2023.10.22
はざま世代・菅沼菜々が逃げ切りでツアー2勝目
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2023シーズン第33戦『NOBUTA GROUPマスターズGCレディース』(賞金総額2億円/優勝賞金3600万円)大会最終日が10月22日、兵庫県三木市・マスターズゴルフ倶楽部(6495ヤード/パー72)で行われ、菅沼菜々が通算14アンダーで今季2勝目を飾った。3打差の通算11アンダー、2位タイには福田真未、山下美夢有、尾関彩美悠が入った。
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《グリーン=スティンプ:13フィート コンパクション:22.5mm》
ツアー初優勝まで122試合を要した菅沼菜々だが、それからわずか8試合目にして初優勝よりも難しいといわれるツアー2勝目を手にした。3位以下に1打差の首位タイで迎えた最終日、早々と最初の試練がやってくる。375ヤードの2番・パー4だ。ティーショットを右のラフへ打ち込むと、運悪く極端な左足下がりに。しかもボールはスッポリとラフの中に埋まっているではないか。「チョロするかもしれないと思ったら、ホントにチョロしました」というように、第2打は再び右の深いラフへ。幸いだったのは、今回は左足下がりではなかったことだろう。なんとかピンまで残り84ヤードあった第3打を56度のウェッジでピン手前3メートルに乗せると、それを沈めてパーセーブに成功すると同時に首位もキープした。
このピンチを乗り切ったことで自分のプレーに自信を持てたのか、4番・パー3、9番・パー4、12番・パー5でバーディーを奪い、徐々に2位以下との差を広げていく。他の選手の動向をスコアボードでチェックしながら、サンデーバックナインを戦っていたが、残り3ホールで2位以下と3打差あることを確認すると勝利が近づいたことを認識する。ただ、最終ホールまで気を抜くことはなかった。結局この日は3バーディー、1ボギーの70で回り、通算14アンダーでフィニッシュ。高速グリーン、長めのラフなど難コースを舞台に4日間で4つしかボギーを叩かなかった。その安定感が勝利を呼び込んだといえるが、冴え渡ったのがパッティングだった。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
4日間のスタッツでいえば、平均パット数は27.75と5位タイの数字だが、3パットは一度もなく、特に短い距離のパットは自信を持ってしっかりと決めていた。ちなみに、菅沼のパッティングには一つのルーティーンがある。カップの30センチぐらい手前で一度素振りを行い、カップのどこからボールが入るのかイメージする。さらにボールとカップの中間でもう一度素振りを行い、ラインを確認すると同時に距離感をつかむ。あとはその倍の距離を打つつもりでストロークするという手順だ。昔から行っているルーティーンだが、それを崩さないことで自分なりのリズムを作っているのだろう。
今回の優勝でメルセデスランキングも16位から8位にジャンプアップした菅沼。1学年上の世代はツアー優勝者を13人も輩出する『黄金世代』と呼ばれる98年度世代であり、1学年下も実力者が揃う00年度世代だ。そのため菅沼の99年度世代は『はざま世代』と呼ばれているが、そのことは気にしていないという。「むしろ、同世代の(稲見)萌寧さんが通算12勝を挙げているので、そこに追いつきたいですね」。そのためには、あと10勝を挙げなければならないが、着実に差を縮めていることは確かだ。
「メジャー優勝を目標に残り5試合で一生懸命に頑張りたいと思います」。残るメジャーは最終戦のJLPGAツアーチャンピオンシップリコー杯のみ。そこにしっかりと照準を合わせ、有終の美を飾るつもりだ。
(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)
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