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2017.11.24

2nd day プラスワン~西山ゆかり~

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 宮崎カントリークラブ(宮崎県)2日目

 シーズン最終戦。成績の良否にかかわらず、出場選手は晴れやかな姿をアピールした。この日、1アンダーで上がった西山ゆかりは、「初めて、このコースで思い切りプレーができました」と手応えを感じている。3年連続3回目の出場。ツアーの顔の1人になった。「昨晩、師匠(芹澤信雄)に電話で、あすは粘りますといったら、『粘る? せっかく出場できた最終戦。粘るだけなんて…。そうじゃないだろう』と。そのひとことで、吹っ切れた。普段より、強い気持ちでプレーしたと思います」という。前週までの賞金ランキングは、キャリアハイの15位だが、まだ確定したわけではない。さらなる上積みが必要だ。

 2017年元旦。1年のスタートは、思わぬトラブルに見舞われた。愛犬が逃げ出し、それを追いかけて転倒するハプニングが。左ひざを強打して病院へ直行する。「痛かった。でも、大事には至らずにすんだ。帰宅すると、両親が、今年は当たり年。きっといいことがたくさんある。笑顔で話してくれた。そういう家族のおかげで私は、ゴルフに集中できる。芹澤さんなど、素晴らしい人に囲まれています」。ちなみに、このエピソードは初めて聞いた。

 練習場へ急ぐ足を止め、懇切丁寧な対応は相変わらずだ。さらに、取材は続いた。人生はわからない。もしかしたら、プロゴルファーにはなっていなかったかもしれなかった。中学時代、将来の夢は、劇団に所属し、舞台女優になることだ。「中学校へ入学して、演劇部に入るつもりでいたら、部活がない。姉に相談すると、あなたは走ることも好きだから陸上部はどう、とすすめられた。しかし、そう簡単に、あきらめられるものではありませんよね」。

 陸上部にはもちろん、在籍したが、藤沢市民ミュージカルのオーディションがあることを知る。オーディションに合格した。演目は、ノエルの大冒険。自身は主役、もしくは準主役を演じるつもりで熱心にけいこへ参加したが…。「与えられたのは、シーンとシーンをつなぐ際の道化役。化けべそ魔女隊のBです。両親がみにきてくれた上に、ものすごくヘンなお化粧をして複雑でしたね」とため息をついた。

 それでも舞台女優の夢は捨てられない。中学3年の卒業旅行で、わらび座の公演を拠点としている秋田で鑑賞。「感激した。私はここへ行く、と決め、両親へ打ち明けると、猛反対を受け、父からほほを張られた」そうだ。で、現在に至る。宮崎カントリークラブがもつ、独特の解放感がきっと、そんな話を打ち明ける、手助けをしてくれたのだろうか。改めて、両親への感謝のメッセージを口にする。

 「言葉にこそしなかった。だけど、両親は私にプロゴルファーになってほしかったのでしょうね。苦しいことがたくさんあっても、人生はチャレンジするものです」。そして、「あの道は後悔。この道が正解」と表現した。ザ・ポエットと呼びたくなる。

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