そして、パー5の最終18番でも残り85ヤードの第3打を、ピン1.2メートルへ。バーディーで締め、通算7アンダーで勝負の行方を見守った。強風時は変幻自在のスリークォーターでスイングをする。低い弾道で風の影響を最低限にとどめるテクニック。

 「フルショットをすると、高い弾道になる。同時に上体が浮いてしまうから。アゲンストや横風が強い時、スリークォーターがいきる」と補足した。ホールアウトすると、クラブハウス前の柱の後方へ移動。「プレーオフを考え、できるだけ気を抜かないようにするためです。ひとり静かに何も考えず、試合が終わるのを待っていた」と話した。

 とはいえ、最善の準備もあっけなく、勝負が決定。2位タイグループへ2打差をつけ、うれしい、うれしい優勝が待っていた。お目当ては副賞のミニ油圧ショベル。18年、今大会へ初出場した際、お母さんから「雪かきに使える。便利そうだねぇ」という言葉を投げかけられた。

 「変わった副賞ですね。皆さん、あまりご自身で使う方がいないとうかがいました。ダイキンオーキッドの副賞のボートも、そうです。2つの試合で優勝することが私の目標のひとつ。家族が喜んでくれるでしょう」と真顔でいってのけた。ちなみに、小祝は油圧ショベルへ興味津々。雪かきの他、「雪がたくさん積もった時、運転して自宅近くのコンビニエンスストアーへ行ってみたい」と独自のプランを明かしたものの、公道を運転できないことを知って、ちょっと拍子抜けした表情を浮かべている。

 一時は稲見萌寧に猛追された賞金女王争いも、ここ2週の活躍で一気に差を広げた。そうはいっても、勝ってさらに気を引き締めたところがすごい。黄金世代では畑岡奈紗の通算6勝へ並んだ。名実ともにツアーの顔に。

 「もし、辻村明志コーチと出会っていなければ絶対、ここまでこられなかったと思います。私は、すごくゴルフがヘタでしたから」と前置きし、「最初の頃、地面からのパワーを感じろ-そんな不思議な言葉で指導を受けた。まったく意味がわからない。でも、最近は少しずつ、理解できるようになった」と感謝のメッセージを伝える。

 一方で、気分はすでにホステスプロとして26日に開幕するニトリレディスへ。昨年は2位だった。「去年、終わってから21年こそ、と取り組んできた。1年かかって、とてもショットの調子が良くなっています。今年は自信をもってプレーすることができる」。

 大一番には、史上3人目の3週連続Vという偉業も加わった。季節は秋へ。小樽で満開のさくらを披露-がシナリオである。とにもかくにも、風が吹けば小祝がほほ笑む。

                       (オフィシャルライター・宮脇 廣久)

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