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2024.1.19

JLPGA新しいヒロイン《96期生・河村 来未》

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

かわむら・くるみ=1999年10月17日、東京都北区出身

 5回目の挑戦だった22年、河村来未は最終プロテストまで進みながら、合格ラインにあと1打及ばなかった。「1打の壁が厚かったですね」。同じ立場にいた選手は他に5人いたが、昨年のプロテストでリベンジを果たしたのは河村だけだった。悔しい気持ちを抑え、冷静に何が足りなかったのかを分析し、対策を練ったことが功を奏した。

 「これまではケガが多かったので、23年はトレーニングと体のケアを今まで以上に行ったことが良かったと思います」。手首や股関節を痛めることが多く、十分な練習をできない経験を何度も繰り返した。そのもどかしさがメンタル面にも影響を与え、焦りなどを生む。ましてや不合格の後だと、どうしても練習量が足りないという考えに陥りがちだ。中途半端な回復具合で無理をするから完治も遅くなる。ならば、最初からケガをしにくい体をつくればいい。

 「おかげで昨年はケガをすることもなく、思い通りの練習もできたので、プロテストには精神的な余裕を持って臨むことができました」。5回失敗したとはいえ、そのうち4回は最終プロテストまで進んでいる河村。技術面で大きく劣っていないことは分かっていただけに、体を鍛え、メンタル面を安定させた作戦は正解だった。

 とはいえ、受験回数が増えると、プレッシャーも大きくなる。「高校生の勢いにはなかなか勝てないので、年齢が上がると辛くなります」。1打の重みを知っているからこそ、攻めることに躊躇したり、守りに入ってしまうが、それだと伸ばし合いを制することが難しくなる。その葛藤に勝てたのは、ミニツアーのような1日大会に多く出場できたことだった。

 「試合勘を失わなかったですし、緊張感の中でプレーできたのは良かったですね」。セッティングがそれほど厳しくなくても、同じ目標を持つ選手と鎬を削る機会があったのは幸いだった。

 試合を重ねるうちに自分の特性も明確になる。「ビッグスコアを出すタイプではありませんが、その分大叩きしないことが持ち味でもあります」。まさに昨年のプロテストでは、毎日少しずつアンダーパーを重ねてスコアを伸ばし、合格ラインに4打も余裕がある9アンダーでついに合格を果たした。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 「今年はステップ・アップ・ツアーがメインですけど、ようやく第一歩を踏み出せたので、来年はJLPGAツアーで戦えるようにしたいですね」。昨年、そのJLPGAツアーで2勝を挙げた菅沼菜々は埼玉栄高時代のチームメイトだ。1年生からともにレギュラーとして全国高校選手権大会にも出場。3年生では2人でチームを牽引して6位に入っている。その菅沼とJLPGAツアーで競い合うことも目標の一つになる。

 実は、河村にはちょっとした悩みがある。『来未』という名前を『未来』と間違う人が多いことだ。「子どもの頃からもう100回以上間違われていると思います」。なるべく正すようにはしているが、面倒なときはそのままにしているとのこと。ただ、来未という名前自体はお気に入りである。ツアープロとして活躍していけば、知名度も自然と上がるはず。『未来』さんが『来未』と間違われるぐらいの実績を残せるぐらい息の長いツアープロを目指す。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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