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2013.10.19

富士通レディース 2日目

守りから、攻めへ。殻を破ったイナリが首位浮上

 2013年度LPGAツアー第30戦『富士通レディース』の2日目が、千葉県千葉市の東急セブンハンドレッドクラブ 西コース(6,635ヤード/パー72)で行われ、イナリ(韓国)が5バーディー・ノーボギーの67で単独首位に浮上した。1打差の2位には渡邉彩香、2打差の3位タイにはアマチュアの髙橋恵ら4選手が続いている。(天候:曇り、気温:19℃、風速:5.0メートル)


 強い風と寒さにより、上位でスタートした選手が軒並みスコアを崩す難しいコンディションとなった中、イナリが出場選手96名中唯一人となるノーボギーのゴルフを展開し、単独首位に浮上した。ホールアウト後、今日のゴルフの自己採点を問われると「前半がバーディーを取れなかったので、甘くつけて90点ぐらいです」と微笑んだが、ボギー以上のスコアが実に351個を数えた今日の難易度を見れば、100点満点で更にお釣りが来る内容だろう。勝てそうで勝てない日々を乗り越えて達成した悲願の初優勝から約1ヶ月。絶好の位置で明日の最終日を迎える。

 常に安定した成績をあげ4年連続賞金シード権を獲得してきたイナリだが、初優勝までの道のりは遠かった。しかしその悲願は彼女に大きな変革をもたらしたという。「私でもできるんだという自信がつきました。これまでは安全な場所に打っていましたが、狙えるところは狙っていけるようになりました」。“守りから攻めのゴルフへ”そう変化を語ったが、それを今日のノーボギーのラウンドがまさに裏付けているだろう。勝負の最終日は生憎ながら悪天候予報が出ているが「風とか雨とか好きです。難しい方がいいです」とそれにも目を輝かせる。壁を乗り越えた選手というのはこういうものなのだろうか。なるほど自信が漲っている。


 そして首位と1打差の2位に浮上したのは、ツアールーキーの20歳、渡邉彩香。「アイアンが凄く良くなってきたんですけど、今週は無理をしないでグリーンのセンター狙いがテーマ。ロングパットの距離感も良く、安心してアイアンが打てました」と笑顔。昨日以上の強風が吹いた2日目だったが「距離も合っています」とショットのキレに陰りは無かった。この日は高校生のアマチュア選手2人とのラウンド。「プロの試合でアマチュア2人と回るのは初めてですし、自分が組で最年長というのも初めて。2人とも良いプレーだったので、私も負けられないと思いました」と2人の溌剌としたプレーに、自然と闘争心が生まれた。「今日は逆に2人に引っ張られる形で良いゴルフが出来ました。後半ボギーが出なかったし、私自身も成長していると思います」と自身も手応えを感じたラウンドだった。

 先週、静岡県で行われた『スタンレーレディス』では「地元ですし、好きなコース」と上位フィニッシュを狙って挑んだものの、結果は予選落ち。「仕方ないと思いました。でもあれで思いっきり行こうと踏ん切りがつきました」と今週は270ヤードを誇るドライバーの平均飛距離を武器に、粘り強いゴルフを展開。「2日終わって1打差なので楽しみ。明日は緊張するとは思いますけど、スタートホールがパー5なので、ひと振りすれば大丈夫」と頼もしい言葉が帰ってきた。現在賞金ランキングは67位とシード権も気になる位置だが、この勢いなら“優勝”の2文字も遠くはない。


 髙橋恵。この名前を聞いて思い出すのは、2010年に13歳ながらLPGAステップ・アップ・ツアーの『ANA PRINCESS CUP』で優勝した鮮烈な記憶。下部ツアーとはいえ、世界でも例を見ない年少優勝記録に、当時のマスコミもその快挙を大きく報じた。あれから3年、体の成長に伴い飛距離も大幅にアップしたが、ショットも曲がり出した。「あの時は勢いで何も考えないで良いスコアが出ていました。そのあとは苦しんで80も平気で打つようになって」とレギュラーツアーに出場するも予選落ちの日々。それでも「おかげでアプローチとパットはうまくなりました。昔は感覚派でしたけど、今は考えるようになりました。ピンばかりを狙っていくゴルフじゃ上は目指せないってことも、やっとわかりました」と確実にプロへの階段を登っている。

 高校2年生となって迎えた今週は、特にドライバーとアプローチが好調。「80を打たなくなったのは小技のおかげ。今日の最終ホールもいつもならラフからでも無理して狙っていくけど、フェアウェイに刻みました」とピンまで60ヤード地点に刻み、これを1メートルに寄せて見事にパーセーブ。首位のイナリとは2打差の絶好の位置で2日目を終えた。「正直、優勝したい気持ちはありますけど、あんまり意識すると自分には良くないと思うので、60台を目指してやりたいです」と謙虚ながらも、もちろん狙うのはあの時の大逆転優勝の再現。勝てば17歳92日での快挙。記憶にも記録にも残る歴史的瞬間を、再び起こせるか。

リエスド (3位タイ:-4)
「(18番で唯一のボギー)18番は手前のバンカーに入れてしまい目玉だったので、ラフに出すのが精一杯でした。今日初めてのボギーとしてしまいましたが、ダボの可能性も高かったので良かったと思います。明日はベストスコアを出さなければ優勝できないという気持ちでプレーしたいです」。

酒井美紀 (3位タイ:-4)
「朝から風が結構強かったので、低く打ったり高く打って風に乗せたりしたのですが、勘が冴えましたね。台風の影響で父が大切にしている車が水没してしまったので、優勝して父のために車を買ってあげたいです。勝ちたいですね」。

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