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2014.6.29

アース・モンダミンカップ 最終日

ツアー初Vは感動の『嵐』!
酒井美紀、プレーオフでアンソンジュを振り切る

 2014年度LPGAツアー第17戦『アース・モンダミンカップ』(賞金総額1億4,000万円、優勝賞金2,520万円)の最終日が、千葉県袖ケ浦市のカメリアヒルズカントリークラブ(6,516ヤード/パー72)で開催された。

 通算17アンダーで並んだ、アンソンジュ(韓国)と酒井美紀のプレーオフ。2ホール目で酒井がアンを振り切って、プロ5年目にして念願のツアー初優勝を飾った。3位には通算15アンダーの全美貞(韓国)が入った。(天候:曇り、気温:24.7℃、風速:2.4メートル)


 約70センチのウイニングパットが、1メートル以上の距離に思えた。「私は、1メートルぐらいのパッティングが苦手です。これがプレッシャーというものでしょうか」。時間にしてみれば数秒のことだが、酒井美紀はいろいろなことが頭に浮かんでいたという。

 「確か、これを入れれば優勝のはずだけど…」。グリーンを取り囲んだギャラリーからの拍手の嵐にも、しばし呆然。そして涙がドッとあふれてくる。「本当に、勝った、とわかったのは、アンさんから、ハグをしてもらって、耳元で『おめでとう。もう泣かないで、大丈夫だから』と言われた時です」。

 最終日は、首位タイで最終組のスタートだった。前半の9ホール。4バーディー・1ボギーの内容で、初Vへ向け順調に行っているように見えた。「前半、大山さんがスコアを伸ばしていたのがわかっていました。今までの優勝争いでは、身体と気持ちが噛み合わなかったです。だから、今日は気持ちで負けないように、引かないよう言い聞かせていました」。

 インへ入り、淡々とパーをセーブしていく。15番。この時、スコアボードを確認して2打差がついているのがわかった。ところが、最終18番、1組前でプレーするアンが、10メートルのイーグルパットをねじ込む。酒井のバーディーパットが入らず、勝負はプレーオフへ。「途中、優勝できると思っていた。でも、終わって言えるのは、やっぱり私は簡単に優勝できない選手だということを実感しました」と苦笑する。

 今季の第2戦、ヨコハマタイヤPRGRレディスでは一ノ瀬優希とのプレーオフで敗れた。とはいえ、「ジュニアの頃から一対一の勝負が多かった。だから直接対決は楽しい」。飛距離と18番でのイーグルというアドバンテージがあったのはアンだったが、2ホール目で痛恨の池ポチャ。これで一気に流れを引き寄せた。飛距離はなくても、精度で勝る自分のスタイルを貫いた酒井に、ツアー出場115試合目で、初めて勝利の女神がほほ笑んだ。

 ゴルフを始めたのは8歳。プロ入り前からキャディーとしてコンビを組む7歳違いの姉、美香さんと一緒に練習場へ行ったことがキッカケだ。「子どもの頃から、私のマネばかりをしていた。だけど、驚いたのは初めてクラブを握った時です。高校生だった私のクラブを使って、小学生の美紀がブンブン振っている。体が大きかったこともあるでしょうけど、最初から子ども用とか、女性用ではなく、一般の大人向けを平気で使いました」。

 一方で、それ以上にマネをしたのが、ご贔屓とするアイドルグループの『嵐』だ。キッカケは、美香さんが大ファンだったから。「見ているだけでテンションが上がります」と目を輝かせる酒井は、こんな舞台裏を明かした。「実は、きょう嵐のイベントへ行く予定でした」。そのために、都内へホテルをとって、次週の日医工女子オープンへ向かう計画を立てていた。

 優勝者は表彰式、パーティー、記者会見などがあるため、すぐにコースを後にするわけにはいかない。「うーん、複雑ですね」と言いながら、「たとえ、間に合わなくてもいい。会場の東京ドームまで行って、せめてグッズだけは買ってきます」。プレー中は喜怒哀楽を表情に出さず、とてもクールに映るが、嵐の話題となると、まるで少女マンガの登場人物のように、キラキラと瞳を輝かせた。


 簡単には勝たせない。アンソンジュが今季、4日間大会で3戦2勝と無類の強さを発揮する要因がわかった。

 2打差で迎えた最終18番。「終盤、チャンスがあるのは、このホールだけだと思っていた。ドライバーのティーショットを今日一番、思い切り振って、第2打も自分の思い通りのボールを打つことができた」という。そして、10メートルのイーグルパットを気合でねじ込んだ。

 しかし、そういいことばかりは続かない。プレーオフ2ホール目。そろそろ勝負をかけようと思ったのだろう。「大きく振ったらミスになった。仕方がないとは思いますけど、ちょっと悔しい」と後悔の表情ものぞかせる。

 体調があまり良かったわけではない。「今週は胃が痛くて、食欲がなかった。最終日だけは無理やり食べましたけど、後半に苦しくなって…。痛くない、痛くない、と言い聞かせながらプレーを続けていました」。恐るべき精神力だ。次の4日間大会は、2週後の『全英リコー女子オープン』。リベンジはメジャーの舞台となる。


全美貞(3位:-15)
「パッティングの状態がいまひとつ。バーディーチャンスがきても、外れているので仕方がありません。ただ、状態は上がってきたので、優勝のチャンスはまた来ると思います」。

大山志保(5位:-13)
「7番の第2打、バックスイングにかかった時、ギャラリーがマジックテープをはがした音が響いた。それが気になって…。今日は、私の日になりそうなものすごい集中力が続いていたけど、それで途切れてしまった感じです。その後も、あきらめずにプレーしました。でも、6番までのような集中力がわいてこない。私の実力だと受け止め、今後に生かします」。

茂木宏美(53位タイ:イーブンパー)
「完走できました。この4日間を振り返ると、何試合分もの経験が詰まっていたと思います。体力面ではいまひとつだったかもしれません。6番まではスイスイと行けたのに、7番から急に両足へ鉛がついているように感じた。それからは毎ホール、『あと1ホール!』と言い聞かせながらプレーしました。来週の試合も出場します」。

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