1st day プラスワン～藤田さいき～

＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞

アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI　UMKカントリークラブ（宮崎県）1日目

　最終日、V争いとともに大いなる見どころといえば、16番にかけられたホールインワン賞。ひと振りで800万円は、史上最高タイの金額だ。大会1日目、このホールは2番目の難度だった。バーディー奪取が全108人中、わずか6人。藤田さいきも、その1人だ。どうやって、攻略したのか。

　「キャリーで160ヤードが必要。風がアゲンストでした。だから5Iを選択して、5メートルにつけた。ナイスバーディーですね」と話す。もちろん、最終日の賞はすでにチェック済みだ。過去、ホールインワン達成はプライベートを含めて7回あり、試合では4回。直近では、昨年のサマンサタバサ　ガールズコレクション・レディーストーナメントだった。

　「会場内で使用できる30万円の商品券をいただきました。うれしかったです」と振り返ったが、こんなこぼれ話がある。「キャリア7回なら、ホールインワンは結構、多いほうでしょう。でも、1度だって、狙ったことはない。あくまでバーディーを獲るために…が最優先ですからね」といい、「800万円は、やっぱり魅力。今回ばかりは、どの選手も狙って行くと思う。私もその1人ですけど…。今まで、賞の指定ホールでホールインワンを達成したことがないし、ドキドキするけど、やってみたいなぁ」。

　今シーズン、藤田には個人スポンサーが2つ増えた。感謝の気持ちを込めて魂をワンショットに込めるのも、プロフェッショナルの矜持というものか。「16番はいろいろなところから、風が吹いてくる。そんなところが難しい。キャリーではなく、低い弾道でランが出るようなボールを打ちます」と解説する。

　また、感心するのが、取材対応だ。たくさんのエピソードを惜しみなく披露して、聞き手が恐縮するほどのご親切。この日は、趣味の話からジンクスなど多岐にわたった。「読書が好き。自宅で休日をすごす際は、もっぱら本と一緒です。ジャンルはなんでもオッケー。だけど、私の流儀でベストセラーは読まない。じゃない本が好きです。寝室ではリラックスを心掛けるから、漫画を読む。少女、少年、大人のコミックなどたくさんありすぎて、漫画喫茶のようになっている」とも。

　座右の銘は父、健さんからおくられた2つだった。①稲穂の心「初優勝した後、どうも私が調子に乗っていたみたい。ということで、勝てば勝つほど、首を垂れろと…」。②清濁併せ呑む　「悩んでいた時、どんなことでも受け入れる心が広い人間になれといわれた。とても難しいけど、頑張っています」。

　16番の攻防。ひと振りにドラマが隠されている。