ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント　最終日

“初心に戻れる試合”で、大山志保が完全優勝

　2014年度LPGAツアー第25戦『ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント』（賞金総額6,000万円、優勝賞金1,080万円）最終日が岐阜県瑞浪市のみずなみカントリー倶楽部（6,520ヤード／パー72）で開催された。

　大山志保が昨日とは打って変わってスコアを伸ばせない苦しいゴルフながらも、通算16アンダーで初日からの首位を守り切る完全優勝で今季初優勝、ツアー通算14勝目を飾った。2打差の2位には成田美寿々、3打差の3位タイにイナリ（韓国）と葭葉ルミが入った。（天候：晴れ、気温：29.0℃、風速：2.3メートル）

　「優勝したけど、できたのかなって不思議な気持ちです。まだ実感が湧かないですね」。昨日までのバーディーラッシュから一転し、苦しいラウンドとなった最終日。同組の成田、香妻らに追い上げられながらも、なんとかスコアをイーブンパーに収め、逃げ切りで完全優勝を果たした大山志保は、優勝会見で心境を素直に表現した。

　大山が異変を感じたのはスタート直後の1番ホールだったという。「すごく軽く打ったんですけど、それがオーバーしちゃって。軽く打ってこれなのかと思いました」。最終日最終組のアドレナリンなのか、いつもよりアイアンの飛距離が出てしまったという。「そこから抑えよう抑えようとしてました。でもショートしたりオーバーしたりで」。違和感を解消できないまま、どんどんホールは消化されていく。

　そしてもちろんスコアを伸ばしてくる他の選手。そんな状態でも大山に焦りはなかったという。「同組の成田さんや香妻さんが伸ばしていて、キャディーと良い試合なりそうだねなんて話していました」と試合を楽しむ余裕すらあったという。一時成田、そして5組前から猛然と追い上げてきたイナリに2打差まで詰められるも「これで負けたら自分はダメだな。ガンバレガンバレと言い聞かせてやっていました」と、しっかりとバックナインもオールパーでまとめ、最終18番でこの人らしからぬ控えめなガッツポーズで試合を締めくくった。

　本人いわくこの大会は「初心に戻れる試合」だという。2009年に左肘を故障し戦列を離れ、約1年ぶりの復帰戦となったのがこの試合だったからだ。「ここの1番に立つとその時のことを思い出しますね」。そして「初心に戻れる試合」は同時に「どうしても勝ちたい試合」ともなった。「復帰してからこの試合はどうしても勝ちたい試合だったので、本当にうれしい」と優勝スピーチで、は満面の笑顔で喜びと感謝の気持ちを語った。

　今日大山と同組で回った成田、香妻や、この日3位に入り初シードを当確させた葭葉など若手が着々と力をつけ、現在のLPGAツアーは群雄割拠の様相を呈している。「若い子たちから刺激をもらっています。やっぱり負けたくないというのもありますね」と、そこから刺激を受けつつも、闘争心はもちろん燃えている。

　自身の今後のゴルフ人生については「向上心が無くなった時にゴルフをやめようと思っています」と語ったが「どうしよう。一生やめなかったら」と笑いながら付け足すほど、向上心はまだまだ強いという。「今まで以上に勝ちたいという気持ちが強いです。今までで一番強い」と、気持ちは既に来週のメジャーに向いている。「明日8時から練習ラウンドをします」と次会場へ足早に向かった彼女については、当分引退の心配をしなくても良さそうだ。

成田 美寿々 （2位：-14）
「昨日は8個（バーディーを）取るって言っていたんですけど、まぁ6個でも。大山さんが後半も伸び悩んでいたので、ちょっといけるかなと思っていたんですけどね。16番で気持ちが入りすぎましたね。単独2位だったんで、賞金ランキングも加算されますし、いい形で終われたのかなと思います」。

イ ナリ （3位タイ：-13）
「グリーンが止まったので、打っていける分、ショットに自信がついたので、ショットメーカーな感じでプレーできました。4連続入れて、ちょっと意識しましたけど、17番でボギーを打っちゃって、ダメでした。もっと練習しなきゃいけないとわかったので、また頑張りたいです」。

葭葉 ルミ （3位タイ：-13）
「今日の目標は1打でも伸ばせるようにと思っていたので、このようなスコアで終われたのは良かったです。最近ショットの調子も良くなってきているので、それが結果に結びついたんだと思います。試合数もまだ多いですし、これからも上位に入れるように、それよりも優勝できるようにやっていきたいです」。

香妻 琴乃 （5位：-12）
「途中までは伸ばしていけましたけど、16番でボギーだったので、あまり満足なラウンドではなかったです。（シード権を得たと思いますが？）それは来年のことなので。今年は今年で成績を出したい、優勝したいというのが目標なので。来週は4日間ですし、メジャーなので、セッティングとかコースマネジメントが大事になってくると思うので、1日1日、1打1打を大事にしていきたいです」。