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2021.7.3

鈴木愛 最終日は『裏切って優勝…』

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

資生堂 レディスオープン 戸塚カントリー倶楽部(神奈川県)第3日

 短期決戦で女王がよみがえる。鈴木愛が1イーグル、5バーディー、1ボギーの66をマーク。首位から1打差の暫定2位タイと好スタートを切った。直近3試合は予選落ち→体調不良で棄権→予選落ちと予想外の成績が続いている。それだけに、36ホールの勝負に賭けているのだ。

 「期待し過ぎると、空回りが多い。淡々とプレーすればいい」と口にしたが、もちろん本音は違う。最終日は、「多分、誰も期待していない。だから、裏切って優勝してやろうと思っています。だけど、今年はヘマをしている。頑張ってやろうと思っています」と、笑顔で最終日の心構えを話した。

 この日の前半、それほど調子が良かったわけではない。チャンスをモノにできないシーンがあった。「バーディーパットが、入らないにしても、カップへ届かないのはいただけない」。平静を装いながら、内面は自身へ奮起を促した。流れを変えたのは、パー5の13番。残り184ヤードの第2打を、4Uで2オンへ成功する。7メートルのイーグルパットを必死にねじ込んだ。

 となれば、勢いが違う。14番=6メートル、15番=5メートルと連続バーディー。最終18番もバーディーで締めくくった。こんな、爆発的なスコアを待っていたのだ。そのために、不本意な成績が続いても練習は怠らない。「腹が立つなぁ。なんでうまくいかないのか。練習していても、試合でショットがブレる。これでは、練習をする意味がない」など、さまざまな心の葛藤が続いた。

 一方で、冷静に自身のプレーを分析も。「今年はショット、アプローチ、パッティングも、去年よりいい。2日続けていいプレーをすることが増えてきた」と鼓舞することも忘れなかった。2日連続中止の後、第3日も明け方から激しい雨。スタートが4時間遅れた。しかし、「遅れることは想定内」といい、「ラッキー。もうひと眠り」。リラックスする術を試した。

 今大会は、中学時代からのゴルフ仲間・飛田えりさんへキャディーを依頼。パッティングが思い通りに行かない時も、「いい感じ。そのうち入るでしょう」と激励を受けたことも大きい。久々の笑顔がたくさん。この時をファンが待っていた。

                                                        (オフィシャルライター・宮脇 廣久) 

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