2024.4.28
黄金の15人目 天本ハルカ-念願のツアー初V
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2024シーズン第9戦『パナソニックオープンレディースゴルフトーナメント』(賞金総額8,000万円、優勝賞金1,440万円)大会最終日が4月28日、千葉県市原市・浜野ゴルフクラブ(6,669ヤード/パー72)で行われ、天本ハルカが大会新の通算19アンダーでツアー初優勝を飾った。98年生まれの黄金世代で15人目の優勝者。大接戦を制した。
2打差の17アンダー、2位タイは蛭田みな美、岩井千怜、尾関彩美悠。史上初の初Vから3週連続Vを目指した竹田麗央は通算16アンダー、5位タイ。
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《グリーン=スティンプ:11フィート コンパクション:24mm》
着実に、また一歩。ついに天本ハルカがJLPGAツアー初優勝。遅れてきた黄金世代は、ここ一番で無類の勝負強さを発揮した。
1打差をつけて迎えたパー5・17番。どうしてもバーディーがほしいシーンである。残り23ヤードの第3打を58度でピン奥2メートルへ。「最終ホールはパー3。何があるかわからない。カップへ入れたい。入れなくてはならないパッティングをしっかり決めることができた」と話した。さらに、「8番から5連続バーディーをとったけど、その後が、ちょっとおかしい。ショットが乱れた。13番でボギーを叩いたけど、パーを重ねていけば必ず、チャンスがくる。うまく17番へつなげることができた」という。
残り1ホールで2打差をつけた。ただし、楽な勝利などない。「最後まで、しっかり攻めていこうとティーイングエリアへ立った。でも、クラブを振りすぎて、普段では絶対に入れない右のバンカーへ…。最後まで私らしい」と、振り返ったものの、見事なリカバリーを披露。そして、ウイニングパットは、「とてもすっきりした気分。カップまでのラインがしっかり見えたし、カップの真横から2.5メートルをきっちりと沈めることができた。時間がかかったけど、いろいろな経験が実を結んだ」と、待望のシーンを語っている。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
21年11月の最終プロテストで合格。5度目の受験でスタート地点に立った。「これが最後、と誓った試験でした。城陽カントリー倶楽部は、とても難しい。その中で最後までプレーをして、合格することができました。コースに鍛えていただいて、今日がある」。JLPGAツアー本格参戦は3年目だが、20年は試合を求め、台湾ツアーへ活路を求め、フルシード権を獲得した。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で出場は、わずかに1試合。そんな状況でもまったく悲観することはなし。「楽しかったです。言葉はわからなかったけど、ゴルフは世界共通だから」と、前向きにとらえた。
8歳からゴルフを始めたことも、プロになる、と決めたのもすべてが自分自身。結果がすぐに表れなくても、常に努力を積み重ねてきた。23年は初のトップ10を目標に掲げている。ところが、11位までは来ても、それを上回ることがなかなかできない。だが、マスターズGCレディースでついに、カベを突破して、終盤4試合で3回のトップ10をマークしている。
「一度できると、何となくコツがわかったような気がした」と話した。初シードを獲得したが、その時点で24年を見据えていたのだ。JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップへ出かけた。「ウェイティングリストが3番目で、ほとんど出場できる見込みはなかった。だけど、あこがれの大会ですから雰囲気だけは味わえる。しかも、練習ラウンドだってできます。私にはものすごい価値があった」。今大会の優勝で念願の初出場が叶う。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
さらに、Vで大きく変わったのは、一流選手の証を手に入れることだろう。次週から常時、プロアマ大会へ出場できる。3週前、「初めてトーナメントで18ホールのプロアマ大会を経験しました。ようやく、一人前になれた気がしてとてもうれしい」と大感激していたことも、印象に残る。
98年生まれの黄金世代は30人。15人目の優勝者となった。「まだまだ、同世代と並ぶなんておこがましい。経験を積み重ね、いつかは追いついて、追い越せるような選手になりたい」と、精進を誓った。とはいえ、改めて、この世代がいかにすごいかを間接的にアピールしたことになる。10勝の小祝さくらを筆頭に計46勝。着実に、確実に-をモットーとする天本にとって、これからが正念場である。
(青木 政司)
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