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2016.3.20

18番は手に汗にぎる“大江劇場”に 大江香織が4年ぶり2勝目を飾る

<Photo:Atsushi Tomura/Getty images>

 2016年度LPGAツアー第3戦『Tポイントレディス ゴルフトーナメント』(賞金総額7,000万円、優勝賞金1,260万円)の大会最終日が20日、鹿児島県姶良市の鹿児島高牧カントリークラブ(6,423ヤード/パー72)で行われた。優勝の行方は、この日スコアを伸ばして、通算6アンダーで競技を終えた渡邉彩香と柏原明日架が後続を待つ展開に。2打差の単独首位で、最終18番ホールを迎えた大江香織が、大ピンチをボギーでしのぎ、通算7アンダーで4年ぶりとなるツアー2勝目を飾った。(天候:晴れ 気温:20.1℃ 風速:2.6m/s)

 時間にすれば、おそらく20分程度の時間だっただろう。しかし、大江香織にとっては、人生で一番長く感じられたホールとなったに違いない。ピンチからさらにピンチへ。そして僅かな希望の中つかんだチャンス。見事に1mのウイニングパットを沈めて、迎えた歓喜の大団円の瞬間の気分は「気を失いそうでした」。その言葉にすべてが凝縮された、まさにジェットコースターのような1ホールだった。

 「全然寝られなかった。眠りが浅い感じで、すぐ起きてしまう」と、やはり緊張して最終日を迎えたという。しかし4年ぶりのツアー2勝目を狙って、首位と1打差からスタートした最終組の戦いは、グリーン奥から12ヤードのアプローチをチップインさせる最高の滑り出しで幕を開ける。瞬く間にトップに並ぶと、苦手なパットをカバーするために、オフに打ち込んだショットと、打ち方のバリエーションを増やしたというアプローチが冴えわたる。サンドウェッジだけでなく、アプローチウェッジやピッチングウェッジを駆使したアプローチで前半を乗り切ると、「バックナインはショットが良かった」と、後半はショットで次々とチャンスを演出し、15番のバーディーで2位グループを突き放す。「優勝を意識した」という17番もパーとして、2打差で迎えた最終18番。しかしもちろんドラマは簡単には終わらない。

 「左をいやがりすぎて」とクリークを警戒したドライバーショットが右にすっぽ抜けて、ボールが木の根に止まる大ピンチ。「手前の崖が急だったので、戻ってくるのだけはダメだと思って。池に入ってもしょうがないと強い球で」と打った球は、やはり無情に池の中へ。ウォーターハザードの救済を受けて、4打目に残った距離は72ヤード。「頭にありました」と本人もプレーオフを覚悟する展開だったが、やはりピンチのあとにはチャンスあり。「乗ればいいと思って打った」と開き直りの精神で放ったショットが、ピンに1mに絡むスーパーショット。「パットが苦手なので、キャディーさんに『外したらスイマセン』って話してました。震えましたね」というパットをきっちりと沈め、長い長い最終ホールを締めくくった。

 2012年『フジサンケイレディスクラシック』以来遠ざかっていた優勝。「2勝目はできないかなと思っていました。下手ですし、そんな実力ないですし」と時が経つにつれ、そう思うようになったという。今年から施行されたアンカリング禁止もそんな思いに拍車をかけただろう。しかし苦しみながらたどりついたツアー2勝目は、外国人選手の連勝に待ったをかける勝利ともなった。「やっぱり日本のツアーなので、日本の選手が活躍すると盛り上がるかなとは思うんですけど」と前置きし「でも(申)ジエさんとか韓国賞金女王の(キム)ハヌルさんとかすごい人と一緒に回れるのがすごく嬉しい。一緒にツアーを盛り上げていきたい」とその胸の内を語った。「まずは再来週のスポンサーさんの試合で、しっかり良いゴルフをしたい」。日本人代表としての責任と自覚を胸に秘め、また来週からの試合に挑んでいく。

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