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2023.8.6

圧倒・圧巻・圧勝 鈴木愛『皆さんのおかげです』

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン第22戦『北海道 meiji カップ』(賞金総額9000万円、優勝賞金1620万円)大会最終日が8月6日、北海道北広島市・札幌国際カントリークラブ 島松コース(6593ヤード/パー72)で行われ、鈴木愛が通算15アンダーで2年ぶりの優勝。通算18勝目は自身初のノーボギーVだった。3打差の通算12アンダー、2位は桑木志帆。通算10アンダー、3位タイに櫻井心那、小祝さくら、川﨑春花、ささきしょうこが入った。
(天候:雨 気温:22.7℃ 風速:1.8m/s)
《グリーン=スティンプ:10 2/3フィート コンパクション:21.5mm》

 これが鈴木愛の新境地。通算18勝の中で今大会は、最も気高く、そして強さを見せつけた優勝だった。

 「うれしいのは、もちろんです。今まで優勝といえば涙-という感じでしたけど、きょうはどうしてもファンの前で勝ちたかった。だから涙はありません。笑顔です」と、ひとことずつをかみしめるかのように、落ち着いて話をはじめた。

 前週に続き、首位で最終日。ところが2打差の3位は、予想外の結果だったに違いない。前日まで、その話題には一切触れなかったが、「楽天スーパーレディースでは最終日、どう戦っていいか忘れていた。負けてから勝負を1ホール毎に振り返ると、スコアを崩さずにアンダーパーでプレーすることばかりを考えていたように思う。元々、優勝争いは大好きだったけど、逃げるプレーばかり。終盤の残り3ホールはパッティングのリズムまで一定していない。つまらないプレーをした。せっかく、応援してくださるファンの皆さんへ心から申し訳なかったと感じた」と本音を明かしている。

 この日も序盤はなかなかバーディーが決まらない。ちょっとイヤな流れに直面する。何といっても、キーホールとなったのはパー5の6番だろう。3Wを選択した第2打が左の林へ飛び込む。あわやOBのシーンだったが、ボールは白杭の50センチ手前に止まっていた。

 「ツキがある。ピンチには変わらないけど、ここは絶対にボギーは叩かない」と気合を入れなおす。4オンで4メートルのパーセーブだったが、涼しい表情でカップイン。ピンチはこの一度である。

 「きのうもなかなかバーディーがこなかった。だけど、我慢をしていれば必ず流れがくる。しかし、攻めなければチャンスはこない。集中力がまして、ピンを狙い続けた」そうだ。8番、残り92ヤードの第2打を50度でピン手前3メートルへ。初めてのバーディーを決めた。続く9番は残り44ヤードの第3打をピン30センチにつける、切れ味を披露。連続バーディーで前半を折り返した。

 そして、後半も12、15番でバーディーを上積み。16番はハイライトといえそうな8メートルのバーディーは、アートを連想させた。優勝から遠ざかっていた2年間のモヤモヤを吹き飛ばすかのような快進撃。自身初のノーボギーVは、完全復活のサインともいえるだろう。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 「コロナ禍になって、ファンの皆さんのありがたみを心から思い知らされた。試合があっても無観客でのプレーは、少しもおもしろくない。テンションが下がりっぱなし。もちろん、それではいけないと思ったけど、なかなか闘志がわいてこなかった」と苦悩の2シーズンを激白。続いて、「若かった時は勢いで勝てたかもしれません。ガンガン攻めて、一か八かのプレーもあった。だけど、私の理想はそうではない。心に少しだけ余裕をもち、しっかり周囲を観察しながらプレーすること。そうすれば、調子の波が少なくなる。きょうも遠くからファンの皆さんが駆けつけてくださった。期待にこたえられなかった2年間の感謝を込めて、集中したプレーをお見せできたと思います。皆さんのおかげです」と、満足そうに話し、ひとつ頷いた。

 確かに、そのようだ。優勝が決まり、スコア提出をすると、エッ…と目を見開く。ここで初めて、自身初のノーボギー優勝だったことに気がついた。「本当に楽しい一日。皆さん、本当にありがとうございます」。よみがえった女王は、生涯のターゲットとする通算30勝へ再び、歩み始めた。

(青木 政司)


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

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