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2017.10.8

final day プラスワン~吉川桃~

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

スタンレーレディスゴルフトーナメント 東名カントリークラブ(静岡県)最終日

 日本で最も美しい村から飛び出した、初のプロゴルファー。今大会は主催者推薦選考会からチャレンジし、38位タイ。ホールアウト後、吉川桃が口にしたのは反省の言葉だった。「指定練習日から、とても調子がいい。でも、アマチュア時代から1日目に出遅れることが多く、今回もそのパターンでした。2日目と最終日に挽回できたものの、ちょっと残念」。

 出身は栃木県宇都宮市だが、現在は那珂川町に自宅がある。転居したのは建設業から、栃木特産のイチゴ農家へ、父・繁典さんが転身したことからだ。同町の小砂地区は2013年、「日本で最も美しい村」連合へ加盟した。ちなみに、那珂川町からは昨年のプロ野球ドラフト会議で、ヤクルトのドラフト2位・星知弥、日本ハムの2位、石井一成と2人の選手を送り出している。10月1日現在、人口16,892人の小さな町は、話題が多い。そして、今度は初の女子プロゴルファー誕生だ。プロテスト合格時には、「練習場でお世話になっている方など、地元の皆さんが、涙を流して喜んでくださった。自宅の近くに、ゴルフ場がたくさん。素晴らしい人と、素晴らしい環境が私をプロにしていただきました」と、話している。

 ゴルフを始めたのは、11歳。「3歳下の妹が、それ以前にクラブを握っていた。だけど、ゴルフを知ったのは同時。テレビ中継で女子のトーナメントを2人で見ていた。そうすると、上田桃子さんが木の下から、ものすごいリカバリーショットを打って、大歓声。初めて、ゴルフというものを知った。私もいいなぁ、と思ったけど、妹がすぐにやりたい、と即、行動。しばらくして、私もやろうかなぁ、と…」。この日は、妹のくるみさんとコンビを組んだ。もちろん、こちらもプロ志望である。

 とまぁ、ここまではよく耳にするエピソードだが、愛娘の夢を実現するため、自身の仕事をスパッとやめてしまったという。「イチゴはとてもデリケート。毎日、手入れを欠かせません。ただ、私たちのゴルフがある。家をあける遠征などもたくさんです。両親がそれぞれ、付き添って出かけるから、イチゴ農家を続けることができなくなった。今は、ハウスクリーニングの会社を経営している。私たちのため、本当に申し訳ない。同時に、責任を感じます」と明かす。

 趣味は、映画鑑賞と、マッサージ。「インドアばかりですね。ゴルフ以外のスポーツは経験がない。休みはとにかく、映画を見ます。だって、ずっとゴルフばかりの人生だから、はっきりいって世間知らずだと思う。団体行動などの経験も少ない。映画をみて、さまざまな人生をたどっていく。最近は、ドリームがピカイチでしょうか。差別と戦う強い姿に感動しました」と語っている。

 受け答えは懇切丁寧。接する相手が心地よい。きっと、両親が苦労する姿を見ているからだろう。「勝さん、畑岡さん、新垣さん…。黄金世代といわれているけど、私はアマチュアから実績を残してきたわけではありません。キャリアをひとつずつ積み重ねながら、強くなっていきます」と誓った。座右の銘は「楽観主義」。伝説の名コーチ、ハービー・ペニックの本から、この言葉を発見したそうだ。

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