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2023.5.20

工藤遥加-而立を示したツアー初V

<Photo:Shintaro Wada/Getty Images>

 JLPGAステップ・アップ・ツアー2023シーズン第6戦『ツインフィールズレディーストーナメント』(賞金総額2000万円、優勝賞金360万円)大会最終日が5月20日、石川県小松市・ゴルフクラブツインフィールズゴールドコース(6487ヤード/パー72)で行われ、工藤遥加が通算7アンダーでプロ初優勝を飾った。2位は通算5アンダーの一ノ瀬優希。3位に成澤祐美が入った。
(天候:曇り時々晴れ 気温:20.1度 風速:4.6m/s)

 13年間の苦悩と迷いが一気に晴れた。工藤遥加が待望のプロ初V。ついに大器が花開く。歓喜の気持ちをグッと抑えながら、「うれしい。それから充実感がすごいです」と言葉を絞り出す。さらに、「今までの私なら、おそらくうれしいだけで終わってしまったでしょう。でも、今回は違う。いろいろ準備を整え、今年は必死にやってきた。去年の12月から、優勝するまではお酒を飲まないなど、プライベートでも願をかけて…」。とにかく変わらなければ-ならなかったのだ。

 第2日を終わり、一ノ瀬優希と首位タイで並んでいた。若手が席けんするJLPGAツアーは、ステップ・アップ・ツアーでも激しいサバイバルレースを展開中。振り返れば、2011年の最終プロテストで合格してから、干支がひとまわりを超えていた。

 「これではいけない。何度、感じたことか…。でも、心機一転したつもりでも、試合会場へ行くと1W、アプローチでミスすることが怖いから、逃げてしまう。トレーニングは疲れる-や、筋肉痛が-といったことが先に立って、結局は必死になれなかった」と、本音を語っている。

 ところが、今大会は一打に集中し、あきらめない全力のプレーが続いた。序盤から一ノ瀬と一騎打ちの内容。勝利を手繰り寄せたのはパー5の17番だ。飛距離のアドバンテージを生かし、バーディー奪取に成功した。1打のアドバンテージを得て、最終ホールもしっかりパーセーブ。ホールアウトしてみれば2打差をつけていた。このあたりが大きく違うところだろう。


<Photo:Shintaro Wada/Getty Images>

 今オフ、上野由岐子などが所属するビックカメラ女子ソフトボール高崎の合宿へ参加している。「東京五輪金メダルのメンバーだった、藤田倭さんへ弱い自分を変えるにはどうしたら-と相談すると、それならうちの合宿へ来たらいい、と誘っていただいた。2週間、お世話に…」と区切り、「私はまったくダメ。まったくついていけない。体形なら私が大きい。ただ、私よりも小柄な選手が重いものをもって耐えて、耐えて。その顔つきがすごい。そういう光景を見ながら、私も負けられない。そんな気持ちがわいてきて、逃げることがなかった。知らないうちに少しずつ変わってきたようです」と明かした。

 アマチュア時代から注目の存在。というのは、やはり元ソフトバンク監督の工藤公康さんの長女だから-という背景が大きい。「正直なことをお話すると、プロになることが人生の大きな目標。注目されることがすごくイヤでした。私自身、それほど強くはありません。また、アスリート向きとは思えない。たとえ、どれほど成績がよくても、父の顔に泥を塗ってはいけない…とそればかりを考えていた。でも、そんな気持ちでは絶対にいい成績など残せませんね」と、苦笑しながら話している。

 振り返れば、最終プロテストでは最終日、8バーディー、2ボギーの超攻撃的プレーで、48位から9位へ躍進。ライセンスを手中にした。続いて、生涯一度だけのチャンス、JLPGA新人戦加賀電子カップも制している。順風満帆にスタートを切ったことで、さらに注目が集まったことが重荷になっていた。

 紆余曲折。論語の教えではないだろうが、三十にして立つ-而立の精神がきょうの優勝を運んできた。

 「優勝は本当にうれしい。だけど、怖い。甘える気持ちなど、わいてこないでほしいです。だから、JLPGAツアーで優勝するまで禁酒を続ける。今年の目標はステップでもう1勝。それから、JLPGAツアー出場のチャンスがあれば、優勝を狙っていきます」と結んでいる。有言実行。逃げは許されない。前進あるのみだ。

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