2020.11.5
バウンスバックを期す苦悩 渋野日向子の今
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
TOTOジャパンクラシック 太平洋クラブ 美野里コース(茨城県)
2年目のジンクスは、渋野日向子でも避けては通れなかった。「今の私に必要なものは、結果にこだわらない気持ちです」。即答が持ち味だが、珍しく考えながら質問に答えた。それはそうかもしれない。JLPGAツアーの今季2戦はともに予選落ち。 「きょうは元気でも、(試合になると)結果に対しての気持ちが強い。だから、結果が伴わなければ、病んでしまう。ボギーを叩いて落ち込み、1メートルのパッティングを外して落ち込み、予選落ちしてまた落ち込んだ。病んでしまいそう。でも、くよくよしていても仕方がない。悔しがって寝ても、目覚めれば新しい1日が始まる。そういうふうに切り替えていきたい」と語っている。
あすは同じ黄金世代、畑岡奈紗と原英莉花とラウンドする。「今日の練習ラウンドの感じだと、1Wは先週よりも飛んでいない。2人には20-30ヤード置いていかれると思う」と首をひねった。その上で、「もちろん負けたくないけど、そればかりにとらわれると、単なるブンブン丸になってしまう。自分ができる最低限のことをやりたい」と、背伸びをしない。シンプルなプレーを心がける。ショートゲームもさまざまなクラブを使い、状況によって打ち分けることは、今季のテーマだったが、今回は手慣れた58度に絞った。必死にはいあがろうとしている。
「去年は直感というか、イケイケドンドンでした。何も考えず、攻めのゴルフができた。いくら私の良さでも、それだけでは、先へ進めない。いろいろなことを考えながら、攻めのゴルフができることが、本当の強さ。そういうゴルフができる日を楽しみにしながら、地道にやっていくしかない」と覚悟を示した。時おり見せる笑顔は、相変わらず周囲を和ませる。ただし、「ラウンド中、やること、考えることが増えて、お菓子を食べる余裕がない」とも打ち明ける。
どんなスーパーアスリートでも、デビューから順風満帆とはいかない。自身も最終プロテスト失敗の経験を生かし、昨年のシンデレラストーリーへつなげた。ソフトボールからスタートした生粋のアスリート人生。より高くジャンプするには、まず膝を曲げ深く沈み込むことが必要だ。
(オフィシャルライター・宮脇 廣久)
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