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2019.3.21

日本プロゴルフ殿堂顕彰者インタビュー 森口 祐子①

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 永久シードを保持するレジェンドから、じっくりとお話をうかがうチャンスなど、それほどあるものではない。失礼ながら、テーブルを取り払い、イスを50センチ、前へ-。ひざを突き合わせた取材は、役得とはいえ極上の時間だった。

 日本プロゴルフ殿堂入りが決定。レリーフへ顔と名前が刻まれ、永遠に偉業がたたえられる。いったい、どんな感想をおもちなのだろう。

 「評価をしていただくことは、とても光栄です。当たり前だけど、すごくうれしい」と笑顔をのぞかせてから、かみしめるように言葉をつなぐ。「殿堂入りすることは、責任を伴うことになる。あの人、殿堂入りしたのでしょう。大げさにいえば、そんな目で見られると改めて、自覚しなければなりません。レリーフに刻まれる先人の皆さま同様、ふさわしい行動をとる。LPGA会員として、今までも行動には気をつけてきたけど今回、再認識したことは、これが一番です」。決して、外交辞令ではない。心の底から、そう感じていらっしゃる様子だ。ヒザを突き合わせる距離だから、感情が手に取るように伝わってきた。

 今回の受賞を最も喜んだのは、ご主人だという。「主人の受け売りですよ」と前置きし、お話くださったことは、「子どもにとって、良き母親でなければならない。おれにとっても、良き妻でいてほしい。家庭ではそんな役割がある。それ以上に一歩、家を出たら、ゴルフ界の代表という自覚をもち、すべてにおいて行動しないといけないと思うよ、と結婚してから、ずっと主人からいわれてきた。私自身、後ろ指をさされることは、絶対にしないつもりでいたし、していません」。この時は、少しはずかしそうだった。

 「男の人って、家庭をもつと女房へ、こういう生き方をしてほしいとか、いろいろ願望があるみたいです。今、お話したことが主人の願い。なぜなら、私の主人はゴルフを心から愛しているからでしょうね」。さらに、独自の人生哲学を語る。

 「ひとつのことを追求し、究めるという世界に身を置けることは、とても恵まれたことだなぁと感じます。ゴルフは努力を重ねて、技術を磨き、積み重ねでいけばいい。一方で、強ければいいのか…。優勝するたびに自分を戒めた。人間としてバランスを欠いてしまうことが恐ろしかったから。勝つだけでは、子どもは育たないでしょう。同時に、ゴルフでも後輩へ何を伝えられるかを考えて生きてきた。子どもにも親として、何を伝えるかが大切。主婦、子どもの親、プロゴルファーのバランスを取りながら生きてきた。この先もそうなるでしょうね」と話した。

 誰に対しても腰が低い。永久シードのレジェンドとはいえ、相手に対して自在の距離感をはかる術が備わっている。同時に、相手から自然体で、何かを引き出してしまう聞く力にも驚かされる。「相手の懐へ飛び込むことを教えてくれたのは、ツアーのプロアマです。私にとって、プロアマは人間修行の場でした。おそらく、プロゴルファーでなければ、お会いしてお話ができない、財界トップの方々からたくさんのことを学んだ。ゲストとコースで1日を過ごすゴルフは、心から魅力的なスポーツだと思います」。

 コミュニケーション能力は、人生を豊かにする基軸だった。=つづく 


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