1st day プラスワン～川﨑 志穂～

＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞

スタンレーレディスゴルフトーナメント　東名カントリークラブ（静岡県）1日目

　ホールアウトすると、雨と風が一段と強さを増した。それでも、サインを待つギャラリーの長い列が。係員に屋根のある場所へ誘導してもらうように促すと、恒例のサイン会がスタートした。今どきの女子という外見とは対照的で、やさしい性格が見て取れた。

　プラスワンの取材であることを告げると、「人生、最後の食事は」というテーマまで提案し、「私なら、おかゆ、お吸い物、お新香の三品です」と、川﨑志穂はすぐさま言葉をつないだ。「なぜか、わからないけど、おかゆが大好き。もう、この3つ以外には考えられません」という。ただ、ここ数日間の食事を聞くと、「肉類が多い」。というのは、自身がオープンウィークだった前週で、約3キロも体重が減ってしまったからだ。

　「拒食症とか、そういう感じではありません。でも、食事を摂るのが怖くなってしまった」と、悩みを明かす。プロテスト合格は今年8月でも、今季はTPD単年登録で開幕戦から、ほぼフル参戦を果たしている。異変を感じたのは夏場。「柑橘系などの果物を口にすると、唇が何倍も腫れて、じんましんが出てしまう。通院しても、花粉のアレルギーという診断で、くわしいことがわからない。それがだんだん、ひどくなってきた」と話す。

　かといって、これまでも食事には人一倍、注意をはらってきた。「朝、果物など、ビタミンCを摂取すると、日焼けしやすいそうです。だから、ビタミンCはプレーが終わってから－とか勉強しながらやってきました。本当にこまっている。最近は、柑橘系だけではなく、食事をしてじんましんが出る時があります。何がダメで何がオッケーなのか、まったくわからない。もう、こうなると、食事をするのが怖くなった。で、食べずにいたら体重がガクンと減って…」。

　プロゴルファーは、技術以上に、体力が第一だ。にもかかわらず、そんな素振りを一切、見せないのが、プロフェッショナルでもある。「今年、プロテストに合格できたことは、すごいことだと思う。LPGA創立50周年の第89期生は、とにかくすごい人ばかり。ボミさん、ハヌルさん、畑岡さんなども同期でしょう。歴史に名を残す選手がズラリ。そう思うと、私も頑張らないといけません」。ひと息入れ、「歴史に名を残すため、まずはできることから始める。私の場合、予選を通過し、トップ20へ入ることからですね」とほほ笑む。身の丈のターゲット設定は、耳に響く。実現可能なことから、じっくりいきましょう。これまた、大器の証明かもしれない。