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2023.8.19

蛭田みな美、競技中断をきっかけに怒涛の3バーディー 悲願の初Vへ

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン第24戦『CAT Ladies 2023』(賞金総額6,000万円、優勝賞金1,080万円)大会第2日が8月19日、神奈川県箱根町・大箱根カントリークラブ(6,638ヤード/パー72)で行われた。第1日首位の西郷真央に、自身初優勝を狙う蛭田みな美が追いつき、トップに並んで最終日を迎える。1打差の9アンダーの単独3位に櫻井心那。8アンダーの4位タイには山下美夢有、勝みなみ、川岸史果ら5人が並んでいる。昨年度優勝の岩井千怜は6アンダーの15位タイに後退した。
(天候:晴れ 気温:30.4℃ 風速:2.7m/s)
《グリーン=スティンプ:12 1/4フィート コンパクション:22.5mm》

 2016年7月のプロテストに合格し、26歳となった蛭田みな美が念願の初優勝のチャンスを迎えた。最終日に最終組で回るのは2020年のゴルフ5レディス、昨年の富士通レディースに次いで3度目だが、首位で決戦の日を迎えるのは初めてだ。

 雷鳴が轟いていた。蛭田が14番を終えた時、雷雲の接近を知らせるホーンが鳴る。45分間の中断を余儀なくされたが、これを境に、それまで3バーディー、2ボギーとスコアが伸び悩んでいた蛭田が、15番、16番、18番でバーディーを奪取。一気に首位の西郷真央に並んだ。「神の中断でしたね」と笑顔が弾けた。

 特に16番パー4では、第2打をグリーン右のラフに外したが、58度のウェッジで放った約10ヤードのアプローチは、2バウンドしてピンに当たり、カップインしチップインバーディー。「大きすぎてヒヤッとしました。入っていなかったら、すごくオーバーしていたと思います」と肩をすくめる。ここでも運が味方した。

 流れを引き寄せた中断中、何をして過ごしていたのかと聞かれると、「姉が送信してくれた猫の動画を見ていました。それで癒されたのがよかったのかもしれません。これから飼おうとしている猫で、ラガマフィンという種類。とてもかわいかったですよ」とあっけらかんと明かした。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 これまでシード権を獲得したことがないが、今季はトップ10に2度入り、前週終了時点でメルセデス・ランキング37位につけている。「今までで一番いいシーズンです」とうなずく。要因はトレーニングの成果で飛距離が伸びたこと。ティーショットの平均飛距離は、昨年の236.50ヤード(JLPGAツアー48位)から、245.10ヤード(同19位)にアップしている。「ティーショットが飛ぶようになったお陰で、セカンドショットも余裕を持っていいところにつけられるようになりました。それが成績の安定につながっているのかな」と説明する。

 初優勝のチャンスを目の前にしても、今のところ悲壮感や緊張感を周囲に漂わせることはない。「今日はパッティングが入り切れていなかった。(明日は)パッティング次第だと思います」と分析しつつ、「入ってくれたらうれしいな、という感じで臨みたいと思います」と肩の力を抜く。闘志は穏やかな笑顔の陰に隠した。

(JLPGAオフィシャルライター・宮脇 廣久)

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