2019.3.24
Day3 プラスワン テック~原田香里
<Photo:Chung Sung-Jun/Getty Images>
Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 茨木国際ゴルフ倶楽部(大阪府)最終日
ベテランのたたずまいで、危なげない勝利。1年5カ月も、優勝から遠ざかっていたとは思えないほど、今大会の上田桃子さんは素晴らしかった。どっしりとして、百戦錬磨の勝負強さを披露。ところが、好事魔多し、とはよくいわれるものです。アクシデントに見舞われたのは前日でした。右手の中指に違和感が出て、最終日は棄権を考えたほどだといいます。
朝の練習場でボールを打ち、これなら大丈夫と判断。まさか、そんな不安をかかえながらなんて、ギャラリーの皆さんはきっとビックリしたのではないでしょうか。ただ、ケガがありながら、うまく折り合いをつけられたのは、技術がしっかりしている証です。上位につけて最終日にグイッと抜け出した。本当に強い内容だと感じます。
今季は開幕から好調でした。安定感が抜群。どこが変わったのでしょうか。昨シーズン、ドローが強く、ボールが上がりにくかったそうです。というわけで、オフは改造まではいかないものの、コーチとスイングチェックをていねいに行いました。で、どうなったかといえば、ストレートに近いボールで勝負をしています。ボールが上がり、スピン量が増えた。
ボールを曲げてコースを攻めるよりも、マネジメントがしやすくなったと思います。つまり、今回のようなフェアウェイが狭く、難しいコースでは攻めやすくなる。安定したボールが打てるわけですから、打ち上げ、打ち下ろしも気にならなかったでしょう。インサイドインでクラブを振り、スクエアにボールをとらえることができる。ショットメーカーとして今シーズンを大いに盛り上げてくれるでしょう。
一方、パッティングはこんな変化がありました。ヘッドはそのままで、カーボンとスチールのハイブリットシャフトへ替えています。それも、大会第2日から。上田さんとしてはとても珍しい。第1日は34パット。残りの2日間、ボールの転がりも良かった。思い切りの良さも優勝を後押し。
開幕3戦目の初勝利は、長いシーズンを考えた上でとても気持ちが楽になる。どっしりと落ち着いて、この1年に取り組むことができるアドバンテージへ変化することでしょう。特に、公式戦の初戦、ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップは、以前から「私に合うコース」と語っているだけに、かなり楽しみ。右手中指の不安が軽傷でありますように-と祈念します。
(原田香里=担当理事)
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