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2021.3.14

稲見萌寧 驚異の粘りでPOを制す

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2020-21シーズン第16戦『明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント』(賞金総額8,000万円、優勝賞金1,440万円)大会最終日が3月14日、高知県香南市・土佐カントリークラブ(6,228 ヤード/パー72)で行われた。勝負は通算6アンダーで並んだ稲見萌寧、永井花奈のプレーオフへ。3ホール目で稲見が優勝を決めた。JLPGAツアー通算3勝目。1打差の通算5アンダー、3位タイは比嘉真美子、藤本麻子、森田遥が入った。渋野日向子は通算7オーバー、57位タイ。
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 楽な優勝などない。稲見萌寧はこの日、身をもって示した。プレーオフ3ホール目で決着。これまでにはない大きなガッツポーズが苦悩の1日を物語る。

 3打差をつけ、最終日を迎えた。前日のプレーをみれば、独走のシーンが浮かんだが良いことなど続くはずはない。「調子は悪くない。でも、風のジャッジがすべて逆。すべて、悪いほうへいってしまって、負の流れを止めることができなかった」という。ボギーが先行し、スコアを落とす。苦闘のシーンは随所でみられた。

 象徴的だったのは、パー5の10番。第1打、アンラッキーが重なり、がけ下の15番へ転がった。「アンプレヤブルを宣言するか、そのまま15番から打つか」の難しい決断が迫られる。いずれにしても、リスクは避けられない。改めて、状況を振り返る。「アンプレヤブルを選んだら、ダブルボギーでしょう。優勝するためには、ボギーであがりたい。15番から行くことにした」という。第4打で10番グリーンの左奥まで戻した。さらに、第5打で70センチに寄せ、ボギーで切り抜ける。「第1打で頭がまっしろ。それから、がけを上がったり、下ったりして、1ホールが2ラウンドしたような疲労感があった。それでも、2ホールぐらいで体力が戻ってきたのは、オフのトレーニングの成果です」。

 勝負は、さながら我慢比べのような状況だった。優勝争いを展開する永井花奈、森田遥など、決定的なシーンが訪れない。それほど、難しい18ホール。勝負は、永井とのプレーオフへ持ち込まれた。

 「プレーオフなら、負けない。勝てるという自信があった。前回の優勝(20年スタンレーレディス)の時も同じです。追い込まれると力を出せる、という思い込みというか、自信があったから」。そのプレーオフでも、スカッとバーディーフィニッシュとはいかなかったものの、まるで経験豊富なベテランのような勝負強さ、勝利への執念が見え隠れした。

 優勝会見では、涙を浮かべるシーンも。「苦しいラウンドでした。泣かないと決めていたけど、こみあげるものがあって…。最後まで、あきらめなくてよかったです」と驚異の粘りを語った。座右の銘は「忍耐」。18年に他界した祖父・昭さんから贈られたものだ。「祖父は、私にゴルフの手ほどきをしてくれた。きっかけをつくってくれたんです。おそらく、忍耐はゴルフだけではなく、人生に必要だからという意味でしょう」と、理解している。まさに、忍耐の1日にふさわしいエピソードだった。

 前日、「私と戦う」のひとことも記憶に残る。この日は、「目立ちたがり屋だから、私が一番でなければ、子どもの頃からイヤでした。人見知りをしないし、発表会などは得意分野。進んで、出る、出る-。そんな感じです」と言ってのけた。かけがえのないプロの資質を備えている。「1年に1回優勝するという目標をクリアできた。次は公式戦でも優勝を。また、練習します」。

 現実をあるがままに表現する。印象派・萌寧の真骨頂だった。

(メディア管理部・中山 亜子)

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