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2018.8.19

SOSも気合一閃 大里桃子、ゴールドに輝く

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 LPGAツアー24戦『CAT Ladies』(賞金総額6,000万円、優勝賞金1,080万円)大会最終日が8月19日、神奈川県箱根町・大箱根カントリークラブ(6,704ヤード/パー73)で行われ、大里桃子が通算10アンダーでLPGAツアー初優勝。2打差の2位は、森田遥が入った。(天候:晴れ 気温:23.4℃ 風速:2.9m/s)

 気合一閃。大里桃子は、ボールへ優勝の執念を込めた。14番、3.5メートルのパーパット。「また、ボギーを打ちそうな流れで、いつもラインを(キャディーの)父と相談します。でも、あの時は、自分の思ったように打つと決めました。あのパッティングがキーだと感じます」と振り返る。さらに、「アプローチはグリーンの端から端へ……。30ヤードはあったでしょう。もし、あのパッティングが入らなければ、おそらく立ち直れなかった」。

 おそらく、人生でもっとも長い18ホールは、快調に滑り出した。「1番でバーディーをとって、少しだけ余裕が。でも、それから、なかなかバーディーがこない。チャンスがあっても決まらない。途中は何をやっているのだろう。思ったところにさっぱり打てません。終盤、森田さんが2連続バーディーを決め、1打差まで迫った。その時、まだ、プロ1年目。負けても仕方がない。ここまでやれたら、悔いはないと思ったら、吹っ切れて終盤はいいプレーができた」。

 最終、18番を首位で迎える。優勝は目前。残り105ヤードの第3打でギャラリーを魅了した。「最初は、安全に行こうと思ったけど、なんだかそれでは格好悪い。だから、ピンを狙ってうまくいきました。ウイニングパットは、20センチぐらいです。あそこは、優勝というよりも、達成感と表現した方が適当だと思います」と静かな口調でいう。そして、「最後のバーディーパットは、こんなにヘタクソなのに、優勝していいのだろうか。技術もない。そんなことをボーッとしながら考えていました」。

 生まれは熊本県玉名郡。熊本国府高出身だ。2016年の熊本地震では、サッカー部の同級生が発案し、校庭へパイプ椅子でSOSのメッセージをつくり、話題に。「アマチュアの予選会を突破して、あの年の大会へ出場する予定でした。ものすごく、ワクワクしながら寝ようとしたら、ものすごい地震。とにかく怖かった。その夜は車で過ごし翌朝、コースへ。試合が中止になったことはとても残念だったけど、まさか熊本であれほど大きな地震があるとは思わなかった。さらに、今度は本震があり、実家へ避難。高校も1カ月間、休校になった」という。

 それだけに、「私は今日優勝できて、少しだけホッとしたけど、まだ避難生活をおくられている方々へ、少しでも良いニュースになったかな、と思っています」と神妙な表情を浮かべている。プロになった黄金世代では、新垣比菜に続いて2人目のウイナー。今年の最終プロテストでは、2度目の受験で合格した。1988年ツアー制度施行後、入会からわずか、23日で初優勝のスピード記録も達成し、収穫の秋でより進化と、真価が問われる。

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