2024.4.6
「歴代1位を目指していた」藤田さいき-史上最多7回目エースの感激
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
富士フイルム・スタジオアリス女子オープン 石坂ゴルフ倶楽部(埼玉県)第2日
7回目ともなると、ホールインワンの感覚は体に刻み込まれている。実測151ヤードの13番パー3。8Iを振るった藤田さいきは、飛んでいるボールを見ながら「体がぞわぞわっとして、もしかしたら…と思いました」と表現する。ピン手前1メートルに落ちたボールは小さく2度跳ねて転がり、カップに吸い込まれた。
2022年4月のフジサンケイレディス第1日に記録して以来、2年ぶり7回目のエース。これまで有村智恵、塩谷育代らと計7人で並んで最多記録の6回を保持していたが、一歩抜け出した。思わず万歳した藤田は「すごく意識していました。この7回目を達成するためにモチベーションを上げて、この2年間を過ごしてきたと言っていいくらい。歴代1位になれるチャンスなんて、そうそうありませんから、そこを目指して頑張ってきました」と満面に笑みを浮かべた。
ともすると、ホールインワンを記録すると気分が高揚し、その後スコアが崩れるものだが、藤田は「そこはもう7回もやっているので、年季が入っています。万歳をしておしまい。すーっと落ち着きました」と言う。実際、続く14番以降を2バーディー2ボギーにまとめた。
幸運はホールインワンだけではなかった。17番パー5のティーショットを右に曲げ、「てっきりOBだと思い、暫定球を打ちました」。しかし、ボールは側溝に落ちていたため救済を受け、そこもテレビカメラを設置する塔に近かったため打てず、次の救済もカート道に重なり、計3度の救済を受けた。結局ボギーとなったが、「すごく打ちやすくなりました。ダブルボギーの雰囲気だったので、すごくラッキーでした」とうなずいた。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
首位にわずか1打差の4位につけ、最終日に臨む。2022年11月の大王製紙エリエールレディス以来、7度目のJLPGAツアー優勝の可能性も十分ある。最終日は最高気温が20度を超えるという予報もあり、38歳のベテランは「気温も上がるようなので頑張りたいです。私は寒いと体が動きませんから」といたずらっぽく笑った。
昨季オフから男子プロの兄・勇樹を本格的にコーチに付け、スイングを改造中。「しっかり固まるには1年くらいかかると思います。その中でもまとまったゴルフができたのは収穫です」とあくなき向上心をうかがわせる。
キャップの頭頂部に付けたトンボの一種「オニヤンマ」の形の飾りが、トレードマークになっている。トンボが「勝ち虫」と呼ばれることにちなんだゲン担ぎでもあるが、オニヤンマを天敵とするハエ、蚊、スズメバチなどが寄ってこない、実用性のある商品でもあるという。「小さい虫が顔の近くに来るのが嫌だったので、助かっています」と説明する。
「もちろん優勝を目指します。それとホールインワンも。ずっと歴代1位でいきたいので、抜かれないようにリードを広げたいです」とボルテージを上げる藤田。躍動するベテランから目が離せない。
(宮脇 広久)
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