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2017.12.3

Final day プラスワン ~川岸史果~

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 1文字違っていたら、果たして…。今大会のMVPに輝いた、川岸史果は当初、史子と命名する予定だった。ところが、調べてみると、お金には恵まれても、家族には恵まれない。そんなことが判明する。一生、付き合う名前である。そこで、子ではなく、果へ変更することになった。

 果は、木の実を意味する象形文字から発祥。時代が転じて、成し遂げるとの意味も加わる。プロゴルファーにとって、歴史をつくり、事を成すの2文字は、まさにうってつけだろう。2017年、LPGAで最も飛躍した選手は、川岸に違いない。昨年のプロテストに合格し、ツアールーキーとしてフルシーズンを戦った。初勝利、そして賞金ランキングは7位。シーズン当初、川岸良兼の娘だった存在が、俗にいう一枚看板になっている。とまぁ、そんな話をしていると、ドリンクオーダーの女性がやってきた。ほとんど、メニューを見ないで、「レモンスカッシュをお願いします」。

 続けて、「好きです。スカッとするから。でも、私が一番好きな飲み物は、茅ケ崎ゴルフ倶楽部のミルクシェークです。ほどよい甘さと、まろやかさがいい」とじょう舌だ。昨年12月、右足の関節内遊離体の除去手術を行った。シーズン開幕まで、懸命にリハビリを続けたが、全開にはほど遠い。「痛みが残っていた。4日間、プレーできるか不安でした」という。ところが、開幕戦は3日目を終わり首位。最終日、最終組で初優勝を狙ったが、2位に終わる。

 「残念でした。欲をいったら切りがない。でも、プロテスト合格するまでのことを考えたら、気楽です。あんなに苦しかったのですからね」。信じられないことだが、4度目の受験でプロテストに合格した。4年間は、とても長い。ティーンエイジャーから成人を迎えてしばらく、打ちひしがれる毎日が続いた。ノド元を過ぎれば-といわれるが、苦悩を忘れない。そんな経験を糧にして飛躍。若い時の苦労は買ってでもせよ、だ。

 9月、台風接近で荒天のマンシングウェアレディース東海クラシックで、複数回のV争いの後、待ちに待った初優勝が待っていた。「自分がゾーンに入った不思議な感覚を味わった。6連続バーディーなど、1Wがフェアウェイをとらえて、各ホールでほとんど1ピン以内のチャンスばかり。トーナメントでああいった気持ちは初めてです。おそらく、1年に1度あれば…。ただし、次に優勝する時は、最終日の最終組で勝ちたい。それが宿題だと感じた」。

 さて、2018年は、いったいどんな目標を立てているのだろう。「1億円プレーヤーになりたい」。すかさず、答えた。よく、スポーツ界では2年目のジンクスを心配されるものの、「私は、プロテストまでが苦しかった。だから、今がある」という。一方、欲しいものは、の質問に、「私は、物欲がない。しいてあげれば、ちょっと高価なドライヤー。これからの季節、乾燥して、毛先が痛むでしょう」と語っている。

 ちなみに、「お金を貯めるのが好きです。子どもの頃から、お年玉はほとんど手付かず。考えて、考えて本当に欲しいもの、必要なものだけを買う。今年7月、車を買いました。仕事で使うものです」。プレーは果敢で、成果を重視する。名は体を表す。

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